52.防衛模様
担当自体は30分交代で、私の担当は、とりあえず直近は1時間後だったので、これ幸いと地下倉庫に移動する。特に金属箱は開けられて無かったからな。もちろん朝ご飯は食べたしタイマーはかけるが。
ちなみに最初のエリアをクリアしたからか、スマホと一体型PCを連携させた状態で全体図を見ると、そこに落ちているアイテムを遠隔で回収する事が出来るようになっていた。これは助かる。
イベント仕様かもしれないが、主に「ジェル」が無駄にならないって事以上に、現実になったが故に、溜まった「ジェル」に引火して大爆発、みたいな事になる危険が減らせるのは良い事だろう。
「まぁ戦闘してる人達からすると、何で勝手に消えるんだ、って驚く現象が発生する事になってるんだけど」
その時は……大量発生したからじゃないですかね、とでも言っておくか。実際敵の密度がすごくて、その足元なんて見えない状態みたいだし。
それでもここまで地道に手榴弾や手投げ爆弾を作り溜めておいたからか、緋朱の出番もなければ壁に取りつかれる事も無いようだ。流石に森の中に作った一本道の壁は耐久が危険かもしれないが、今外に出る人はいないだろうし。
「ん?」
と、思ったんだが、門が開いた。そして外に出て行ったのは、あー、ジェレック君か……うわすごい勢いで敵が減っていってる。そしてそのまま拠点の周りをぐるっと一周して、あ、門が開いて戻って来た。
もちろん再びその隙間は埋まるんだが、もしかして今のは交代の隙を埋める為の行動だったんだろうか。何故ならタイマーの残り時間が30分だからな。リレーのように、攻撃時間を被らせても良かったんだが……。
……それだとジェレック君の強みが生かせないというか、戦力的な無駄ですらあるな。王子様が采配するなら、ジェレック君は外に出すだろう。それはそう。
「さて、そろそろ戻るか」
まぁ「ジェル」を主とした素材を集めるのも結構忙しいんだが、それは表に出す訳にはいかないからな。なので、残り時間10分時点で倉庫から出て、そのまま担当と表記されていた東の塀の上へと向かう。
すれ違うのはちょっと厳しい、ぐらいの幅しかない訳だが、どうやら先に上っている人が降りて、その後に次の人が登る、って形で交代しているらしい。なるほど、だからジェレック君が一旦一掃してるんだな。どうしても火力的空白が出来るから。
防衛戦の内容自体は、近寄って来るところを狙ってバズーカを撃つだけだったので省略。ちょっと攻撃範囲にある木が倒れないか不安になったが、まぁでも障害物にはなるだろうから、堀の方に直撃でない限りはしばらく放っておこう。
「30分って意外と長い」
「それは本当にそう」
「う、腕が、痛い……」
どうやらジェレック君は交代の合図も兼ねていたらしく、ジェレック君の姿を見たら攻撃を止めて塀から降りる。角の部分に設置されていたらしい梯子というか、梯子状になっている部分を上り下りするので、ちょっと厳しい。
まぁでもこうやって迎撃出来るのも、モンスター肉で全員に補正が入っているからだろう。実際、腕が痛いって言っているのは一昨日来たばっかりの人だけだし。
というか妹と一緒に来た最初の元避難民の人なんか、塀を降りたその足で釣りに行ってるし。やってる場合か。いや食料調達は大事だけど。
「ツミキさんもどうです?」
「私倉庫整理と屋根裏の掃除があるんで」
そして誘うな。一昨日来た人の顔が引きつってるだろうが。確かに今の拠点の中では数少ない娯楽ではあるけども。釣り堀草はもう1つ増えたのに、取り合いはマシになるどころか激化してるって言うのも知ってるけども。
なお当たり前だが、モンスター肉の補正が入るのは肉体だけであり、精神的不安はどうしようもない。逆説、ここまで図太いのは本人の資質って事だ。いい根性してるわー。今大規模襲撃受けてる最中だぞ。
まぁそれをやっても問題ない程度の防御力はあるんだけどな、この家。それとこれとは別の問題だろって話だよ。不安になるよりかはいいとはいえ。




