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箱の中の子猫

掲載日:2007/05/31

人間は誰しも死ぬらしい。必ず絶対逆らえない運命。それが死らしい。その事を友達に話したら「うへー考えたくないね」なんて言われた。考えたくない、考えたら夜眠れなくなる。うん、わかる。自分が死ぬだなんて信じられない。死んだらどうなるんだろう。本当に魂とかあるのかな。「ないんじゃん?」と友達は言う。そうだよね、死んだら肉の塊になって土に還るだけ。そういえば、小さい頃大量のアリが子猫に襲いかかってたのを助けた事あったなぁ。アリが子猫の体に一杯くっついていたから、バケツ一杯に水を汲んできて、その中に子猫を放り込んだんだ。そしたらアリが一杯水に浮いてきて子猫の体から離れてくれた。子猫は弱弱しくみぃみぃと鳴いていたっけ。それで牛乳を飲ませようとしたんだけど、飲んでくれなくて。家はペット飼うの禁止だったから、子猫をリポビタンDをまとめ買いした時の箱の中に入れて、ベランダに隠したんだ。その日はすごく寒い冬だったよ。だからかな、翌朝に箱を開けたら中で子猫がぴくりとも動かない。死んじゃってたんだ。僕は怖くなったよ。僕が殺したの? って。だけど放っておいたら結局アリ達に殺されていたんだ。それに僕には助けるつもりはあっても殺すつもりなんて全くなかった。だから僕は悪くない。悪くない。悪くない。僕は自分にそう言い聞かせたよ。そしてリポビタンDの箱をそのまま家の前の草むらに捨てたんだ。


 それから一週間経ったある日。僕はその草むらにたまたま目がいったんだ。そして見ちゃったんだ。リポビタンDの箱をね。その中身をね。どうなってたと思う? ねぇどうなってたと思う? 友達は顔を引きつらせたまま、僕から逃げちゃったよ。そうだよね、怖いよね。だってリポビタンDの中は小さく蠢く無数の蛆だらけになっていたんだから。


 僕のせいじゃない、僕は悪くない。だって僕が関わらなくても結局子猫は死ぬ運命にあったんだから。


 夜は眠れない。死の事を考えてしまうから。僕も死んだら子猫みたいになってしまうの? 死ぬってどんなだろう。あーやだなぁ。絶対にいつかは死ぬっていう現実がすごく嫌だよ。でも逆らえないんだよね。不老不死の薬とか生きている間に開発されないかな。なんて思ったりもするけれど、きっと無理だよね。例えそんな薬があっても、一部の大金持ちや権力者だけにしか渡らない。絶対に死ぬ。絶対に死ぬ。絶対に死ぬ。どうしてみんな平気でいられるの? 今笑っていても悲しんでいても怒っていても泣いていても、絶対に最後は死ぬんだよ? 怖くないの? 絶対に死ぬという現実から逃げているの? 僕は怖いよ。死ぬのが怖い。怖い。怖い。


 みんな死ぬんだよ?

感想など待ってます。

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― 新着の感想 ―
[一言] タイトルから内容はある程度予想できたのですが、気になって読ませていただきました。 知らない故に招いてしまった猫の死がこう、なんとも言えなかったです。これは罪なのでしょうかね。 小説としては…
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