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ロレンツォ教会

 その日、ベルッチファミリーは二つの作戦を決行していた。

 一つはアーシアに任せたロベルトの抹殺。

 もう一つはクラウディアに任せたエルカーンファミリーの旧支配域に進出していたガンビーナファミリーの者たちの抹殺。


 二つの作戦は成功した。

 ロベルトは抹殺され、その屋敷は炎に包まれた。


 エルカーンファミリーの旧支配域にいたガンビーナファミリーの幾多のソルジャーたちは無残にその屍を路上にさらした。


 ベルッチファミリーの勢いは止まらない。

 ベルッチファミリーの動きを警戒する者たちは、誰もがそう思い始めていた。



 そんな次の日。

 焼け落ちたロベルトの屋敷跡で、ベルッチのソルジャーたちが何かの捜索をしていた。

 その中には、クラウディア、モニカ、セレンの姿もあった。

 巨大な建物の残骸でさえ、容易に抱え上げる彼女たちの力を敵の目から隠すため、屋敷の外にはソルジャーたちが配置され、屋敷に近づこうとする者たちを排除していた。


 何か重要な事をしている。


 ベルッチファミリーの動向に興味を持つ者たち全てが、そう感じていた。

 そう言う者たちは、そこにベルッチファミリーの戦力の多くが注ぎ込まれている事を察していた。

 すなわち、ベルッチの屋敷は今、手薄であると。




 ベルッチの屋敷近くに建つロレンツォ教会。


 豪華な造りだが、ここをたずねる者はいない。

 もちろんミサが行われる事もない。

 手入れをしている者もおらず、外観は荒れていた。

 何十年か前、この教会でミサが行われている最中、マフィアの抗争に巻き込まれ、多くの一般人が犠牲となった。

 その怨霊が今もこの教会の中をさまよい、立ち寄る者をあの世に引きずりこむ。

 そんな噂が流れ、ここは廃墟同然となっていた。

 そんな噂に挑もうと何年かに一人くらいはこの教会に入る者がいるが、そんな輩はみな死体となって、川に浮かんでいた。


 そんな教会の前に、一台の車が止まっていて、誰かが教会のドアを開けたのか、ドアの薄汚れた取っ手部分に人の手形を残していた。


暗く、細い道。どこかとどこかをつなぐ、トンネル。

 そこを歩む人影があった。

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