101.襲撃の方法
そういうルールを私が緋朱に説明すると、ちゃんとステータス相応に賢い緋朱はちゃんと理解してくれたようだ。まだかな、まだかな、みたいな感じで屋根の上をうろうろし始めたから。
なお私は出撃する時以外は地下倉庫の確認をしている。電動工具が入ったとはいえ、元々の箱の数が多いからな。開けても開けても減らないんだよ。もちろん出てきた設備は室内のものならこっそり設置してるし、強化できるものはしてるんだけど。
電動工具だから、作業を勧めながらスマホを確認して素材を回収する、っていうのが出来るようになったのは助かったな。牧場の様子も見れてドロップした素材を回収できるようになったから楽でいいし、大量の素材が手に入っている。
「まぁこんなに毛皮があってどうするんだって話なんだけど」
その実、使い道が地味にあんまりないんだよなぁ……。ゲームの時は骨と一緒に家具を作る材料だったんだけど、今の状態でこんな家具誰も使わないだろというか……。
防具にも使えはするけど、それこそアルラウネの蔦木材ほどの強さは無い。次のステージでは使えるが、その次のステージではちょっと厳しいだろう。魔法世界の技術者がいれば、大量の毛皮をとても強い1枚の毛皮にする、っていう方法が使えるから、それ待ちでとりあえず保管しておくしかないか。
まぁ毛皮の量が圧倒的に多いのは、どうやら私がスマホでゲームシステムを使って集めるドロップ品と、その場に残る死体を回収して手で解体するので、判定が別で発生してるっぽいからなんだが。
「それはそうなんだけどな。何で緋朱に焼かれて何か使えるものが残ってるんだよって話だし」
文字通りに骨も残さず焼き払う超火力だからな、緋朱のブレスって。それがレッドドラゴンっていうとびっきりの戦力の火力だ。なお、ラスボスである。きっついなぁ。
とか思っている間にタイマーが鳴ったので、地上に戻って防衛戦に参加。……一応警戒してるけど、尻尾の針を飛ばしてこないな? もしかして上から下にしか飛ばせないとかか?
後で王子様に聞こう、と決めつつバズーカで専用弾を撃ちまくる。しかし底無しかってぐらいに襲い掛かって来るな。ゲームなら「そういうイベント」だったけど、これは一応現実だぞ?
「……」
そうだよな。現実だよな。明らかにおかしいよな? だって王子様も首を傾げてたし。つまり絶対におかしい数がどこからともなくやって来たって事だ。繰り返すが、今ここは間違いなく現実である。
随分とご都合の良い不思議植物や地下倉庫の不思議アイテムや諸々の展開があるけど、でも、まごう事無き現実だ。だったら、そこには何かしらの理由か原因がある筈だ。そこすらも何かしらの、ご都合主義めいた都合の良さがあるとしても、少なくとも「何か」はある筈だ。
そしてその「何か」が、そこに理由は分からなくても存在するのなら。有り得る可能性は、その「何か」の正体として当てはまりそうなものは、何だ?
「…………」
ゲームには本当に色々な不思議道具があった。便利道具もあった。どうなってんの? と全く理屈が分からないものもあった。私があのゲームをどれほどやりこんだと思ってるんだ。ゲーム画面上に表示される要素なら、全部拾った筈だ。
だから1ヵ月に1度の襲撃で出現する、苔ゾンビを大量出現させるタンク型ゾンビの事も知っていた。「旨蜜珠」の事も知っていた。だから私は知っている筈だ。思い出せ。4エリア目を含めた、エリア依存の襲撃の時、その奥に何があった?
突破した事が無い、という事は無い。突破した事自体はある。その時は……その時は、そうだ。「壊せないし回収できないもの」が襲撃の原因で、見つけた当時はそれが何なのか分からなくて。でもあれは確か。
「……、ふむ」
ちょっとチャレンジしてみるか。
入手出来たらとても便利な事になる、かもしれない。




