58.一応報酬枠
私達を見て、キューエン、恐らくは救援と言った宇宙人は、キウリと名乗った。ここの名前はランダムなので私も初めて聞く。
宇宙人の中では人間基準の善良で温厚に近い感性を持つキウリは、王子様に圧を掛けられて素直に身の上を話し始めた。まぁ私は周回のたびに聞いていたので適当に相槌っぽく反応していただけだが。
固有名詞とキウリ本人の感情を抜いて要約すると、自分は地球を外から眺めて観察する事を楽しんでいたのに、何故か突然宇宙人の本家ならぬ本星から地球に降りる指示があって、しかも着地も何も無い状態だったから慌てて生活ブロックに逃げ込んで、宇宙船本体から切り離す事で何とか生き残った、との事だ。
「[ではここにいたあれは何だ?]」
「チキュウ、キケンドキュウジョウショウシタ。ガイライテキテキタイセイブツモ、トツゼンヘンイテキタイセイブツモタイリョウ。ミヲマモルコトハヒツヨウ」
「[……まぁそれはそうだな]」
王子様すら納得せざるを得ないこの状況の危険度はなぁ……。
そしてこっちの事も聞かれたので、それはそれとして普通に説明する。主に周囲の生き残っている人間が集まって生活してるって辺りを。
「ニンゲンタクサンイル……?」
「まぁ集団生活はしてるな」
「確か今で100人ぐらいでしたっけ」
「ワタシ、ツレテイッテホシイ。ニンゲンノコトバデエンジニア。ベンリナドウグツクレル。ヤクニタツ」
「ご飯とか皆で同じもの食べますけど、大丈夫なんですか?」
「ミンナデゴハン……ニンゲントイッショニゴハンデキル……? ハッ。ダイジョウブ、ダイジョウブ。ユウキブツナラナンデモエネルギー。スキキライイワナイ」
たぶんキウリ的な感覚を人間的な感覚に変換すると、野鳥ウォッチしてたら鳥カフェの存在を知った感じだ。そんなの行きたいに決まってるだろう。アピールがすごい。
形は人間っぽいのに宇宙人と人間はそれぐらい違う生物らしいのは、まぁストーリーを進めれば出てきたので今はスルーするとして。どうやら王子様の判定でも「友好的」かつ「有用」だったようだ。
「[ヤヌシ、確か地下から妙なものが見つかっていたな?]」
「はい? ……あぁまぁ、確かにありましたね。リットさんに聞いてもよく分からないやつが」
「[ジェレック。一足先に戻ってグルスニールを追加で連れてこい]」
「[はっ!]」
グルスニールを追加、つまり連れて帰るって事だな。グルスニール? とキウリ……さん? は首を傾げているが、この人馬って乗れたかな。乗り物判定だから大丈夫か?
「人間用の生活空間で大丈夫ですかね」
「んー、まー、様子を見ないと分からんが、それこそあんなの作れる相手だからな」
お兄さん()に声をかけてみるが、まぁ見た目は目以外人間だからな。それにゲームでは特に生活に関する専用設備は無かったし、ここで手に入る「生活ブロック」は普通に人間も使えるので、たぶん大丈夫だ。
まぁそれでもキウリさんに、荷物をまとめる必要があったら早くした方がいい、と声をかけるお兄さん()。はっ! となったキウリさんは、一旦扉の向こうに引っ込んでいった。
うん。これはたぶん大丈夫だな。問題があるとすれば。
「[さあ、牛がいる場所にいくぞ!]」
「せめてキウリさんが移動してからにして下さいね」
「そうだぞ。どっちにしろこの、今の話だと「生活ブロック」か? これがどかないと進めねぇんだし」
このやる気に溢れすぎている王子様だな。大丈夫だよ、「生活ブロック」自体は私が回収できるし、回収したら進めるようになるから。
……このエリアにあったギミック用機械も回収したいんだけど、回収してる暇、あるかなぁ……無い気がする……。
どうやって言い訳して回収の為の護衛をして貰おうかな。……柱型センサーと同じだったら、ロボットを倒したら回収できるようになってるかもしれない、とか言ってみるか?




