━ライン━
━チャットルーム(都市伝説)━
──ライン さんが入室。
ライン>ねぇ知ってる?
ライン>K町の湖の底にはね、沢山の死体が沈んでるんだって
ライン>その死体はね、全部頭部が引きちぎられていて、頭の無い死体ばかりらしい
──ライン さんが退室。
──────────
『ねぇ、ラインってハンドルネームの人知ってる?』
〖知ってる!なんか今チャットルームに色々書き込んでる人でしょ?〗
『そうそう、その人がね、私のチャットルームにも来てさ』
〖えー、なんて書いてあったの?〗
『えっとね──』
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「今日は転校生の紹介から始めます。」
教室に入ってきた担任の先生が、隣に立つ男子生徒を前に立たせる。転校生は、少しオロッとした表情を見せるもお辞儀をして教室内を見渡した。
「えっと、今日からこの学校に通うことになりました。榊原渉です。よろしくお願いします。」
自己紹介を終えれば少年は先生を見て後ろに下がる。
「榊原君はそこの席へ。」
そう指差す先生を横目に少年は、言われた席へ座る。窓際で縦3列目、隣は生徒会長の美咲利香だ。
「榊原君、わかんないことあったら何でも聞いてね。こう見えても生徒会長だから!」
そう言って少年に握手を求める生徒会長。少年は小さく頷いて「はい」と微笑んで軽く握手を交わす。
「「遅れてすいません!!」」
二人揃って、息ぴったりにドアを開けてそう叫ぶのは双子の佐藤悠と瑠だ。二人は少年の後ろの席とその隣の席に座ったと同時に1時限目開始のチャイムがなる。
「あれ?キミ・・・」
少年の斜め後ろに座った瑠が、少年の横顔を見てそう呟いた。その視線に気がついたのか少年は瑠の方を見つめて首を傾げる。
「僕は榊原渉と言います。今日からこのクラスで勉強させてもらいます。よろしく。」
小さく微笑みながら瑠を見つめそう言うと、前を向き授業に戻った──。
「ねぇ榊原君、ラインって言うハンドルネームの人知ってる?」
対策係の三咲利香がそう言って少年に話し掛ける。少年は平然とした表情で首を傾げて三咲を見つめる。
「その様子じゃ、知ってなさそうだね。気にしないでね。」
そう言うと少年に背を向けて教室を出て行った。
「「榊原くーん!」」
仲の良さそうに少年の前に現れる双子。
「榊原君ライン知らないの?」
そう言ったのは瑠だ。悠は瑠に「やめとけ」と言うと少年を見て小さく笑う。
「榊原ごめんな、きにしないでくれ。」
悠はそう言い残して、瑠をひっぱり教室から出て行った。教室に一人残された少年。
「ライン・・・」
と呟くと机にうつ伏せになりソッと目を閉じた。