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アーシア突入

 扉の外側では、アーシアが右の手首を再び取り付け、ゆっくりと右手首と指を動かし、動作に問題が無い事を確かめている。

 問題なく全てが動作することを確かめた、アーシアが鍵の破壊された扉を引いた。


 暗闇の中、重い鋼鉄がこすれる鈍い音がゆっくりと響き始めると、暗闇に離散的な光と銃撃音が発生した。

 ドアの向こうから休む間もなく放たれる銃弾が細い廊下の壁を打ち砕き、廊下の陰に身を潜めているアーシアにコンクリート片が降り注でいる。


 アーシアは自分の近くの空間を切り裂いている銃弾にも、全身にぶつかってくる小さなコンクリート片にも構うことなく、じっと動かず、その時を待っている。

 しばらくすると、マシンガンの銃撃がおさまった。


 二人がいる空間を再び暗闇と沈黙が包み込む。

 ここは真の暗闇の世界。

 人間の目には何も映ることはない。

 アーシアはそれを知っていた。

 だとすると、さっきの銃撃はドアが開く音に反応したか、もしくは暗視スコープのような装置を持っているかである。

 アーシアが懐から銃を取り出し、そっと突き出してみる。

 エルカーンのボスが潜んでいるであろう空間から、視認できるはずである。

 しかし、何の反応も無い。

 アーシアがその銃を部屋の中に向けて、トリガーを引いてみた。


 一発の銃声音と共に、暗闇に小さな火花が咲く。

 それに応えるかのように、マシンガンが火を噴いた。

 アーシアは判断した。

 中にいる男は耳を頼りに攻撃している。

 そして、マシンガンの弾道から言って、中にいる男は一人。

 その位置はドアからほぼ45度の角度の位置にいる事を。


 ダメージを受けずに勝てる!

 アーシアは一瞬の内に判断した。

 アーシアが部屋の中に飛び込む。


 その音にエルカーンのボスがドアに向かって構えていたマシンガンのトリガーを引いた。

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