第六話 【初戦闘】
結構更新しなくてすいません。
これからもよろしくお願いします。
「それにしても爽快だな。」
「そうよねー。」
そんな他愛無い会話を繰り返しながら流河達(一人と一冊)は空を飛んでいた。
「しかし思ったより静かだな、もっと魔物とかがうじゃうじゃいるのかと思ってた。」
「そりゃ、繁殖期とかにはすごい大移動があるけど、今のところ運がいいわね、全く魔物に出くわしてないわ。」
「・・・・・そういえばちょっと聞きたいんだけど。」
「何?」
「クルアって人化出来たんだ・・・」
今流河の背には人化の魔法を使い人間になったクルアレイクの姿があった。ある程度年齢は変えられるらしく、今は十歳くらいの背格好をしている。普段は二十代の女性の姿をしているらしいがこっちの姿はなかなか可愛い。
「うちの主が暇つぶしで作ったのよ、仕事ばかりでストレス溜まった時とか」
「暇つぶしで本を擬人化させちゃうのかよ」
「そういう人だから」
という感じで飛んでいたのだが、それは突然現れた。
「・・・・・ん」
「どうかした?」
「ちょっとスピード上げてくれない?魔物に見つかったみたい」
「え?わかっ・・・・はぁ?!」
後ろを見たら何かが近づいてきた。飛んでいるので鳥かと思ったが鳥にしては大きい。何よりその生物には頭が二つ生えていた。一方はライオン、もう一方は山羊の頭が。
「あれ・・・・何?」
「キマイラよ」
「き、キマイラ?」
「まぁ、あなたなら大丈夫よ。」
「グルルル・・・」
「なんか唸ってるんだけど。」
「あなたに縄張りを侵されたとでも思ってるんじゃない?」
「そりゃないよ、こっちはただ飛んでただけなのに・・・」
「まぁ、戦闘の練習と思って戦ってみましょ?」
「えー・・・・・・ってなんか来てる!」
とかクルアレイクと話していたらキマイラがこっちに近づいてきた。なんか雄叫び上げながら爪を構えてるーーー!
「さあ、チビでもドラゴンなんだから頑張りなさい!」
「そ、そんな無茶な・・・わっ!」
「ほら、よそ見しない!」
間一髪で攻撃を避けた流河。しかしすれすれだった事には間違いない。
「いや、無理だから。いきなりこんなおっかないの相手なんて無理!逃げる!」
「ほら、弱音を吐くな!男でしょうが!」
「いやだからむり・・・・・・」
次の瞬間、流河は言葉を失った。
「?どうしたのよいきなり・・・・・・」
クルアも言葉を失った。
流河とクルアの視線の先、そこには大量のキマイラの群れが広がっていた。
「これはやばいわね・・・」
「だったら早くに・・・・」
「まあ、待ちなさい。この状況を打破する手ならあるわ!」
「え?」
「竜族の代名詞にしてその力は生い茂った森といえども一瞬で荒野と化すといわれる一撃!竜の息吹、《ブレス》を放つのよ!」
「《ブレス》?」
クルアが言うに《ブレス》とは、竜族なら呼吸をするように誰でもできる必殺技らしい。
「やり方は簡単よ。大きく息を吸って吐くと同時に自分の中で最高の炎をイメージする!」
「ほうほう、それで?」
「それだけよ」
「簡単すぎだろ!」
「大丈夫よ!この方法は昔、私の主が竜王から実際に聞いた話なんだから!」
「えー・・・・・」
「いいからやる!このままじゃまずいわよ!」
「・・・・・・・わかったよ!」
流河は覚悟を決め、キマイラたちの方に向かった。そしてクルアレイクに言われた方法を実行したーーー!
(大きく息を吸って・・・・・・吐く!)
ゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォ!
