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35.助力不能な我流

 という訳で。

 特に雨漏り(予想)が酷い中央付近の屋根裏部屋に移動し、作業場としての下準備を整えてからボロボロになっている部分に大きな穴をあけた。そして下からあれこれ工夫して屋根の一番外側の、瓦に相当するものを取り外して引き込んだんだが。


「よりによって鋼材かー……いや丈夫ではあるし扱いやすくもあるんだけど、重いんだよなこれ……」


 まさしく金属の板と呼ぶのがふさわしいものだと知って、ちょっと呻き声が出てしまった。いや、いいんだけど。現状だと比較的修理しやすいやつだから、助かるんだけど。

 この部屋を作業場として整えたのは、このままこの、一番表に出る資材の手入れをする為だ。錆を落として錆止めを塗る、歪みがあったら修正する、そういう手入れが必要な事があるから。

 ただ今回はそういう心配は無いらしいので、扉の外に、扉より大きな角材を十字に組み合わせたものを作って、そこに命綱の端をしっかりと結ぶ。これで角材が扉に引っ掛かるって訳だ。


「えーと、階段の所に看板は出した、そこに外から声をかけてくれとも書いた。お兄さんにも伝えた。作業場の準備よし、命綱にほつれなし。出入口の保護よし、道具類よし、作業用装備よし」


 その上で指差し確認して、必要なものがちゃんと揃っている事を確認。命綱を引っ張って、扉が壊れて角材が部屋の中に入って来るって事も無いのを確認。まぁ万が一扉をすり抜けて来ても、天井の出入口のところで止まるっていう二重の安全ロックにはなってるんだけど。

 若干2名ほど看板を見てもその通りにしない可能性がある同居人がいるが、翻訳魔法は言葉だけではなく文字にも有効だった筈だ。それにお兄さん()が、少なくともジェレック君に関しては様子を見ていてくれている筈だし、王子様単体なら命綱をどうこうっていうのは不可能だ。

 うん。大丈夫だな。と判断して、屋根の上に出る。さて、雨漏りがありそうな場所は……あぁうん上から見るとよく分かるな。まず一番上の鋼材を剥がして作業場にしてる部屋に入れる所からだ。


「大丈夫なところがしっかりしてるのは幸いか……ダメなところを踏み抜いたら最悪致命傷だけど」


 自分で口に出しておいてぞっとしたので、そこからは黙々と作業を進める。慎重にいこう。手元と足元に十分に注意しながら作業をすれば大丈夫な筈だ。いつもの格好と違うが、動きやすさがちゃんと確保されているのは確認しているし。

 という事で作業を進めると、やっぱ何か補正が入ってるんだろうな。雨漏りしているところとその周囲の鋼板を全部剥がすまでが午前中で終わった。ここまでで1日が終わるっていう事もよくあるのに。

 まぁ作業が早く進むならそれに越した事は無いので、一旦作業場にした部屋に戻って休憩。そこから鋼板のチェック。直せない歪みやダメな錆は……無いな。良かった。手持ちの道具で何とかなる範囲だ。


「ホームセンターではどうにかならない可能性がそこそこ高いから、これは素直に助かった」


 で、鋼板のチェックを終えた所で色々片付けて昼食に降りる。そこでお兄さん()に色々聞かれたが、やっぱこの人工事系の人だな。普通の人は「屋根は何だった」って聞いて「鋼板でした」って答えても何の事か分からない筈だ。実際、周りで聞いてる人はちょっと首傾げたりしてるし。

 そこをさらっと、錆の具合とか変形の有無とかそういう確認に移る辺り、専門用語を知ってる系の人だ。まぁそれはいいんだが。


「……念の為言っておくと、私のやり方は趣味から結果的に派生した1人作業特化型の我流であって、作業に自分以外の誰かが参加する事は全く想定されておらず、教えられるものでもなければ教えるつもりもないものですからね?」

「ぐっ」


 たぶん「1人でやるのは危ない」から「せめて知識のある自分が参加したい」なんだろうが、参加できるやり方じゃないんだ。すまんなお兄さん()。


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