53.防衛の節目
主にお兄さん()が毎週「避難民」を探して連れて来てくれてたお陰で、30分防衛して1時間休憩、ってサイクルなら回せるようだった。30分ごとに周囲を一周しているジェレック君は、まぁ元気いっぱいだ。元の体力が違うだろうし、それはそう。
まぁ一昨日来たばかりの人がバテるのが早いと見てちょっと調節は入ったが、その辺王子様はちゃんとしてくれるし本人も出撃している。なので特に文句も無く、むしろよくこの短時間でここまで組めたものだという声が上がっているようだ。
なお私は倉庫で主に金属箱を開けながらひっそり素材回収をしている。しかし出ないな、牛がいる所に設置する筈の浄水器とか発電機。あのセットが無いと生活できないのは確定的に明らかなのに、なんで見つからないんだ?
「……あぁいや、そうか」
と思ったんだけど、昨日時点でギミックを解くところまで行ったエリアのボスと、突破した時に見つかる「住人」を思い出して納得した。そういえば居たな。あそこに。生活可能になる設備一式を持ってる奴が。あそこで回収するのか。
あのエリアのボスはギミック持ちであり、エリア全体を探索してギミックを解除しておかないと大変苦戦する。そしてそのギミックそのものは宇宙人の技術によるものであり、ボス自体はゴーレムというよりロボットだ。
そしてそのロボットは防衛の為の存在であり、それを撃破するって事は、守っていた何かに接触するって事である。つまり、宇宙人だな。とりあえずミニキャラで見る限りは人間と大差ない感じだったけど。
「まぁ何にせよ、この襲撃を凌ぎ切ってからだな。今の所余裕をもって防衛できているとは言え、明日探索できるだけの元気が残るかどうかは分からないんだし」
ロボット自体はテイム不可能であり、撃破するしかない。ただそこにいる宇宙人は何だかんだと難癖に近い言い訳をして拠点に転がり込んでくるし、そいつの好感度をちゃんと稼いで十分な設備と資源を用意すれば、ロボット自体を再び作って貰う事は可能だ。
とはいえ今回こちらの拠点には緋朱がいる。守る手段は多い方が良いとはいえ、流石に被ってるからな。どっちかというと、牛がいる場所に行ってもらった方が助かる。あっちもゲームの時と同じなら居住可能だし。
まぁその設備と資源の準備が大変なんだけどな。と思いつつ金属箱を開けるが、今は使わないというか使いにくいものばっかり出てくるな。いやまぁそりゃ最終的には使いたいけどな? 各種ドローンとか宇宙人の技術系譜の乗り物とか。
「まぁ、この規模の襲撃が他の場所でも起きてないとは限らないんだから、急いだほうがいいのは間違いないだろうけど……」
これは諦めて木箱とダンボールを開けるのに戻るか、それとも地下2階と3階を覗いてくるか、と思ったところで、都合3回目の防衛だ。他の人もだいぶ慣れて来たらしく、交代がスムーズだった。
ただ私は最初が休憩で、そこから30分防衛、というサイクルだった。そして今3回目という事は、4時間が経過している。つまり昼なんだ。そして昼に何が起こるかって言うと。
「――全体連絡、全体連絡! 中に伝えてくれ! いつかの棘だらけの熊が来た! 棘だらけの熊だ! 正面から来てる!」
そう。いつだかジェレック君が遭遇して即首を落とした、棘だらけの熊こと「スパイクベア」だ。最初のエリアの中ボスでもある。そしてこの襲撃は1ヵ月ごとに先のエリアの敵が含まれていくので、最初のエリアの中ボスが出てくる訳だ。
まぁ来月は2エリア目の中ボスである徘徊型のロボットが出てくるし、再来月は3エリア目の中ボスも出てくる。つまり襲撃に混ざる大物がどんどん増えていくんだよな。流石に上限はあるけど。それでも、5体までは確定で来る。
5ヵ月目を超えたらそこからはランダムになるんだが、熊が可愛く見えてくるからな。本当に。……なんて事は、まぁ当然私以外には分からない。
の、だが。
「[任せるが良い! 熊肉の回収は頼むぞ!]」
まぁそれはそうだな。だってジェレック君は初遭遇の時点で首を落とす事が出来てるんだから。
そしてジェレック君だってモンスター肉を食べて、こっちの世界のお茶を飲んで、探索して戦闘している。つまりレベルもしくはステータスは上がっている。
しかもどうやら熊は単独で、私が作った道の真ん中を歩いてきたらしいので……熊肉の回収を気にする余裕があるのも、まぁ、当然なんだが。




