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リアル・サバイバルクラフター  作者: 竜野マナ(竜灯草)


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63.高耐久変異個体

 そして私がメロ高牧場の高師さん(奥さんと気が付いた旦那さん)に、今何が起こって何が分かったのかを説明している間に工一さん達は戦闘態勢を整え終わっていたし、私の説明が終わった頃に、冷静によく見たらちょっとだけ色が濃いかな? っていう苔ゾンビが1体だけでふらふら近寄って来た。

 で、探索組の人達がまずは順番に攻撃してみたんだけど、ここまでの普通苔ゾンビなら誰か1人の攻撃でも散らばって、いくつかのお饅頭型のゼリー状になるところ、全員の攻撃が終わってもまだゾンビの形をしてるって事で、高耐久の個体だって事は確定した。


「下手に腕とか切り落とさない方がいいのでは?」

「[どういう意味だ]」

「だって今ジェレックさんが切り落とした腕、単体でまだ動いてますし」

「[……位置がおかしいと思ったら、単独で動いていたのか]」


 まぁ流石のジェレック君はその腕を切り落としていたんだが、その腕がもぞもぞ指で這って動いていたから、それは指摘しておくんだが。なおその腕自体は王子様が炎の矢で仕留めていた。

 しかしいくら高耐久変異個体だと言っても、耐久度もしくは体力以外は普通の苔ゾンビと変わらないからな。皆で囲んで叩けばそれで終わる。実際、戦闘時間そのものはそんなにかかっていない。

 そして高耐久変異の苔ゾンビは、それだけ大量の「ジェル」を落とす。元の苔ゾンビがそれこそ腕1本か2本分になるのに対し、こいつは元の苔ゾンビより多い「ジェル」になるからな。まぁ絞らないと「ジェル」にはならないんだが。


「これは……単独でならどうにかなるが、他のに混ざってるとちと厳しいぞ」

「[こいつに構っていると囲まれそうだな。外見で見分けるのは難しいから、攻撃して倒れなければすぐ知らせる事を徹底しなければならんだろう]」

「もうちょっと良い武器が欲しいですね。人数なり時間なりが半分になれば大分大きいでしょうし」


 その「ジェル」の山を見ながら対処の相談だ。高師さん夫婦は……ほえーって顔もしくはぽかーんとしてるな。そうか。そうだな。ちょっと対処に慣れ過ぎてるな。柵を強化して引っ掛かったゾンビをちまちま叩くだけだった人にこれは無理だな。

 なお今の探索組の人達の武器は、看板とかの鉄板を良い感じに研いだ剣とか、鉄骨の一部を使って鉄のこん棒もどきである。まともな武器は、それこそジェレック君の剣ぐらいだろう。王子様の杖も、当然ながら骨の杖だし。


「[武器か。それでいくと、アルラウネの蔦は比較的良い武器に加工できるだろうな。ヤヌシ、蔦を回収していただろう。1つ出せ]」

「ここで加工できるんですか?」

「[形を整えてエンチャントを施せば最低限の武器にはなる。少なくとも、単純な鉄の塊よりははるかにマシだ。本格的に仕上げるなら、もう少し落ち着いた場所で時間をかけた方が良いがな]」

「えんちゃんと?」

「[魔法の効果を与えるものだ。根本的には変わらないが、アルラウネの蔦であるなら魔法の通りも良い。それこそただの鋼ぐらいなら切れるようになる]」

「魔法すげぇな」


 流石システムガイドも出来る王子様だ。武器の話を振ったら蔦が武器に良いって情報が即座に出てきた。助かるなぁ。何でゲームだったらあそこまでどうしようもなく強欲傲慢だったんだ? まぁここまでの自由度が無かったからだろうけど。

 という訳で1本が直径1mぐらい、長さが3mぐらいある蔦を牧場の入り口前で取り出すと、高師さん夫婦が声にならない悲鳴を上げていたが、そうだな。これも超常現象だし、たぶん牛を攫った蔦ってこれだっただろうしな。すまん。

 でも王子様がそんな高師さん夫婦を気に掛ける事は無く、ジェレック君に指示を出して蔦を切り分けさせていた。そして切り分けられた蔦を並べると、杖を向けて何か呪文を唱える。


「おぉ、薪みたいな形だったのにみるみる武器の形に」

「魔法すげぇな……」

「ま、まほう……? とは……?」

「???」


 いかん、高師さん夫婦が混乱している。ちょっと不思議を見せる量が多かったか。

 でも慣れて貰わないと困るんだよな。モンスター肉が普通に出てくるし、宇宙人のキウリさんも合流したから宇宙人の技術も普通に生活に使われるだろうし。そもそも、ここに設置する予定の発電機とかは実質キウリさんからもらったやつだし。

 ……そういや2エリア目のギミック機械回収できてないな。あれ回収したいんだけどな。キウリさんに話を聞いたら回収しに行こうってなるかな。


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