クラウディア強襲
ガンビーナの屋敷に面する通りに植えられた街路樹の木陰に輝くバイクが止められていて、その傍らには、バイクスーツに身を包んだクラウディアが佇んでいた。
これまで、クラウディアはモニカと違い、ガンビーナへの襲撃を行っていなかったため、顔は割れていない。
しかも、その距離は屋敷の入り口との距離があったため、ほとんどノーマークである。
クラウディアは門が開く音を聞きつけると、屋敷の敷地の中から出てくる車を注視した。
ヒューマノイドの目には超高速撮像だけでなく、望遠の機能も備わっていて、クラウディアの瞳は、門から出てくる車の搭乗者の姿を確実に捉えている。
門を抜けて出てきた3台の車。
車列の真ん中の車にガンビーナのボスが乗っているのをクラウディアが確認した。
クラウディアが素早い動きで、バイクにまたがるとアクセルを吹かし、急発進させる。
クラウディアはガンビーナの車に追いついた後も、しばらく追走を続けた。
襲撃に際し、ガンビーナが屋敷に逃げ込むのを防ぐ目的と、屋敷からの増援を避けるため、ある程度離れた所で襲うと決めていた。
やがて、車は片側二車線の広い通りに出た。
離れずに着いて来る不審なバイクにガンビーナのソルジャーたちは気付き、3台の車がボスを守るための行動に出た。
まず先頭の車だけが車線を変更し、ガンビーナを乗せた車の進路を空けた。
前が空いたところで、ガンビーナを乗せた車がスピードを上げたのに対して、車線を変更したさっきまで先頭を走っていた車はスピードを落とした。
二台の車が壁になって、クラウディアを邪魔する。
壁となった車はさらに減速を続けるのに対し、ガンビーナが乗る車は加速し、その距離を空けていく。
壁となっている二台の車の窓から、ソルジャーたちがマシンガンを構えて、クラウディアを狙おうとする。
しかし、行動はクラウディアの方が速かった。
銃声はエンジン音に妨げられ判別できなかったが、クラウディアが持つピストルの銃口から4つの火花が陽光にも負けじと輝いた。
一発必殺。
クラウディアの銃弾は外れることはない。
二台の車の後部座席から銃を構えたソルジャー四人は額を撃ち抜かれ、一気に葬られた。
二台の車はそれでも抵抗をやめない。
クラウディアの進路を妨げようと、スピードを落としていく。
対向車線側も交通量が多く、二台の車を今のところ抜き去るタイミングは見えない。
クラウディアがアクセルを回し、スピードを上げる。
二台の車に接近したかと思うと、バイクの前輪を持ち上げた。
ドン!
壁となっていた一台の車の天井がへこみ、鈍い音がした。
クラウディアの乗ったバイクは一台の車に乗り上げて、その天井を踏みつぶして、そのまま走り抜けて行った。




