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21.一番平穏確実な方法

 幸い、発電機を見つけたから配線の関係でここに設置したい、と説明したら、それはあっさりと受け入れられた。どうやらリーダーのお兄さん()が話を回してくれていたようだ。これはありがたい。味方で良かった。

 もちろんその場所が空くまでは待った。それはそう。だってその場所で育ててるのはスパイスポケット(醤油)だったから。しかしあれって、袋が無い状態で葉っぱのすぐ上にある節で先端を折って、それを土に差したら増えるんだな。始めて知った。見つけたの誰?

 まぁでも、スパイスポケットは畑では無くプランターでも育てられる。高さは1mまでしか育たないし、根をたくさん張る訳でもない。そしてプランターは大量に箱を開けて行った中で、プランターと鉢植えの詰め合わせみたいなのを引き当てていたから、普通の倉庫の中にたくさんある。


「えーと、それじゃ、発電機の設置は……」


 とりあえず端末で設置できるかどうかを確認する。……一応大丈夫っぽいな。現実になってからは、プレイヤー当人が近くにいると設置とか操作が出来なくなってたっぽいんだが、大型設備はそうじゃないって事なんだろうか。

 みたいな事を思いつつ、端末の画面越しの光景と、自分の目で見える光景を見比べつつ、それこそプレハブ住宅ぐらいありそうな「複合燃料対応大型発電機」の設置場所を微調節していく。

 うん。色々心配だった配線とか、そういう専門知識と専門の道具が必要なところはゲーム的なあれで勝手につないでくれそうだ。あと、発電機を独立して守る感じの屋根壁床だこれ。


「他にも色々つけられるけど、基本的に配線にくっつけるのはここしかないから……」


 一応この建物全体を確認してから予定地に来ているので、出来るだけきっちり詰める感じで設置を決定。……すると、地面から生える形でこう、建物の殻みたいなものが出てきた。何て言ったらいいんだ、あの足場と目隠しの布と網の組み合わせ。

 それが組み上がったところで変化は止まる。というか現実の視界だとそれで終わりだったが、端末の画面だと見覚えのあるカウントダウンが表示されていた。どうやら全自動なところはそのままらしい。助かる。流石に電気配線を触るのは無理だったから。


「さて、次は水道に浄水器をくっつけて……焼却炉はどうするか。一応これ、発電機にくっつけられたはずだけど」


 てな感じで、同じく話がいっていたらしくスムーズに設置が出来た。どう考えても明らかに不自然な事が起こってるんだが、庭の開墾の楽さやスパイスポケットなんかのご都合主義植物を散々見てきた元「避難民」の人達は、あっさり受け入れてスルー。適応力が高い。

 一応これで、電気と水道が止まっても変わらずライフラインが使える状態になった。まぁもちろん手入れと防衛は必要なんだが。何しろ防衛に関しては、この建物を乗っ取ろうとするやつが人質ならぬ設備質にする事があるしな。もちろん外敵からも狙われるし、特に宇宙人は積極的に狙って来る。

 まぁだから余計に、本体である建物にぴったりくっつける形で設置したんだが。とりあえず設置は開始したので、一旦やる事は無くなった。次の仕事は、設置が完了してからだ。


「で、壁と門の強化は……うーん材料が重い」


 ただ外に出たついでに、周りを囲むそれなりに高くしっかりした塀と、しっかり閂がかかった門を確認したんだが、一応『サバイバルクラフターズ』の時と同じように、恐らくこちらも全自動で強化できるらしい、という事が分かった。ただし、必要になる材料が大変な事になっている。

 ちょっと順番が違うんじゃないかと思うんだが、まず最初が「トン単位の石類」だからな。その次が「その倍ぐらいある木材類」で、その次に「石類と同じぐらいの金属類」が来る。そしてそこまで強化して、ようやく塀と門の上に防衛設備を設置できる訳だ。

 木材系なら、それこそ周りの林を切り開いて土地を確保するついでに大量に手に入るし、いずれ必要な事なんだからさくさく進められるんだが、石類はちょっと難易度が高いんだ。何しろ手に入らないから。だって道路の舗装を引っぺがす訳にもいかないだろ?


「ちまちま標識の根元の石を集めた記憶があるな……」


 呟いてから、端末の画面で周りを確認するが、誰もいない。よし。絶対に奇妙な独り言は聞かれなかった。たぶん。恐らく。

 まぁでも実際、それこそ崩れてるブロック塀を回収してきたり、へし折れてる電線を回収出来たりしても、まず建物本体の強化に回す事になる。当たり前だ。建物本体が落とされたら意味ないし、塀を飛び越えるやつはそれなりに居るんだから。

 そして建物を強化するには、内部を全て探索して掃除して修理して、使える状態にならないといけない。スタート時点だと屋根裏と地下倉庫はやらなくても大丈夫だったんだが、今回スタート地点からどっちも使えたからな。という事はつまり、掃除しないとダメな可能性があるって事だ。


「とりあえず、変な音がする廊下の修理と、壊れてる棚の付け替え辺りからか。1週間ごとに人が増えるなら、もう掃除が終わった部屋だけじゃ足りなくなるだろうし」


 そもそもご飯の種類がもうちょっとほしい。色々育ててるからそろそろ反映できていい筈なんだが、もし台所が直り切ってないからあのメニューしか出来ない、だったら、家の持ち主である私が戦犯になってしまう。

 ……食器類も出てきたから、まず台所の修理からかかるか。棚とか収納とか、大半が壊れたままだった筈だし。そろそろ「避難民」の人達も、メニューに飽きが来るだろうし。その前に新メニューを作れるようにしておかないと。


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