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リアル・サバイバルクラフター  作者: 竜野マナ(竜灯草)


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38.ゲームと現実の違い

 ただし。その選択をした場合、一番のリスクは王子様自身だ。何しろ言葉しかつかえないのに他人を丸め込み、脅し、味方につけ、隙あらばこの場所の支配を目論む反乱者である。そんな相手に、対モンスター戦闘で戦力になる程の力を渡す。ちょっと考えればヤベーなと分かる選択だ。

 それに今ここでその手段を提示した。って事は、恐らく王子様は大きな宝石を持っている事を知っている。言葉の翻訳だって魔法なんだ。狭い範囲の探し物ぐらいは出来るだろう。私の部屋に限定して探していたら、宝石の数と種類どころか大きさまで分かっていてもおかしくない。

 というか、たぶん分かってる。だって王子様が言った「目よりも大きなダイヤモンドかサファイア」に該当する宝石がばっちりあるからな。なお翻訳ミスなのか何なのか、サファイアと聞こえているが本当はルビーだ。まぁ確かに、サファイアとルビーは色が違うだけのほぼ同じ宝石なんだけど。

 っていうのを踏まえた上で。


「このロープが直るのなら、他にも直せるものは多そうですね。バイクはちょっと厳しいかもしれませんけど、自転車ぐらいならいけるのでは?」

「[……目で見てわかる構造で、必要な部品が揃っているなら可能だが……]」

「いやツミキさん、そうじゃねぇだろ……」


 やったー、と、歓迎の声を上げてみた。

 流石の王子様もちょっと面食らっているようだし、王子様を警戒しているお兄さん()は脱力しているが、これ、限りなく素の喜びなんだよな。まぁだから対人の読み合いで海千山千の王子様が驚いたんだろうが。

 『サバイバルクラフターズ』というゲームのままであれば、お兄さん()の反応が正しい。しかしここはゲームの法則が適用されてゲームのアイテムがあってゲームのイベントが起きたとしても……現実なんだよな。


「いやまぁそりゃ、リットさんがこの場所の支配にこだわって、私を追い出す事を諦めてなかったら断ってましたよ」


 さらっとそう言えば、お兄さん()は目を丸くしたし王子様はぐっと唇をかんだ。自分がやらかそうとしていたことに対する自覚があって何よりだ。あ、ジェレック君が復活してこっち見て目を丸くしている。まぁ知らないか。それはそうだな。


「でも今は違いますよね? いや違うっていうのは語弊があるかな。今ここの、私の能力らしい不思議がある場所にこだわらなくなった。絶対にこの場所を奪うという程の気持ちは無い。……もちろん的外れだったら否定してくれていいんですけど」


 でも、たぶんそうじゃないかなと、特にジェレック君が合流してからの王子様を見ていた感想を述べる。返事はないが、ちょっと目が泳いでいる、つまり合ってるって事だな。揺れてる所に畳みかけると比較的分かりやすくて助かる。


「そして以前言ったように、私は私の安全が第一。その次に私の生活の安定。その上で余裕があったら助けを求めた人には手を差し伸べる。そういうスタンスですし、そうである以上、私の安全と生活の安定に影響が無ければ「問題無し」。私の安全度合いが上がるなら「有益」です」


 これもほぼ本音である。例外は、それこそ家族ぐらいだな。妹の時はちょっと無理をしたから。


「それに、去る者は追いません。引き止めません。見送ります。だから現在のリットさんが戦力になる程の力を手に入れても、この場所の防衛に協力してくれるか、それこそ「自分の領地」を手に入れる為に出ていくか、では? そしてどちらであっても、私にとっては問題ありません」


 まぁつまり、そういう事だ。いやー、あの傲慢強欲王子様が随分とまとももとい丸くなったもんだなぁ。

 ちなみに、私は王子様がここに残って協力してくれる可能性が高いと見ている。だってジェレック君のやらかしに対する罰が、「自分の食事の1年間1食化」だったんだぞ? それってつまり、本音の所では、|この先1年以上ここにいる《・・・・・・・・・・・・》って事だよな?

 同じだけの罰であるなら、荷物をほぼ置いていった状態で明日までにジェレック君共々出ていく、でも良かったし。何か手放すにしても、それこそ翻訳魔法を使っている媒体1つで良かっただろう。あれも宝石の筈なんだから。

 私にとってはそっちでも良かったし、ジェレック君が一緒なら、外に出ても野垂れ死ぬって可能性はかなり低くなってる。それが分かってる筈なのに、そっちを選ばなかった。それがもう答えみたいなもんだろ。


「[……食えない奴だ]」

「食われたくはないですね。熊にもドラゴンにも」

「[まぁいい。結界樹の葉は自分で採って来る。骨はジェレックに運ばせろ。宝石があれば2時間ほどで作れる]」

「意外と早いですね。じゃあまぁ私も今から宝石を持ってきます」

「宝石あるのか!? 人の目玉より大きいやつだろ!?」

「リットさんはあるの知ってるみたいですし、なら隠す必要ないかなって」

「はあ!?」

「[探知の魔法ぐらい使える。……外で宝石を探す為に使ったのに、反応を辿ったらヤヌシの部屋に行きついたが]」

「……何でもありかよ魔法ってのは……」

「[杖を作るついでに、魔法について教えやらんでもないが?]」


 みたいな会話をしながら、ジェレック君も背中を押して全員で屋根裏部屋を出る。しかし、この初期段階でジェレック君と結界樹が揃ってる上、王子様まで戦力化(限度あり)してジェレック君が突撃野郎じゃなくなってるのか。

 王子様の性格がまともあるいは丸くなってるのがメインだが、これ過去一の順調進行だぞ。やったぜ。


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