私はお前を守る
ロベルトがゆっくりと二人に近づく。
「原さんのお働きには、感謝している。
お二人に報いるため、娘さんと共に解放させていただく」
ヒューマノイドを開発した時点で、娘とともに解放する。
確かにそう言う約束ではあった。
そのために、原は頑張ってきた。
しかし、心の奥底では本当に解放されるとは思っていなかった。
それだけに、原はロベルトの言葉に一瞬耳を疑った。
解放される。
日本に帰れる。
一瞬、原の心に喜びが浮かんだが、すぐに消えた。
その言葉が実行されるとは限らない。相手はマフィアである。
「ただ、お気の毒な知らせもある。
解放はしますが、お二人を日本に返す事はできません」
たった今まで、美紀は父に会えたうれしさでいっぱいだったが、日本に帰れない、その言葉にたまっていた悲しみが一気に噴き出した。
「うわーん」
美紀の目からあふれる涙。
「私たち、どうなるの?」
父の胸に顔を伏せて、震えている。
原はこれ以上娘を心配させまいと、落ち着いた口調でロベルトに言う。
「では、私たちをどうする気だ?」
「お二人で暮らせる環境を用意しているので、そこでずっと暮らしていただくことになる。ただ、その場所は人のいない所になるのだがね」
原が美紀に日本語で、諭すように言った。
「大丈夫。心配するな。
生きていれば、いつか日本に帰るチャンスはある。私はお前を守る」
美紀が顔を上げ、原を見つめる。原が美紀の頭を撫でながら、頷く。
美紀も涙顔でうなずいた。
ロベルトには二人が何を言っているのか、分からなかったが、どうせあの世に行くのだからと、気にも留めていなかった。
「悪いが、今からここを引き払って、私の屋敷に移動してもらう」
その言葉に、原が驚いた顔を向けた。
「どうして?」
「君たちの事はボスから、全てを私が任されたからだよ」
原は目を見開いて、固まっている。
「どうした?」
そこまで驚くとは思っていなかったロベルトが逆に戸惑いの声を上げる。




