エントランス突入
ディスプレイには屋敷のドアが映し出されている。
屋敷の外を制圧したアーシアは屋敷のドアの前に移動していた。
アーシアのレーダー状の表示に敵と思われる表示は無い。
特に電波のようなものを使っている訳ではなく、画像処理の結果でしかないアーシアの索敵装置は、固く厚いドアの向こうの状態を把握することはできていない。
だが、当然アーシアの人工知能はそこに敵が待ち構えていることは予想している。
アーシアがドアの取っ手に手をかけ、一気にドアを開く。
その瞬間、屋敷のエントランスに明るい外光が差し込むのと入れ替わり、耳をつんざくばかりの銃撃音を引き連れ、数多の銃弾が飛び出していく。
しかし、銃弾の弾道上にはすでにアーシアの姿は無く、放たれた銃弾は空しく空を切り裂き、その存在を確かなものにするためか、地面を打ち砕いていくだけであった。
敵の姿が無い事で、エントランスでアーシアを待ち構えていたソルジャーたちのトリガーが緩む。
ドアの横の壁際かどこかで身をひそめ、突入のチャンスをうかがっているはず。
そう考えているソルジャーたちは全神経を開け放たれたドアの向こうに向けていた。
一瞬の静寂の時。
その時を待っていたアーシアが最大戦速で中に飛び込むと、レーダー状のものに5つの点が表示された。
中で銃を構えていたのは5人のソルジャー。
ソルジャーたちが待ち構えていた場所まで、ドアとの距離はあまり無かった。
アーシアは止まることも、避けて背後に回ることもできず、アーシアはそのまま進路上にいた二人のソルジャーと激突して、止まった。
アーシアと激突したソルジャーたちはそのまま弾き飛ばされ、何かが潰れるような鈍い音を立て、壁に激突した。
二人のソルジャーは大きく白目をむいた状態で、床にずり落ちていく。
背後の壁に飛び散る鮮血で、先鋭的な文様を描きながら。
残った三人のソルジャーたちは何が起きたのかと、驚きの表情で吹き飛ばされた仲間のソルジャーたちに目をやろうとした。
それが、三人のソルジャーたちの人としての最後の意識だった。
アーシアが休むことなく、立て続けに残りの三人の頭部を殴り飛ばすと、ソルジャーたちは頭部を陥没させ、口と傷口から血を吹き出して、吹き飛んで行った。