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今日はちょっと頑張って長めに書いてみました。
ちょっと考える時間が欲しい。
いや、もうなんか夢じゃない気がしてきたから正直ちょっとパニックだ。
「何言ってんだ?さっきまで一緒に居たじゃねーか、ってこの姿で会うのは初めてだったか!」
さっきまで一緒にいた?
...さっきの小さいおじさんじゃないよね?
「そういえばまだ自己紹介していなかったな!おれの名はサスケだ!おまえに新しい人生の選択をさせてやったカラスだ!」
あぁ、あのしゃべるカラスね。その前に一つ文句があったわ。
「選択するも何も、問答無用で変なもの盛られた気がするんだけど?」
「ははは、それは気のせいだ!いくらもう探すのをだいぶ疲れていたし、人間めんどくさいからって焦っていたわけでは決してないからな!」
なるほどね、ようする私はついていなかったと...まぁ、実際にあそこに居ても辛い記憶にとらわれていてばっかりで案外良かったかもしれない。
「そっか。なら改めて確認したいけど、ここは夢の中の世界じゃなくて異世界で間違いないんだね?」
「おう!間違いないぜ!てか、順応早いな!もうちっと慌てると思ったんだがな~...おれなんて、あっちに行ったときすげぇ焦ったんだけどな...」
「いや、十分驚いているけど...」
正直すごく驚いている。けれど、何故か同時にとてもワクワクしている。
「えぇ、そう見えないんだがなぁ?」
そういいながら、サスケはずいっと至近距離で私を見た。
「...なに?」
「ふーん?ま、いいか。で?おまえは何て呼べばいいんだ?」
そうだった、名のられたらこちらも名のるのが礼儀だった!
「私はしぐれ、よろしく」
異世界なら苗字はいらないと思って名前だけ名のることにした。
「シグレね、こちらこそよろしく!それじゃ、ここに居ても仕方ないし、とりあえず里に帰るとするか。まずは長に報告に帰らなきゃいけないしな」
サスケは頭を掻きながらちょっとだけ不安そうな顔をして私を見ていった。
いや、むしろ不安なのは私の方だと思うだけど?そう思いながら首をかしげて見返した。
「うっ~、なんか反則だ...しゃーない、なんとかなるだろう!ついて来いっ!」
サスケはそういいながら、私に背を向けてどんどん歩き始めた。
今一瞬顔が赤くなったけどどうしたんだろう?
最後のなんとかなるってどいう意味なのかが気になる。
でもま、ついたらわかるならいいか。
それより、ここが異世界ならさっきのおじさんに頼んだ能力も試してみたいな。
「おーい!いつまでそこで座ってるんだ?」
「あ、うん」
そう思って下りて裸足だったことに気が付く。
そういえば、室内にいたから靴がないんだった。
ちょうどいいかもしれない、ちょっと目を閉じてブーツを想像してみた。
底が厚くてヒールも低めで、中は疲れないような作りのもの。色は黒で長さは足首から5センチくらいしようかな。森をあるくならあんまり凝っても汚れちゃうしこれでいいかって思ったら、コトンって音が聞こえて目を開けたらさっき想像した通りのブーツがそこにあった。
「...本当にできた」
本当にできるとは...さっそく履いてみたが、うん!ぴったりでとても履き心地がいい!
これはとても便利だな!これならこの世界がどんなに原始的でも生活できそうだ!
「は?おまえどっからそんなの取り出したんだ?」
「ちょっと欲しいなと思って想像してみた」
「ちょっとまて、どいうことだ!?」
「ん?そのままだけど、どうしたの?」
「いやいやまて、もしかしてだがそれがおまえが手に入れた能力なのか!?」
「そうだけど...」
あんまり人に見せない方がいいかもしれない。今更ちょっと思った。今回は仕方ない。後でなんとか誤魔化そう。
「マジかよ!すげーな!やっぱりおれの目に狂いはなかったな!へへっ」
あれ?大丈夫みたい。ならいっか。
「そんなことより、里とやらには行かないの?遠い??今日中に着く場所?」
「なんかちょっと雰囲気かわったな。まぁ、ちょっと離れているけど急げば夜までには着くぜ!んじゃ、行くか!」
そして私たちはやっと里に向かって行った。
歩き始めて最初に思ったのは空気がとても澄んでいるってことだった。なんというか、今まで感じたことがないほど空気が美味しいと思えた。
木々も普通より、いや、異常なほど大きい。自分が小さくなったのではないかと思ったくらい巨大なのだ。ただ、中には普通のサイズのものもあって、途中で見かけた動物たちも普通サイズだったから、私が小さくなったわけではないんだろう。
「まず、里に着いたら長に会ってもらう。まぁ、強引に連れてきたってのは自覚しているし、悪いようにはしない。ただ、多少は嫌な思いはするかもしれないが頑張ってくれ」
「自覚はあったんだね。でも、大丈夫。私は我慢強さなら自信あるから」
そういって改めてサスケを観察してみた。よく考えたらカラスのこいつが何で普通に人間になっているんだろう?やっぱり、ファンタジーな世界だからか?
短い黒髪をオールバックにしていて、目つきが悪いが中々の男前だ。まぁ、身長は175以上はありそうだな。着ている服も和服っぽいし、上半身が胸板が見えるから鍛えているのもわかる。
「それはよかった。だがま、何か困ったことがあれば言ってくれよな!おまえには助けてもらった恩もあるし、おれはもらった恩は返す主義だ!」
そう言って二カって笑ってくれた。案外いいやつだなと思った。
「それなら、お願いしようかな」
そう思って微笑み返したら物凄い勢いで顔を背けられた。
「おま、、っ!お、おう!」
そしてなぜか早足になった。本当にどうしたんだろう?
