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セレンはアンドロイド?

 戻ってこないセレン。

 絶対的な力と信じていたヒューマノイド。

 それがあすかと言うレーザー銃を持つ少女に葬られた。

 ベルッチファミリーが受けた衝撃は大きかった。

 絶対的な力であるがゆえ、もう開発者の原も不要と思い抹殺した。

 絶対的な力であると信じたがゆえ、全方位的に戦いを挑んだ。

 しかも、五大ファミリーの一角にさえ。

 ところが、四体いたヒューマノイドが一体だけになり、今またそれを倒すことができると証明された。

 ベルッチファミリーのオッタビアの屋敷には、サンドロとチェーザレが呼び集められていた。


 「困った事になった。このままでは、コルレオーネとガンビーナの挟み打ちに合う」


 オッタビアが困惑顔で言う。


 「アーシアやモニカもこいつにやられたのだろうか?」


 サンドロは、あすかとセレンの戦いについて書かれた記事を見ながらつぶやいていた。


 「しかし、何故だ?どうして、こんな女にセレンがやられた?」

 「この女の名前、あすかは日本人の女の子の名前だそうです。原と何かかかわりがあるのではないでしょうか?」


 チェーザレが言った。


 「原?」


 オッタビアの顔付きが変わった。


 「確かに、奴と関わりがあるなら、あり得るかも知れんな。

 ヒューマノイドを倒せるレーザーなど、そうあるものではない」


 オッタビアが二人を見ながら言った。


 「ともかく、あの女の居所を探し出しましょう」

 「待て、今はこの女の事より、目の前の敵、コルレオーネとガンビーナだ。

 五大ファミリー二つを一度に敵にする力は、残念だが今の我々には無い。

 勢力が下降しているガンビーナのヴィクトルを一気に葬る。これ以外に、生き残る道は無い」


 オッタビアがヴィクトルに攻勢をかける決断を下した。




 その時、ヴィクトルはセルジオを直接呼び出して、情報を得ているところだった。

 ヴィクトルがソファに深く腰かけ、テーブルを挟んだ向かいにはセルジオが座っている。

 テーブルの上にはプリントアウトされたセルジオが撮った写真の束が置かれていて、ヴィクトルはその束の写真一枚一枚を丹念に眺めている。

 写真にはあすかだけでなく、当然セレンも写っている。そんな一枚をヴィクトルが手に取り、食い入るように眺めて言った。


 「これは先代をやった女とは違うようだ。一体何人いるんだ?こんな化け物が。」


 ヴィクトルはそう呟いた後は無言のまましばらくセレンの写真を眺め、セルジオに向き直った。


 「先代をやった女も、この女の力とほぼ同じなんだろうか?

 この街路灯の状況や破壊された車を見ると、この女の破壊力は信じがたいものだ。

 この女たちの正体は何だ?空手でも、ここまでの破壊力はあるまい。

 それに腹部に銃弾を受けていながら、なぜ平気だ?」

 「はい。この女は人間ではないのでは?

 あすかがこの女の遺体を持ち去っていますので、真実は分かりませんが、十分可能性はあると思います」


 突拍子もない話にヴィクトルが一瞬固まった。

 しかし、すぐに頭の中はその仮定を検証し始めた。

 銃弾を受けても、平気な人間などいない。

 人間が素手で街路灯や車を破壊することなど、できやしない。

 アンドロイド。なら、説明がつく。

 だが、そんなものをどこの国が?

 ヴィクトル自身の中では、セルジオの説を受け入れることの合理性を見出した。


 「すると、アンドロイドだな。

 どこのだ?アメリカか?いやロボットで最先端の日本か?」

 「分かりません。そのような情報は入っておりませんので。

 ただ、この女、あすかですが、その名前は日本人の名前です。

 何か関係があるのかも知れません」

 「すると、全ては日本で造られたアンドロイドで、このあすかもアンドロイドと言う事か?」

 「そこまでは分かりません。

 ただ、ベルッチファミリーの女のソルジャーがアンドロイドだとして、このあすかの動くスピードには大きな差があり、まだ人間に近いと言えます」


 ヴィクトルはセルジオの話に反応を示さず、あすかが蹴り飛ばされて倒れている写真を手に取った。

 スカートからのぞくあすかの足には銃器のような形をしたものが、ベルトで固定されていた。


 「で、この足に付けていた武器だが、これがレーザーと言うのは確かか?」

 「はい。間違いないでしょう。これで、あの女を最終的には葬ったものと思われます」

 「しかし、この女型のロボットもそうだが、こんな小型のレーザーも見たことない。

 これを知れば、軍も動くかも知れんな」


 ヴィクトルが、再び別の写真を手に取ろうとした時、爆発音がした。

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