99.連続の襲撃
私はダギアンの尻尾を王子様に届け、牧場では嵩張る毛皮と加工出来ない危険物である毒針を回収し、拠点に戻った。なおエリア由来の拠点襲撃なので、「旨蜜珠」のドロップは無い。
目玉もとい魔眼については王子様からの言葉を伝え、解体中の人達は目玉を別にしてくれたようだ。そしてしばらく目を離していたら、だんだん不透明な色付きの水晶みたいになっていったとの事。本当にどうなってるんだろうな?
まぁでも、うちにいる人でモンスターの解体が出来る人は「考えても分からん」現象には慣れている。何しろ、その、ものすごく都合の良い不思議植物がたくさん栽培されてるから。そもそも、モンスターは体の構造も大概不思議だし。
「お肉は麹と味噌と玉葱のみじん切りにそれぞれ漬けてみましょう」
「美味しくなるといいわねー」
「骨はとりあえず出汁にしてしまえばヨシ」
「いや丈夫そうなところは一応置いとけよ?」
非日常も、繰り返せば日常ってやつだな。モンスター出汁の料理はとても美味しいので、明日も楽しみだ。
という事でその翌日、転移1ヵ月23日目。
「ツミキさん! また来ました!」
「おっと、分かりました。工一さんとリットさんに指示を仰いでください」
「それが、お2人共探索に出られた直後らしく! 電話はかけているのですが、繋がらないみたいで……!」
「……森の中は電波が届きにくいとか、もしくは縄張り争い中だから魔力的な障害とかそんなんですかねぇ。まぁ、落ち着いて冷静に対処すれば、何とかなるのは昨日で分かっている筈ですし。そうだ、牧場の様子は?」
「確認してきます!」
まさかの連続襲撃だよ。ゲームの時は、探索→襲撃(防衛)→探索の繰り返しだった、つまり1日ごとだったんだが、探索と同時に来るかー。
まぁ予想はしてたけどな。だから昨日、それこそ1週間は防衛できる量の物資を持って行ったんだ。あれは、あの時用意できて持ち出せる最大量だった。その手の武器を作る設備は、こっちにしかないからな。
工一さんと王子様が探索に出た、つまり全力での探索だが、それでも予備戦力ぐらいは残してあるだろう。昨日実際に防衛を体験した事で、牧場の人達もどう動けば良いかは分かってる筈だ。たぶん。
「牧場の方にも襲撃があるようですが、対応できているとの事です!」
「分かりました。ありがとうございます。なら、こちらも対応しましょう。昨日と同じです。落ち着けば大丈夫です」
という事で、防衛戦再びである。というかこの分だと、4エリア目をクリアするまではずっと襲撃があって防衛しないといけない感じだな? 指揮官キャラの数が足りないぞ。ゲームではないんだけど。
まぁでも、最初の探索組の人達はほぼ指揮官クラスって言っていいし、戦術的な話なら私よりもずっと詳しい。そしてこっちの拠点にも牧場にも、そういう人が数人は常駐しているから、防衛に関しては準備が終わっている以上何とでもなる。
流石に連日連続で、となると疲れてくるかもしれないが、素材の大量入手チャンスだからなぁ。ダギアンならば魔眼と尻尾。いやマルティヤの毒針と尻尾の先も良いんだけどね。毛皮……毛皮はどうしような。ちゃんと加工すればあれもそこそこ良い装備になるんだが。
「刻み玉葱に押し挟んで一晩寝かせたダギアン肉、美味しかったですからねぇ……」
「あ、その、今日はこちらがマルティヤで牧場がダギアンです」
「そうなんですか。でもまぁそれならそれで、毒針の根元のお肉は美味しいらしいですよ」
「そうなんですか?」
おっと、料理担当の人達の目が光った気がするぞ。あれ、マルティヤ素材はこっちに持ってきてなかったっけか。
……解体班と料理班には渡してなかった気がするな。だって昨日襲撃が終わったのは夕方で、落とし穴に落ちたダギアンの回収をするので忙しくしてたし。数も多かったし。
まぁ、大丈夫だ。ダギアンの肉と骨は(ドロップ判定には出ないから)解体しないと手に入らないが、マルティヤの(尻尾の先の)肉は倉庫に入ってるからな。ドロップ品にならずに回収できたやつも、そのまま倉庫に放り込んでるし。後で出そう。




