Episode 1 Prison
この話から正確な時間が分かる様になります。
※Prologueと同じ日の別の場所からのスタートです。
6時40分。
世界で最も厳重で脱走不可能と言われた監獄が存在していた。
世界中の人々がその監獄のことを知っており、こう呼んでいた。
鮮血牢獄と。
此処には犯罪者の中でも最悪レベルの者達が収監されており、どいつもこいつもクズと呼ぶに相応しいと言う。
看守曰く「生きていて欲しくない存在だ」と思うくらいだそうだ。
だがこの監獄に模範囚が一人だけ居た。
その者の名は『樹華 琥珀』。
看守がその者の居る牢の前で足を止めた。
「おい、琥珀。」
「何かしら?」
「お前を釈放したいと申し出てきた者が居る、出ろ。」
「手荒いわね。淑女には優しくしなさいって教わらなかったのかしら?」
「そんなのは知らん。早くしろ。」
「はいはい。」
琥珀は嫌々牢から出て、応接室へと入った。
入った途端琥珀は驚いた。
目の前に見知らぬ人物が居るからだ。
「待ち疲れたぞ、琥珀。」
「貴方は誰?」
「あ、自己紹介がまだだったな。俺の名は輪廻だ。」
「輪廻?知らないわね。どっか行ってちょうだい。」
「そうも言ってられん。今日の2時半にアメリカの研究機関からとあるウィルスが盗まれてな、今世界中が大混乱なんだ。」
「どういうこと?」
「そのウィルスは接触感染するんだが、異常なまでのスピードで200万人を死に至らしめた。結果…死んだ者が歩き始めてな。リビングデッドというやつだな。」
話の内容はこうだ。
今日の2時半にアメリカの研究機関から盗まれたウィルスが脅威になっていると。
すぐ内容を理解した琥珀だったが輪廻という男の話をもう少し聞いてみることにした。
「で、私と何の関係があるの?」
「あなたの力を借りたい。ダメだろうか?」
「何故私の?」
「あなたが狩人だと聞いたからだ。頼む。」
「なら、私のお友達も釈放して。」
「誰のことだ?」
「私と同じ部屋に居た、人よ。名前は知らないわ。」
「分かった。」
「交渉成立ね。」
琥珀は、自分と同室に居た男を釈放させ、仕事に乗り出した。
世界全土でリビングデッド…つまりゾンビが生きた人間を喰らう凄惨な光景が拡がっているのだと言う。
狩人
特殊な依頼のみを請け負う者のこと。
裏社会に生き、裏社会で死んでいく。
いつ死んでも可笑しくない状況に身を置いている為、この職に就いた者は早死にすると言われている。