無敵のアーシア
アーシアと警戒に当たっていたソルジャーたちによる銃撃音で、敵の襲来を知ったロベルトのソルジャーたちが、屋敷の中から次々に飛び出してくる。
ソルジャーたちが遮蔽物に身を隠しながら移動し、アーシアを確実に仕留めようと、一歩一歩アーシアに近づいていく。
屋敷の窓から多くのソルジャーたちがアーシアの注意を自分たちに向けようと、銃撃を開始した。
アーシアの人工頭脳は、一度視界にとらえた敵の存在を、その敵が視界から消えても抹消しはしない。
近づいて来ようとする敵の存在も、屋敷から銃撃してくる敵も同時に認識していた。
アーシアが近づいて来る敵の背後に回ろうと、速度を上げ、一気にその場所から離れた。
その移動速度は人の視力をはるかに上回っており、全てのソルジャーたちがアーシアを見失ってしまった。
屋敷内にたつ石造りの彫像に身を隠しながら、アーシアを狙っていたソルジャーたちの一人が、見失ったアーシアの姿を求め、敷地内の隅々に視線を送る。
「いない。
どこにいる?」
そのソルジャーがそう感じたのが、人としての最後の意識だった。
背後からのアーシアの蹴りが、ソルジャーの側頭部をとらえる。
側頭部を陥没させ、首を90度傾けた状態で、ソルジャーの身体が吹き飛んでいく。
「いたぞ!」
屋敷の窓から、銃撃していたソルジャーたちが、一斉に声を上げながら、銃口をアーシアに向ける。
しかし、アーシアの近くには仲間のソルジャーたちの姿があり、トリガーを引くことができない。
トリガーに指をかけたまま、チャンスをうかがうソルジャーたち。
アーシアの近くにいたソルジャーたちが、慌てて銃口をアーシアに向けようとするが、アーシアの動きをとらえきれないでいる。
アーシアの攻撃で瞬く間に血を吹き出して、肉塊となって吹き飛んでいく仲間のソルジャー。
そこに銃口を向けた時には、別の場所にいる仲間のソルジャーが肉塊となっている。
次々に葬られていく、ソルジャーたちの姿を前に、屋敷の窓からの銃撃が開始された。
降り注ぐ銃弾に、砕け散り、飛散するのはアーシアではなく、石造りの彫像と地面だけである。




