エルカーンファミリー壊滅
エルカーンのボスが、目を見開き、瞬間の火花が映し出す光景の中に、敵の姿を見出そうとしている。
その時、さっきまでは何もなかったはずの自分の視界の片隅に、何か大きな物が映っている事に気付いた。
エルカーンのボスの背筋に冷たいものが流れる。
「わぁー!」
そう叫んで、マシンガンをその方向に向けようとしたが、その動作を開始し始めた頃には、アーシアの銃にこめかみを撃ちぬかれていた。
アーシアはこの後、屋敷に火を放った。
誰の目にも分かるこの屋敷の炎上はエルカーンファミリーの壊滅を世間に知らしめる事になった。
ベルッチファミリーのボスが、視線をディスプレイから原に移して言う。
「原君。
どうだね。素晴らしい成果だ」
ボスは満面の笑みを浮かべている。
「そうですね」
ボスの言葉に、そう答えた原の顔は引きつっている。ボスが鋭い視線を送り、その原の表情から心の奥底を読もうとしている。
ボスは視線を原からディスプレイに戻し、両手を上に掲げ、大きな声で言った。
「とにかくだ、アーシア一人で弱小とは言え、マフィアのファミリーを一つ壊滅させた訳だ。
これは大したものだ」
そして、再びその視線を原に向けた。
原はかすかに震え、うつむいている。
無理やり造らされたはずだったが、造るなら最高のものを造りたくなった。
そして、出来上がったものはとんでもないものだった。
無敵の殺戮マシーン。
恐ろしすぎる。
そんなものを自分で造ってしまった。
そして、それを持っているのはマフィアである。
原の心の中に、自責の念が膨らんできていた。




