104.三度目ともなれば
さて、一応何とか無事に3振りのボロボロの剣を手作りの鞘に納め、自分の部屋のクローゼットに隠してから就寝。たぶんゲーム補正は入っていたと思うんだが、それでもやっぱり時間かかったな。
まぁでもあのボロボロの剣が回収できたのは行幸だ。それこそ、装備をちゃんと整えたジェレック君に渡したら、たぶん手が付けられなくなるし。もし杖の形をしている奴が出たら、その時は王子様にあげてもいいかもしれない。
何て思いながら寝て、翌朝。転移1ヵ月24日目。
「ツミキさん! 今日はダギアンです!」
「はーい分かりましたー」
襲撃があるのは分かり切った事だったし、流石に3日目ともなれば住人の人も慣れるのだろう。さくっと扉越しに伝えて、たったったーと走っていったようだ。うん。落ち着いて元気で何より。
「ツミキ」としての格好に着替えて、ミラー加工されたフルフェイスヘルメットを被る前に、クローゼットを振り返る。3振りのボロボロの剣は、恐らく人間で言うなら寝ている状態の筈だ。そもそも喋れないのだから、返事がある訳が無い。
「出来れば4振り回収して来たいから、可能ならちょっとでも威圧を緩めるように伝えてくれると助かるよ」
まぁでも意識っぽいものはばっちりあるみたいだったしなぁ。と思いながらそう声をかけて、ヘルメットを被り、部屋を出て鍵をかける。さて、今日も防衛戦だ。
朝ご飯を食べながら牧場の様子を聞いたところ、あちらにはマルティヤが行っているらしい。とはいえ、牧場の人達もだいぶ慣れているし、昨日の夕方私が超特急で物資を届けに行ったからな。落ち着いて対処できているようだ。
襲撃してきているダギアン&マルティヤの、んー、まぁ、レベルだな。それも変わらないらしいので、落ち着いて対処すれば何とかなりそう、との事。良い事だな。
『こちらに襲撃があるからか、探索の方が、襲撃が無かった日よりもスムーズに行くらしくて……』
「なるほど。それなら頑張って防衛しましょう。何しろ、こちらは全員揃って生き残れば勝ちですからね」
『そ、そうですね。そう、まずは何より、生存する事、ですね』
「そうですよ。落ち着いて、しっかり休憩しながら対処すれば、大丈夫です」
高師さん(旦那さん)は相変わらずの様子だったが、どうやら高師さん(奥さん)が割と戦略立案もイケる人だったらしく、こっちよりスムーズに撃退できているらしい。有能だな。
ならこっちの面倒も見て貰おうかと思ったが、まぁとりあえず不便は無いし、あんまり綺麗に殲滅しすぎると私のこっそりとした出入りがバレるし、緋朱の出番が無くなってしまう。防衛したらおやつ、と、覚えてくれたみたいだからな。
なお今日も例のボロボロの剣を4振り回収するつもりだが、あれを全部回収したら襲撃ってどうなるんだろうな? ゲームの時はそもそも回収できなかったから、時間切れを待つしか無かったんだが。
「(ま、そもそも、何本あるんだって話だしな。だって襲撃の終わりは、あのボロボロの剣が折れる事だったんだし)」
そういう条件で毎日襲撃をかけて来てるんだから、本当に何本あるんだよって話なんだが。
だからこそ躊躇いなく回収できるんだけどな。だってどっちみち折れて消滅してたものだぞ? だったら私が持って帰っても構わないだろう。どうしてこんなに数があるのかは本当に分からないんだが。
……冷静に考えると、宇宙人の技術系統の設備に「物を複製する」ものがあった気がするな。あれがどっかで何らかの形で、国宝の武器に発動したって事か? 確率で同じ大カテゴリの違うものが出来上がるし、大外れで大カテゴリすら違うものが出来上がるし。
「(…………、筋が通っちゃったな)」
ん? という事は4エリア目を探せばその設備があるって事か?
いや落ち着け。確かにあれは希少だが必要な燃料か電力がものすごい事になっていたし、そもそもマルティヤやダギアンは「あるものを拾った」だけの可能性がある。つまり、設備そのものは他の場所にある可能性がある。
……それはそれとして、もしその推測が正解なら、いわゆる「オリジナル」はどこにあるんだろうなぁ。まぁその「オリジナル」が、ラスボス手前で手に入るあれなのかもしれないが。




