55.防衛完了
みたいな事を気にしながらも防衛を続けて、とりあえず夕方まで耐えた結果。
「めちゃくちゃデカい、ゾンビの親玉というか塊というか、何かそんなのがあったぞ」
「[何だそれは]」
「殴っても殴っても通ってる感じがしないし、グルスニールで蹴ってもあっという間に元通りだし、最終手段で手榴弾を30個ぐらいぐるぐる巻きにして一気に爆発させたが、それでもダメだった」
「[……緋朱でなければどうにもならなさそうだが、どうしたんだ?]」
「日が暮れたら勝手にしおれて消えちまったよ。跡地も調べてみたが、特に何も見つからずだ。一応、中心点に焚き火は置いてきたが」
何故焚き火? とちょっと思ったんだが、そこに休眠してる根っこがあったら熱で死ぬだろうって事だな。それはそう。まぁたぶん完全に枯れてるだろうけど。
一応私もゲームでは見た事あるんだよな。苔ゾンビのプラントみたいなやつ。たぶん特殊な、1年草ならぬ1日苔なんだろうな。バックストーリー的には。もちろんゲーム知識なので外には出せないんだが。
という報告を受けている現在は、日も沈み切った夜だ。熊肉が手に入ったし防衛戦も何とかなったしで、熊肉ステーキで宴会である。美味しかった。食べ応えのある分厚いお肉は正義だね。
「あぁそれと、何かデカい貝もあったぞ。軽く叩いたら開いて消えたが、何だったんだろうなありゃ」
「[デカい貝……軽く叩いたら開いて消えた……まさか、その貝は何を落とした!?]」
「あ? いやなんも落とさなかったというかただ消えたが……」
「[ヤヌシ、何か変わったものは倉庫に入っていないか!?]」
「えぇ? 変わったものと言われても、手榴弾探す事に集中してましたし……ちなみにどんなものです?」
「[宝石のようだが宝石ではない、中に液体が入った結晶だ]」
で、どうやらお兄さん()達はボーナスモンスターに接触できていたようだ。良かった良かった。まぁ苔ゾンビのプラントに時間をかけていたようだし、そもそも探索時間自体がそんなに無かったみたいだから、あんまり数は見つけられて無かったみたいだが。
ちなみによく探したら、液体が入った虹色の球体、「旨蜜珠」はいくつか倉庫にあった。どうやら無事回収できていたらしい。何故かゾンビがデカい貝を背負ってるって形になるからな。なんでだよ。
「まぁリットさんがそこまで血相変えるなら探しますけど。時間かかるのは勘弁して下さいね」
「[…………まぁ仕方あるまい]」
「で、心当たりがあるって事はそれが何か知ってるって事だな? 素直に教えりゃ次も探してやるよ。防衛は何とかなりそうだからな」
ちなみにゲーム時代の「旨蜜珠」が何だったかというと、大量の経験値とステータスボーナスが入るあれである。それもキャラクターだけじゃなくて一部設備にも使える奴。
モンスター肉の上位互換というか、最上位素材だな。そしてとても美味しいらしい。あげたキャラが例外なく踊って喜んでたから。ジェレック君も踊ってたからな。ゲーム時代だが。
緋朱にあげ続けたら大人ドラゴンにならないだろうか、みたいな事を考えた訳だが、現実的に考えたら結界樹に使うべきだろう。何しろステータスボーナスが入るんだ。レベルを上げて成長させるのも当然として、結界樹はいくら性能が上がっても良い。
「[……俺様の世界では、神の恵みと呼ばれている]」
「神の恵み?」
「[非常に美味であり、それを食したものは一気に成長し、それ以上の力を手に入れる、とされている品だ。もちろん滅多に見つかるものではないし、稀に見つかったとしても、大抵は見つけたものが食べてしまうから、俺様が実物を見た事は無いが]」
「はー、えらいもんがあるんだなぁ」
「まぁでも、探しはした方が良さそうですね。誰に使うかはまた別で相談ですけど」
「[………………今の段階なら、結界樹か緋朱に使うべきだろう。間違いなく全員が恩恵を受けられるのだからな]」
「結界樹に使えるんですか?」
「[あれは生きた木だ。生きているのだから使える]」
「なるほど」
神の恵みとは大層な呼称が出てきたが、まぁそれぐらいの効果はあるか。あるな。
そして大分考えたが結界樹と緋朱を上げたって事は、王子様も外に出て独立するのとここで暮らすのを比べて、ここで暮らす事を選んだって事だな? やったぜ。そのまま居ついてくれ。




