クラウディアの追跡
壁になっていた2台の車をやり過ごすと、クラウディアは一気に攻勢に出た。
クラウディアが乗るバイクのエンジンが咆哮を上げて、加速する。
一般道。
クラウディアとガンビーナのボスを乗せた車の間は、すでに一般の車で隔てられている。
邪魔になる一般車両の間を縫いながら、クラウディアが爆走していく。
クラウディアが、その視線の先にガンビーナのボスの乗る車をとらえた。
さらにクラウディアが速度を上げる。
距離がぐんぐんと縮まっていく。
射程距離にガンビーナの車を捉えると、クラウディアが素早くピストルを抜き、タイヤを打ち抜いた。
タイヤをパンクさせられたガンビーナのボスの乗る車はスピードが出ていたため、コントロールを失い蛇行しながら減速していく。
その車の中ではすでにクラウディアを迎撃する準備が整えられていた。
窓が開けられ、銃口が差し出される。
しかし、それはクラウディアにとっては撃ってくださいと言う的でしかなかった。
クラウディアの銃口が火を噴く。
銃を構えたソルジャーたちが窓から頭を出した瞬間、頭を撃ちぬかれた。
中に残るのは、ガンビーナと運転手を兼ねたソルジャー一名。
後部座席の真ん中に座っていたガンビーナのボスは車の中に身を潜め、窓越しにその姿を視認することはできない。
これではクラウディアと言っても、離れた位置からの窓越しの銃撃で、ガンビーナに銃弾を撃ち込むことはできない。
ガンビーナにとって、幸いな事が一つあった。
それはクラウディアの戦闘方法に対する制限である。
二体のヒューマノイドの消息が不明になった事と、ヒューマノイドの補修技術があすかの襲撃で失われてしまっているため、自らに損傷を受ける可能性があるような強引な戦いと、人間ではない事が明らかとなるレーザーによる攻撃は禁止されていた。
クラウディアが一旦自分が乗るバイクをガンビーナの車後方に走らせ、一定の距離を置いてから、バイクを加速させ、車の後方より再び接近してくる。
運転席のソルジャーはそのバイクの速度と進路から、自分たちの車の上を飛び越え、前方に回り込むものと直感した。
車を飛び越えた時、バイクは背を見せる。狙うのはそのタイミングである。
ソルジャーがクラウディアの乗るバイクが、自分たちの車を飛び越えるタイミングを待つ。
ドンと言う鈍い音がして、車の天井が歪んだ。
ソルジャーが前に向け銃口を向けた時、クラウディアは天井に飛び移っていた。
後部座席の開いた窓から顔をのぞかせ、銃口を車内に向けるクラウディア。
ソルジャーは前のバイクに気を取られていた。
一方、ガンビーナのボスはバイクが飛び越える瞬間を狙って、車のドアを開けていた。
クラウディアの視界に入った二人の男。
一人は後姿で車から降りようとしていて、もう一人は銃を構えている。
クラウディアはそのプログラムに従って、銃器を持つ男に銃を向ける。
銃を構えていたソルジャーが、車を飛び越えたバイクにクラウディアがいない事に気付いた時には、頭を撃ちぬかれていた。




