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7.謎の中身の確認

 じゃがいもの植え付けと収穫、ついでに収穫後を耕す作業もわりとさくさく終わったから、もう一度地下倉庫を見に行くことにした。さっきのじゃがいもがどこにあるかも確認したかったし。

 ただし今度は他の倉庫をもう一度確認して、箱を開ける為の道具を探して来た。ダンボール箱には小刀みたいなナイフ、木箱にはバールのようなもの、金属コンテナにはサイズ可変式レンチだ。『サバイバルクラフターズ』ではこれで開けてたからたぶん補正が入る。

 ……冷静に考えると、高さ3mの地下倉庫にほぼ天井一杯まであるような箱をこんな道具で開けるって正気か? になってしまうので、その辺はあんまり考えないようにする。結局、開けて見ないと中身は分からないっていうのも仕方ないと諦める事にする。


「えーと確か、中身の分類で箱の種類も変わった筈で、機械か宇宙人系がコンテナ、紙系と布系がダンボール、ナマモノ含めた消耗品が木箱だった筈……」


 ……肉の塊とか出てきたらどうしよう。

 いや、でも、いくら地下倉庫でも現実になった以上ナマモノは腐るかもしれない。腐ってから慌てるより腐る前に見つけた方がいいのは間違いない。うん。それに肉なら最悪小さく切ってカラカラに干してしまえば日持ちするようになる。大丈夫。

 それでも限界っていうのはあるし、と、あまり奥に入り込まないように気を着けながら探した中で、一応一番小さいんじゃないかな、という木箱を開く事にする。

 まぁ小さいと思う、と言っても周りと比べればであって、手足を伸ばして寝られるソファーぐらいはあるんだけど。まぁとりあえず、端から釘を抜いて、上側の板をずらして引っ張って、できるだけそっと下ろしてと。さて中身はなんだー?


「あっ、塩だヤッター!」


 思わず天にこぶしを突き上げる勝利のポーズになってしまったが、まぁ仕方ない。塩は大事だ。とても大事だ。保存食には必ずと言っていい程大量に使うし、普通に無いと死ぬ。

 これは助かる、と、持ち込んでいたメモ帳に「塩」と書いて、木箱の横に張り付けた。これで地上のキッチンのどこかに、塩の袋が自動で出現する筈だ。補充がとても楽になる。そうでなくても、他と区別する為には必要だ。

 そして塩が大量に使えるようになったなら、肉が来ても大丈夫だ。塩漬けにすればいいだけだ。まぁもっと色々、胡椒とかハーブとかを使えばもっと美味しくなるんだろうけど、とりあえず保存するだけなら塩で十分。


「初手で良いやつを引けた。後は大豆か米が出てくれればスタートダッシュは最高なんだけど」


 なおその塩の木箱から梯子の方に戻る途中で3つの木箱を開けたら、その中身は順番に、小麦、米、そしてゾンビ苔の絞り汁(500mlの瓶詰)だった。……うん! まぁ米があるから、ヨシ!

 それに絞り汁……正式名称はたしかグリーン()エナジー()リキッド()だったけど、それぞれの単語の頭を取って「ジェル」や「ゲル」って呼ばれてたな。攻略サイト、ではなく、作中のキャラクターに。

 絞り汁自体はさらさらな描写だったから、若干違和感がある。今も現物を見るけど、やっぱりさらさらだな。まぁ『サバイバルクラフターズ』での公式が「ジェル」なんだから、「ジェル」でいいのかもしれないけど。


「まぁ絞り汁よりジェルの方がマシか」


 それはそう。と納得して、「ジェル」の瓶を1本、オーバーオールのポケットに入れて梯子を上る。塩はまとまった量が見つかったけど砂糖も欲しいし、出来れば醤油や出汁の素も欲しいからだ。

 そもそも、あの雑草の中に混ざっていたスパイスポケットが何の調味料を作るのかは分からない。少なくとも1度は収穫して確認しておかないとダメだ。それこそ魚醤みたいな匂いのキツいものだったとしても、これは育てたらダメなやつ、っていう情報は必要だから。

 内庭に移動して、既にぴょこぴょこと緑色の葉っぱが伸びているのにちょっと遠い目になったものの、スパイスポケットの植木鉢に、適当にジェルを注いでみた。


「お、おぉー……」


 残しても他に使い道は無い、という事で、1本を3つの植木鉢に分けて注ぎ切ったんだが、まぁ「ジェル」の瓶がぱっと消えたのはいい。素材として使えないのは仕方ない。だって絞ったら何故か瓶詰めされて出てくるからな。

 一方で、スパイスポケットについていた袋部分がむくむくと大きくなったのも想定通りというか、まぁじゃがいもを見れば大体想像できた。植木鉢に植えた時は20㎝ぐらいだった茎が、早送りみたいに伸びて50㎝ぐらいになったのもまぁそうなるかなって思った。

 ただ、葉っぱの根元が膨らんで、あっという間に袋に育ち、大きくなっていくのはともかく、それがぽとっと落ちたらまたすぐ次の膨らみから袋が出来て、というのが何度も繰り返されたし、最終的に10個の袋が3回は入れ替わったんじゃないか? というのは驚きだ。


「まぁ全部小さい方だって事は、全部粉系だったって事なんだけど」


 なおかつ、この見ている間に落ちたのが収穫作業扱いになったらしく、落ちた袋はその場に残っていない。落ちていないのはまだ収穫できないから、地下倉庫に確認しに行かないといけない。

 まぁじゃがいもだってすぐに見つかったんだ。大丈夫だろう。という事で、出てきたばかりの地下倉庫に行った訳なんだが。


「ん? いや砂糖はまぁいいとして、顆粒出汁、もう1種類は……顆粒出汁が砂糖の倍ぐらいある、って事は、まさかの種類被り?」


 いや、まぁ、出汁の素はいくらあってもいいものだけども。

 それこそドレッシングとかよりも遥かに使うし保存もきくけれども。


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