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4.仕様通りの想定外

 地下(と屋根裏)の存在に気が付いた時点で、2日目のおやつ時だった。流石にそこから倉庫を探し直して地下倉庫の探索までするには時間が足りないし、じゃがいもを植える事の方が先だ。

 と言う事で、倉庫で見つけた鍬をもって、雑草を抜いただけなのに良く耕された畑のようになった内庭に移動。そこからざくざくと、太めの縞模様を作るようにして土を動かしていった。

 驚き半分納得半分、という感じで、その動きは自分がやるにしては随分と滑らかだったし、疲れも少なかった。たぶん庭を全部畑にしても余裕がある。やらないけど。体力は大丈夫でも時間は足りないし。


「で、畝の真ん中に溝を掘って……その中にじゃがいもを入れて、土をかぶせる」


 切った奴は乾かすのがちょっと間に合わなかったので、小さい奴だ。それでもそこそこの数があったから、半分ぐらいは植えられた。……あれ? 何か芽が出るまで日の光に当てるとか書いてあった気がする。やらかしたか。

 まぁやってしまったものは仕方ない。そのまま食べるのにはちょっと物足りない大きさのじゃがいもを植えてたっぷり水をやったところで日が暮れてきたから、今日は引き上げて休もう。体力の温存は大事だから。

 で、次の日。転移3日目。


「おわぁ」


 水やりが必要かどうか確認しておこう。と思って内庭を覗いてみたら、きっちり半分だけ、もっさもさに葉が茂っていた。うーわ。これ大丈夫か? なんか葉っぱが茂り過ぎてもダメとか書いてあった気がするんだけど。

 というか、葉っぱの下の方が黄色くなってるのこれ大丈夫か? 一応ハードディスクに入れたデータを検索……花が咲いたら葉が枯れ始めて、芋が大きくなる。つまり問題ないって事でいいのか?

 しかし土寄せとか色々しなきゃいけない筈だったのが、何というかほんとゲームの世界だなって感じだな。この分だと、何なら昼頃には収穫できるんじゃないだろうか。確か葉っぱが全部黄色を通り越して枯れたら収穫オッケーだった筈だし。


「じゃがいもは連作障害出るやつだから、もう片方に植えればいいか……。輪作対象なんだっけ」


 うーんこういう時積極的に触って来なかった知識はするっと出てこないな。まぁやりたかったのはリフォームであってスローライフじゃないから、それはそうなんだけど。

 まぁ輪作するのに相性が良い植物……野菜が分かったところで、その種が無ければどうにもならない。だから昨日切って網に乗せておいたじゃがいもがちゃんと綺麗に乾いているのを確認して、それを日の当たる場所へと移動した。

 そして、今度こそ地下倉庫へ向かう為の準備だ。朝ご飯は味噌を溶かした中に輪切りにして焼いたさつまいもを入れたもの。さつまいも味噌汁。……もうちょっと色々なもの食べたいな。頑張ろう。


「塩は安定して手に入れたいところだけど、さて、雑草の中にあれがあったかどうか……」


 何というか、無心でむしってたからな。草を。少々変なのが混ざっててもたぶん気付かない。

 と言う事で大きい物が多い倉庫を掃除し直すついでに、中に入っているものを改めて確認、整理していく。そして床をくまなく探していくと……案の定、建物自体の角にあたる場所に、結構大きい地下への扉があった。やっぱりか。

 どうやら鍵がかかっているという訳でも無いようだし、壁に埋め込んであった謎のハンドルを回す事で開く形になっているらしい事が分かった。うーんこの、ファンタジー的な隠し部屋だな。


「まぁこんな扉、人力で開け閉めするのは無理があるか」


 何しろ地下倉庫への扉は、今使ってる結構大きいベッドが楽々乗るぐらい大きいから。そりゃまぁ仕掛けでどうにかしないと無理だろう。と言う事で、意外とすんなり動いたハンドルをひたすら回していく。

 テレビか動画であれば早送り処理されているぐらいの時間回し続けると、入口正面の壁に蝶番があるような形で、上にその扉は開いて行った。そして壁にくっついたところでハンドルが回らなくなる。

 ハンドルから手を放して勝手に動かない事を確認して、よく見ればハンドルを固定するストッパーみたいなものがあったからそれをしっかり引っかけておく。これで地下に閉じ込められたなんて事にはならない筈だ。


「ここ、結構高さある割に梯子なんだよなぁ……」


 もちろん灯りが付いている訳も無い。電気のスイッチはあったし、まだ3日目だから普通に電気は使えるけど、スイッチがどこにあるか分からない。梯子を下りきったところにあると、いいな。

 一応懐中電灯に肩紐を通して、首から下げてから梯子を下りていく。下は見ない。見ても何も見えないし。梯子が劣化してる可能性も考えて、軍手は着けてきたし靴も持って来て履いてから降りてる。

 とはいえ、その辺の心配は無用だったらしい。無事一番下らしい場所に到着した。梯子じゃない足の感覚にちょっとびくっとなったのはまぁ仕方ない。少なくとも梯子の下はしっかり床がある事を確認して、両足を着けてから、懐中電灯のスイッチを入れて周りを見た。


「え、何かいっぱいある」


 そうしたら、こう……巨大な段ボール箱とか、木箱とか、金属箱もといコンテナとか。そういうものが、こう、積み木を適当に箱に放り込んだように、けど結構な数、高さ3mの地下倉庫に存在していた。

 あれ、おかしいな。地下倉庫って少なくとも初期状態だと空っぽの、何も無いがらんとした空間の筈なんだけど……なんだこの大体はデッカイ箱達は。


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