100.覚えた
昨日もやった所だし、モンスター肉を食べた量に応じて全員にステータス的な意味での強化が入る。つまり回復力もスタミナも上がるから、長期戦に耐えられるようになるって事だ。
……緋朱が、そわっそわー、としてた? 様子を見に行ったらちょっとよだれ垂らしながら甘えた声出してた? あれ、もしかして一掃したら美味しいものが貰えるって覚えちゃったか? いやいいんだけど。
ここで現在作れる甘くて美味しいものを確認。牧場ではケーキ類、プリンやクリームも含む。緋朱は冷たいものが苦手なのでアイスクリームは除くが、大体の洋菓子はあるだろう。
一方でこちらの拠点。さつまいもがメインだな。まぁ豆とかも見つかってるし砂糖はふんだんに使える上に調理器具がしっかりしている。うん。まぁ。たぶん大丈夫だろう。
「緋朱は温かいかいっそ熱い甘いものが大好きですからね。昨日、私がさつまいもの蒸しパンを出して、牧場に行った時も大きなカヌレを貰ってたので、襲ってきた奴をやっつけたら美味しいものが貰えるって覚えちゃったのかも……」
「あー」
「なるほど」
「あれか」
美味しいものが偏っていて、緋朱がどっちかの拠点から離れようとしなくなる、という事は無いな。っていうのを確認して、こちら側の全員にそれを共有した。
緋朱はレッドドラゴンだが、その幼体である。そしてドラゴンっていうのは人間の1年分の成長を何十年もかけて行うので、まぁ、私が生きている間ぐらいはずっと子供のままだろう。
そして緋朱の見た目が捕食者ドラゴンで現在ですら体が大きくても、その中身が完全に子供なのはうちに慣れた人なら知っている。なので、甘いものが大好きで、襲撃の防衛でおやつが貰えると覚えてしまった、というのは、満場一致で納得の声が上がった。
「まぁでもあんまり甘いものだけでもよくない……よくないよな?」
「リットさんはあんまり甘やかすなって言ってたな」
「ご飯はバランスよく食べさせろって言ってた」
「つまりおやつを上げ過ぎると困った事になる……?」
「緋朱に頼りっきりっていうのも、何かあった時に困りますしねぇ……。そんな何かは無い方がいいんですけど」
なお、ドラゴンを止められるようなイベントは無い。ドラゴンが居たらギミックごと何もかも力で轢き潰せるステージはあるが。というか、緋朱と「枯れ森の大鹿」でたぶん6割がたのステージとイベントは轢き潰せる。
過剰戦力にも程がある状態なんだよな、今現在。よくまぁここまで揃えられたもんだ。引きが良いレベルじゃない。いやまぁ、そもそもあんなにたくさん箱があったって言うのが既に不思議というか恵まれてるんだが。
あれだけを、中身ランダムとはいえ買ってたら、それこそ課金額でいくらだよって話だからな。私は1つ1つの仕事が大きい分だけまとめてお金を貰い、それで生活しながら次の仕事をするスタイルだが、その仕事の丸ごと1つ分ぐらいにはなるんじゃないか。
「でも、完全に覚えちゃってるし「襲撃を撃退したらおやつ」って言うのが習慣になれば、襲撃があったらすぐに戻って来る、って事にもならない?」
「あー、なりそう。そして助かる」
「健康に良い甘いものを作るのは人間の仕事だし……」
「午前と午後で1個ずつまで、ならどう?」
「それはいいな。あとは、壁が壊れたら追加でもう1個、とか?」
「いやそれは伏せておこう。緋朱が壁を壊しかねない」
「幼子だから仕方ないね」
「その場合、おやつを出すけど次の日はおやつ無しにしましょう。壁が壊れたのでそっちの対処で忙しいでしょうし」
「それはそう」
「それなら自分では壊さないか」
ともあれ、緋朱の出撃頻度というか、おやつの数についてはそういう事になった。たぶんこの辺が落としどころだな。襲撃があったら緋朱がそれを感知する、っていうのは、とても助かる事だし。
レッドドラゴンなんだから、火力を調節できる火の精霊みたいなもんだし。こっちで甘さはそのままカロリーと栄養バランスを調節すれば、一応ぷくぷく丸く太るって事も無い筈だ。
……無い筈だよな? たぶん。恐らく。飛んでブレス吐くのも運動って言えるだろうし。ブレスって結構厳しめの運動相当だった筈だし。




