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24.久しぶりの外回り

 という訳で、久しぶりの外だ。前に出たのが妹達もとい最初の「避難民」を迎えに行った時だから、大体2週間前? 半月経ってれば久しぶりにもなるか。その間にやってた事もかなり密度が高いから余計そう感じるのかもしれない。設備探しと設置だけでもそうだし、台所と倉庫の掃除と修理、1階の部屋の掃除と修理、後は釣り堀草の発見。うん。多いな。情報が。

 まぁあれ以来、時々とはいえお魚が使われた料理が出てくるようになったんだから、見つかって良かったんだが。本当に。たんぱく質って大事だな……もちろんまだ、小さいつみれが入ってるとかそんなんなんだけど。それでもあるとなしとじゃかなり違う。気分的に。お肉は食べると元気が出るからね。

 まぁその、ファンタジーな異世界から入り込んで来た野生動物、モンスターかな。モンスターだな。あれを倒せるようになったら、ごっそりお肉は手に入るんだけども。それもかなり美味しい上に『サバイバルクラフターズ』の時は、一定回数食べたらキャラクターの体力の上限とかが上がってたから、相当に良い効果があるやつ。


「……BBQを開催できるようになる為にも、まずは必須設備の最大強化と、家本体と塀を強化する為の素材集めだな」


 それこそあの王子様とかその辺役に立って……くれないか。くれないな。ファンタジーな異世界とはいえ、王族に求められるのは内政能力だからな。一応嗜みはしてるし、護衛が稼いだ時間で逃げる位の体力と知識はあるけど、って感じだったな。だから野垂れ死ぬだろうなって思う訳だし。貧弱に過ぎる。いやまぁ、王族としてならそれでいいんだろうけど。

 むしろ解体シーンとか見せたら気絶しそうだなぁ……とか思いながらも道をふさぐ形で転がるあれこれの回収をしていると、聞きなれない音が鳴った。いや違う、これ、私が設定したタイマーだ。ほら燃料タンクを強化してるから、うっかり外歩きに集中しすぎてタイミングを逃さないようにしないと時間が。

 という事で一旦戻って、解体機やら絞り機やらにあれこれを突っ込み、燃料タンクを再び強化状態にして、タイマーをかけて再出発。リーダーのお兄さん()達がそれなりの数のゾンビを倒してる筈なんだけど、思ったより遭遇するな。いやまぁ、ソンビだけならまだマシっちゃマシなんだけど。


「……ぉぁー」


 なんてことを考えてたのがフラグになったか。基本的に一番大きい、つまりあの土嚢バリケードを作ったのと同じ太さの道を選んで片付けて行ってたら、なんか違う音が聞こえた気がしたんだよなぁ。だからバズーカに発射用の手榴弾を入れて、手に投げる用の手榴弾を持って、物陰に隠れながらその違う音が聞こえる方向に移動したんだけど。

 そこには、こう……一応、兎、かな。顔が肉食獣並みに凶悪で、捻じれて尖った角が頭から生えてて、まだ微妙に動いてる苔ゾンビを貪り食ってるけど。そんな、明らかに凶悪極まる一応兎が、6匹、いや兎は6羽か。6羽いた。集団で一心不乱に苔ゾンビを食ってるのは怖すぎるんだよなぁ。

 一応苔ゾンビを確認。……うん。全身真緑だから、純粋な苔ゾンビだな。つまり植物分類していいやつだ。本当にそこに分類していいのかはまた別の問題だけど。そして自分の武器を確認。……爆発物だな。つまりこれであの兎に攻撃したら、酷い事になる可能性が高い。


「……、もしもし」

『ツミキさんか。どうした?』

「明らかに凶悪そうな兎が、集団でゾンビに夢中になってるんですけど。お兄さん、あれ、仕留められます?」

『数は?』

「6ですね……」

『……それなら割と全員に行き渡るか。場所は?』


 まぁそういう可能性が高いなら、そういう可能性が低い人にお願いすればいいんだ。だからリーダーのお兄さん()に電話すると、かなり乗り気な返事が返って来た。そうだね。お肉だからね。もちろん方向と道のりを説明する形で場所を教える。まぁ分かりやすいというか、迷いはしないと思うよ。何しろ道がきれいになっているから。

 で、実際そうかからずリーダーのお兄さん()は来てくれた。一緒に行動する、外を探索して回る人たちと一緒に。……意外だったのは、王子様がその中に混ざっててしかも素直に指示を聞いてるって事だ。えらく素直でしおらしいじゃないの。これも現実になった影響か?

 ともあれ、6羽の兎(?)はリーダーのお兄さん()達によって、無事綺麗に仕留められた。すなわちまとまった量のお肉が手に入ったって事だな。やったぜ。2食分ぐらいはあるか? 結構人数居るから、お肉として食べたら1食分かな。


「久々のお肉」

「そうか、ツミキさんは最初からあの家だったか。俺らは逃げてる間割と食ってたんだぜ。だから野菜が食えて嬉しかったんだが」

「……辛うじて塩味のじゃがいもが続くのもなかなか心に来ますよ?」

「あぁ……それは……まぁ……」

「冗談です。比べるようなものでもないですし。今は野菜時々お魚にお肉が加わった事を喜びます」

「それはそうだな」


 ついでに苔ゾンビにも止めを刺して、お兄さん()達を見送る。私はまだ素材集めだ。

 と、思ったんだが。


「[おい、玩具]」


 何故か王子様が話しかけてきたし、全く聞いた事の無い言葉なのに何故か意味が分かるし、しかも呼びかけ方が本当にさぁ、だったし。

 えー。これどうしよう。無視していい? いいよな。日本語以外で喋りかけられても分からんから。


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