お家を探そう!後半*ただし金はいらない
ここまで読んで
「ダメだコイツ・・・」て思ったら貴重なお時間を無駄にしてしまいそうなのでどうかお引き返しお願いしますっ!*ただし金が必要
どんな事があった日にでも朝は訪れる。たとえそれが、家族を失った日でも――
「それなら・・・え!?」
気付いたときには朝がやってきていた。
「やっぱり座ってれば眠気はないみたいだ!朝だなんてまったく気付かなかったぜ!」
それでも時間のズレを感じるのだろうか、テンションはおかしい。
「はぁ・・・とにかく!雨も止んでるし今からどこかいきましょう!」
モシャモシャ髪となったウールに引っ張られて、門の下から久々にでた。これが引きこもりが初めて外に出る気分か。
名前すら知らない城下町だが、ずいぶんとお祭りムードが出ていた。
「・・・案外活気にあふれてますね」
「そりゃ、商売に笑顔はつき物って言うしな。必死なんだろ」
ここで店を出しているのはほとんどがプレイヤーである。金が手に入る一番の手段なんだろう。
「武器に防具に道具にパンに・・・なんでもそろってるな」
まだデスゲームが始まってから二日目なのに・・・ちょっと関心してしまう。
「あ、あそこはなんでしょうか?ちょっと行ってみましょう!」
先行するウールにつられて、とても大きな施設の中に入っていった。
「ここは・・・?」
中は他のプレイヤーで大混雑していた。蒸し暑さを感じる。
「いらっしゃいませ!ここは両替屋です!」
カウンターの奥から一人の女がでてきた。
両替屋か、確か持ってきたアイテムとかを金に換えてくれる所だった気がする。
「何か持ってませんか?いい値で買い取りますよ?」
「いや、今はいいや。また来るよ」
帰ろうとすると、女は何か言いたげな表情で彼を見つめてきた。
「・・・どうしたの?」
両替屋の女は、ウールを指差し
「そちらの女の子とかどうですか?」
「・・・え?」
「サービスしますよ、その子なかなか体つきが良さそうだし・・・」
・・・今なんて言った?
「おい」
「ちょ、ちょっとアキさん!外にでましょう!ね?」
外野が騒いでいるがもうどうでもいい。ただ思いのままに彼は右手を振り上げ、そして
気がついた時には、目の前に鼻血を垂らしながら倒れている女がいた。
「あとは成り行きで分かるでしょう。俺はしばらくこの牢屋が家になりそうです・・・と」
ペンのインクが尽きると同時に、彼にはすることがなくなった。
「うぁー暇だなー看守さーん」
「うるさい黙れ。もう貴様とは絶対しりとりなどやらん、それに牢屋内に私物を持ち込むな」
「ちぇー」
こうしている間にも、すでにお金持ちになっている人は増え続けているのでした。