68.作業は順調
私がとりあえず派手な壁の穴を塞いで拠点に戻ってから地下倉庫を確認すると、既に結構な量の断熱材が入っていた。これ家が新しく2軒は立てられるな? めちゃくちゃ頑張っている。
グルスニールがあるからとりあえず今の所機動力には困っていないが、そろそろ宇宙人式魔改造の元、いや素材、どっちでも一緒か。そうなるバイクぐらいは修理しておいた方が良いかもしれない。ゲーム知識で一番良いやつになる種類は解体せず倉庫に保管してあるから。
まぁガソリンとかではなく「ジェル」で動くようにする為には改造が必要だし、それが出来るのは地球の機械が好きな宇宙人なので、いつ遭遇もとい発見できるかは不明なんだが。
「断熱材が十分な量あるから、壁を先にするか?」
転移1ヵ月と3日目。ちょっとそんな事を思ったが、掃除をした事ではっきり分かるようになった廊下の穴や傷み方は、他に通れる場所があるなら通行を不可にするべきものだったので、予定通りこっちを先にする事にする。といっても、応急処置の域は出ないんだけどな。
どうやら高師さん(旦那さん)は、応急処置出来た部分にペンキを塗る作業をしているらしい。何故なら壁だけは元々自分で塗ったものらしいからな。そうなんだ。普通に業者を入れたんだと思った。
まぁ隙間はちゃんと詰めたし、仕上げのヤスリもかけたし、下地的な感じで隙間を埋める塗料は塗ってもう乾いているだろうから、壁にペンキを塗る事には支障は無いだろう。という事で、私はとりあえず廊下及び床下まで開いた穴を塞いでいく。
「ど、どうでした?」
「配管と配線には影響が出ていないようですし、穴を塞げばほぼ元通りだと思います」
まぁ1ヵ月は電気も水道も普通に使えてたんだから、影響が出てないのは分かってたんだけどな。ちょっと雨漏りがあるところと崩れそうになっているところは気をつけて確認しないといけないが。
という訳で午前中で廊下の穴を塞ぎ、一旦戻る。お昼ご飯美味しーしてから大量の水を持って牧場に移動。屋根の点検を開始だ。こっちには確か屋根裏部屋ってなかった筈だし。
……部屋は無かったけど、空間はあったな。それも結構広いスペースが。何に使うのか聞いたら、干し草ロールの保管場所らしい。なるほど。
「それリフォームする時に伝えました?」
「伝えた筈です」
「えぇ」
「多分重量計算ミスってますよ。でなきゃあんなに水が入る訳が無いですし。屋根を支える柱を増やすか、柱と梁を補強した方がいいですね。というか、私ならそうします」
「「!?」」
干し草ロール自体はビニールで包むらしいので、あの屋根裏にあっても濡れる事は無かったんだろうが、こいつはひでぇや、としか言えない。まぁ廃屋修理業なんてやってたらちょくちょく遭遇する事態ではあるが。
文句を言おうにも、その業者は既に連絡がつかないだろう。最初から騙すつもりだったとかそういうのじゃなくて、世界がこんな事になっちゃったからな。残念ながら、一般的な人間の生存率は、とても低い。
「とはいえあくまで私の見立てではであって、工一さんもどうやらそっち系のお仕事をされていたようなので、そちらにも確認をして貰うと良いと思います」
「……そう、させて頂きます」
「まぁ干し草ロールの重量と数が分からなかっただけという可能性は高いですし、他の場所は真っ当なので、普通のミスだと思いますよ」
何か高師さん(奥さん)の顔が黒くて怖かったので、一応どこの誰とも知れない業者に対してフォローを入れておく。干し草ロールの重量なんてな。普通はな。分からんのだよ。分からないなら自分で調べて計算に入れて大丈夫なように作るのは大前提なんだが。
とりあえず工一さんが見るまでは現場保存だから……腐ってる場所の広さを計って板を切り出しておくか。そして干し草ロールの重量と最大数を確認して、柱と梁の強度計算しておこう。
屋根裏の床、室内の天井が下がって屋根との間に隙間が出来て水が入って来てる感じだから、重量をちゃんと支える事が出来れば隙間は開かない筈だし。一応隙間が開いてただろう場所も確認するけど。




