93.不思議方式搬入
あんまりたくさんのバッテリーを1人で使うのもな、って事で、地下倉庫の掃除をするお掃除ロボットは、とりあえず2台にしておく事にした。大丈夫、普通の物はちゃんと箱に入ってるから。床に転がされてないから。たぶん大丈夫。
まぁ最初の内はあっという間にステーションがいっぱいになるんだろうなと思ったし、実際ステーションは何度も一杯になっていたから、今日だけで結構な数の紙パックを交換する事になったが。紙パック自体は段ボール箱から見つけておいて良かった。
見つかった平和な家電は地上1階の倉庫に入れておく。慣れている人が、ここにあるものは、必要であれば持って行っていいやつ、と教えてくれている筈なので、たぶん大丈夫だろう。
「あの、ツミキさん」
「どうしました?」
「その、倉庫にある家電なんですけど……明日で良いので、一部、牧場に持って行ってもいいでしょうか?」
「あー、そうですね。大型の冷蔵庫とかもありますから、工一さんと高師さんに相談しましょうか」
「ありがとうございます!」
と思ってたらそんな相談をされたし、それ自体は良いんだがそんなに困ってるのか? と思って聞き返したら、どうやらあの蔦が探るついでに結構な数の家電を壊していったらしいんだ。あいつさぁ。もう討伐されたけど。
まぁだがそういう事なら必要な分だけ持っていけばいい。過剰に持って行っても、世界がこうなった以上転売とかも出来ないというか、やっても意味が無いだろうしな。そもそもお金の意味が既に大分薄れている。
工一さんは引っ越し組だったし、まだアンテナは出来ていないので、連絡出来るのは明日だな。まぁ言い出しっぺの人が連絡してくれるらしいので、私はその結果を待つとしよう。
「しかしまた金庫が出てくるとは。いやいいんだけど。……いっそ結界の形をした道具に加工した状態で「何か出てきました」って言って倉庫に入れておくか?」
と、自分の部屋に戻って鍵をかけて、そこに移動させておいた金庫が3個になっているのを見て出てきた独り言だったんだが、それはさておき、4エリア目の事を心配しながら就寝。
で、転移1ヵ月と21日目。言い出しっぺの人は朝ご飯の後で、ちゃんと自衛できる装備を整えた上で新規探索組の人達に護衛をお願いして出発していった。私は引き続き地下倉庫で金属コンテナの開封作業である。
掃除が進むと空間が広くなる、の謎法則はそのままで良いらしく、夜の間もお掃除ロボットが頑張っていた結果、並べて置いていた筈のコンテナ同士の隙間が空いていた。本当にこの法則訳が分からないな。
「ツミキさん! こちら、牧場に持ってきてほしいリストです!」
「……あー、大物もありますね。という事は、私が運ぶんですね。分かりました」
「お願いします!」
昼一で戻って来た言い出しっぺの人から、結構びっしりかかれたリストを貰って、それを見て理解する。まぁそうだな。これだけの重量物を運ぶなら私が運ぶのが一番楽で確実だし、私が動くのなら一度に一気に動かした方が良いな。
私の分のグルスニールは置いて行って貰っているので、言い出しっぺの人及び午前中と同じメンバーに護衛してもらって牧場に移動。
途中で高耐久型の苔ゾンビと遭遇したが、ちゃんと色々教わった人達だからか、高耐久型と分かった瞬間に全員で囲んでボコボコにして仕留め切っていた。判断が早くて対処が的確だ。
「大型を含む家電類を持ってきましたよー」
「あぁ、ありがとうございます! 普通の家電はこちらの部屋で、大型家電は場所を指定したいのですが……」
「むしろ指定してもらった方が助かります」
高師さん(旦那さん)に出迎えて貰って、家電を、たぶんフリーで持って行っていい部屋に置いて、大型家電を配置。
その途中で聞いた話によると、どうやら既にスパイスポケットの砂糖が手に入る奴は植えて育てていて、既にキャラメルの生産はかなり安定しているのだそうだ。まぁそれは知ってる。王子様が抱え込んでいるから。
その他にも、チーズもフレッシュな奴はそれなりの量が出来てきたし、アイスクリームも作れるようになったらしい。ハードなチーズは仕込んだばかりなので、まだちょっと時間がかかるそうだ。
「屋根裏の補強をして下さったので、無事牧草ロールを作って保管する事も出来ていますし、本当に何と感謝をすれば良いか……」
「私達も乳製品と言うたんぱく質を安定して食べられるようになるのはとても大きいですからね。助け合いです」
……まぁ途中でちょいちょい高師さん(旦那さん)が、ぶわっと泣いてしまうんだが。情緒が不安定なんだろうか。いやまぁいわゆる命の恩人的な事をしたのは分かってるんだが。