仕方ないから私も歩くスピードを速めた。
「ねぇ、せっかくだからこの世界について教えてくれない?里まではまだかかるんでしょう?」
さすがに何も知らないのは怖いからね。
「..そうだな。じゃあ、先ずは今居る所から教えるか」
「おねがい」
「ここはイワハチ山と呼ばれているところだ。風、水、土の精霊の恵みがとても多く食べ物も豊富だ。頂上には精霊様の神殿があるんだが、選ばれたものしかたどり着くことができない。今うちの里であそこにたどり着けれるのは若とそのご友人くらいだな」
「なるほど、ならこの森の木々がこんなに成長しているのも精霊様のおかげ?」
「まぁ、そうだな。ここだけじゃないが、精霊様がかかわっているところは何かしら恩恵があって、普通とは違うんだ。そういえば、おまえが居た世界では精霊様の気配が全くなかったな。」
「そうなんだ?たぶん、いないんじゃないかな?精霊とか魔法はおとぎ話の中にしか出てこないし、科学が発展していてそれで色んな便利な道具とか生活とか開発されていたから。」
「ふーん。カガクってのはよくわからないが、確かに見たことない鉄の塊がものすごい速度で走ってきて驚いたのは覚えてるぜ!あれは、ちょっと危なかった...」
「無事でよかったね」
「まぁ、そのあとひでぇガキどもにやられたがな...」
「もしかして、傷ついていたのはそれのせい?」
確か見つけたとき、羽を傷ついていて飛べなかったのを思い出す。
「...油断したんだ。」
そういったきりバツが悪そうにそっぽを向かれた。
「そっか。」
もう治っているならこれ以上聞くのも悪いだろうと思ってしばらく、二人で無言で歩き続けた。
「...おまえは何でおれの姿が変わっているのか聞かねえのか?」
しばらくしてサスケが聞いてきた。
「んー、聞きたいけど、魔法みたいなものかなって思って。変身していたとか?」
魔法がありな世界ならあんまり気にしない方がいいだろう・。
「ははっ!まぁ、そうだな、くっく!変身か!間違ってはいないな!」
なぜか笑われた。む、何が面白いのかわからないぞ。
じと目で睨んだら、更に爆笑された。何故だ。
「まぁまぁ、睨んなって!っくく...いや、シグレは変わっているなと思ってよ!」
「...それをあなたに言われたくない。」
「ははっ!拗ねるなって!褒めてるんだ。人間はよく俺たちを蔑んだり怖がったりで、あんまりいい印象が持てなかったけど、シグレはそいうのが全くないと思ったら嬉しくてよ!」
ふむ、ならこの世界には人間もいてそれ以外も居るんだ。
「...それならいい。それで?サスケは何なの?会ったときカラスだったからやっぱりカラスの獣人なの?」
「あー、違う。獣人っていうのは確かに居るがあいつらはどっちにもつけない奴らだ。人間にも獣にもな。おれの一族はカラス天狗って呼ばれている。カラスの姿になったり、姿は人間のまま背中から羽を生やしたり、今みたいに完全に人間に化けることもできる!」
「ふーん?天狗って顔が赤くて鼻が長いって思ってたけど、そうでもないんだね」
「どんなイメージだよ!」
なるほど、私の知っているものとは変わっているみたいだ。なら、ちょっとずつ覚えていけばいいか。それに、姿があんまり変わらないなら生活用面ではあんまり心配はいらないかもしれない。
「まぁ、それはいいとして、人間はこの世界ではどんな生き物なの?」
「はぁ、まぁ気になるよなぁ。」
サスケは今度は困ったように私を見た。
「人間はおれたちの事を魔族と呼ぶんだ。そして、あいつらは自分たちこそが素晴らしい生き物だって思ってやがる!ただ単に数が多いだけの弱小種族だけどな。まぁ、精霊様は何故か人間を気に居ることが多いから、彼らは自分たちがこそ神に選ばれているんだと思っているんだ。」
「そうなんだ...」
嫌な思いをするかもしれないのは子の事か。
「あ!でも、おれはお前の事は嫌いじゃないぞっ!人間全員がひどい奴らじゃないのはわかっているんだ。ただ、一般的な考えを言っただけだからな!」
サスケが慌てたように付け足してくれた。本当にそう思っているんだろうなって思ってちょっと安心した。
「大丈夫だよ。わかっているから」
このちょっと口が悪いけど、何だかんだ優しいカラスを好ましく思った。
「~っ、ならいいんだっ!」
「ふふ」
彼の慌てようを見ていたらちょっと楽しくなって久しぶりに笑った。
まだ心は痛むけど、なんだかなんとかなりそうな気がしてきた。ちゃんと変われる気がする。
今度こそ、後悔しないように生きようと改めて思った。
そのあとは森に住む動物とか、この山で食べられる果物や傷に効く薬草などについていろいろ話していたら、もう夜になっていて目的地も見えてきた。
っていうか、巨大な木々が里を囲むようになっていて、間には鉄のような柵が張り巡らせている。
そして入口は同じく鉄でできていてとても頑丈そうだ。
「シグレ、これから里に入るわけだが、おれから離れるなよ?」
サスケはちょっと緊張した面持ちで私に言ってきた。
「わかった。離れない」
そうして扉の前まで来たら、中からゆっくりと扉が開いていった......
読んでいただきありがとうございます。