あたり一面が灰色に覆われた。
流河がはいたのは灰色の炎。白でもなく黒でもない、どちらの色にも偏らず、染まらない鮮やかな色だった。クルアレイクもその光景に唖然としていた。
気づけばキマイラは全て灰と化していた。
「すごい・・・・・」
「ハァッハァッ・・・・」
「竜の吐く《ブレス》はその竜の色に染まると聞くけどここまでとは・・・・・さしずめ《灰の息吹》って所かしらね」
「《灰の息吹》・・・・・」
「さーて、危機も去ったし、ほら見なさい!」
クルアレイクが指差した先、そこには巨大な城を中心に広がる街が見えた。
「ほら、あれが人の国、【イエスト】よ」
「ふーん」
その街をみて改めて自分が今異世界にいると実感する流河。とりあえず街中で降りると色々大変なので近くの森で降りようとする。しかしその時全く予想してなかった問題が起きた。
グルルルルッギュルグルルルル!
何処かから聞こえる、なんだか獣が唸りを上げたような音。
「・・・・・今の音何?」
「俺の腹の音、てかもう・・・」
「へ?あっちょっと待って待って」
「空腹で意識が・・・・・」
と言って流河は意識を失った。生まれてからまだ何も食してない状態だ。気を失うのも無理はない。そして竜から人の姿になって重力に従って落ちていく。
「ちょ、待ちなさいよー!」
クルアレイクは落ちてく流河を抱きしめ衝撃に対する結界をはる。
「あー、これからどうなるのよ・・・」
そんな言葉をこぼしながら、クルアレイクは流河と共に下に落ちていった。
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「ふ〜・・・・・・・」
場面は変わり人の国『イエスト』、そこにあるギルドの執務室、大量の書類が置かれた机と椅子に寄りかかる男の姿があった。
「ようやく終わった・・・・・」
この男、見た目は二十代前半だが中身は三十路の超えた中年である。森のように深い緑の髪、そして服の下にある鍛えられた肉体、大抵の女性ならすぐに見惚れてしまいそうな容姿、何より目を引くのは左ほほに付けられた傷、これは過去に付けられた名誉の勲章であり、屈辱の証。
彼、ギルドマスター、バッシュ・ベルビアはそんな男である。
バッシュはこう見えて、歴代最年少でギルドマスターとなった凄腕でもある。ちなみにもうすぐ今年で2児の父親になるのだがそれは後にしておく。今日もバッシュは大量の書類にサインなりハンコなり書き続け疲れ果てていた。
「あ〜、もう今日はいいだろ、帰ろう・・・」
そんな事をひとり愚痴りながら席を立とうとしたその時。
パキッパキッドッゴーン!
突然部屋の天井が揺れ穴が空いた。そして床に謎の物体が墜落した。
「・・・・・な、なんじゃこりゃああああああああああああ!!!」
そして叫ぶ。そう、街で起こった器物破損は全てギルドマスターが書類に書き王政に提出する。それがギルドマスターの仕事の一つ、やっと今日の仕事が終わったと思ったらまた仕事が増えたのだ。叫びたくなる気持ちもわかる。
「ちくしょう、何だってんだよ。まったく・・・・・」
と文句を言いながら謎の墜落物を確かめようとする。
「に・・・人間?・・・それも子供じゃねえか。」
そこにいたのは二人の子供だった。
一人は10歳くらいの少女、まるで絹のような柔らかさを持つ金髪をもち、その容姿は気高さと愛らしさを両方が兼ね備えられている。服は簡単な赤いドレスだ。そして少女が守るように抱きかかえているのは灰色のローブを羽織った5歳の少年、その子を見たときバッシュは少し驚いた。何故ならその少年の髪は見た事のない黒い髪だったのだ。
見た所怪我はしてないみたいだ、空から落ちてきたと見ると相当の高さのはずなのに。
「全く何が起きようとしてんだ・・・」
これが何かの始まりだとそんな予感がするバッシュだった。
どうも、作読双筆です。
あとがきをものすごい後に書きます。
久しぶりの投稿ですが楽しんでいただけましたでしょうか?
今回は初の戦闘について書きました。
リュウガはその場で覚えたブレスを使いキマイラを撃退します。
しかし、お腹が減り落下してしまいます。
落下地点にはバッシュという男がいます。そこでリュウガとクルア、バッシュが出会い、どのような運命があるのか。リュウガとクルアは無事なのか。次回はその点に注目してください。
次回もぜひお読みください。