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暗闇にかすかに浮かぶレーザー

 原が開発したヒューマノイドはその右腕部分に、強力な高出力レーザーを備えていた。

 そのレーザーに早急にエネルギーを充電するため、他の大半の機能を停止させる必要があり、映像を記録するシステムへの電源供給も停止されるため、この間の映像は記録されていない。

 再び表示された映像には暗闇の中に映える眩いばかりの光が映し出されていた。

 レーザーのエネルギーに耐えきれず、鋼鉄の扉の鍵穴部分が火花を散らし、溶解している。


 

 その扉の向こうではエルカーンのボスが事態を把握できず、戸惑っていた

 突然溶け始めた鋼鉄の扉。

 鋼鉄が解け、開いた穴からこぼれ入ってくる光はほとんど見えず、部屋の埃を焼き落としながら反射する光だけがちらちらと見えている。

 そして、その光線先に位置する壁にも破壊が起こっている。


 「これはレーザーなのか?

 敵は何者だ?」


 追いつめられた者が感じる恐怖にさいなまれながら、エルカーンのボスは慌てて部屋の照明を切った。

 真っ暗な広くない空間となった、ボスが潜む部屋。

 その暗闇の中、軸線上に位置する埃を焼き落としながら、かすかに浮かび上がる一直線に伸びる光。

 レーザーの不気味さ。

 エルカーンのボスは湧き上がってくる恐怖に耐えながら、マシンガンを扉に向けて構えた。


 扉の鍵部分が完全に融け落ち、ぽっかりと口を開けたような穴が完成すると、レーザー光がおさまった。

 敵は今にも乗り込んでくると、エルカーンのボスはトリガーに指をかけ、その瞬間に備えた。

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