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リアル・サバイバルクラフター  作者: 竜野マナ(竜灯草)


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94T2.非日常は畳み掛ける

「敵襲!!」


 その言葉を、正しく理解できていた、とは、残念ながら、言えない。何しろ、あまりにも耳馴染みのない言葉だったからだ。

 それでもすぐに反応できたのは、牛の世話をする為に既に起きていた事と、その可能性について聞いていたから。これでも代表者なのだ。せめて、その場にいるぐらいはしなければ。そういう、なけなしの責任感もあっただろう。

 作業を中断して後を任せ、何かあった時にはここに集まろう、と、相談してあった部屋に移動する。すると、ほぼ同時に工一さんとリットさんが、こちらは戦える格好で入って来た。


「[相手は何だ]」

「マルティヤだ。だが数が多い。幸いなのは柵のトゲトゲを嫌がって、飛び越えようとするどころか近寄ろうともしない事だな。まぁその分人の居る場所に集中してるんだが」

「[なら牛は牛舎の外に出さなければ大丈夫だな。タカシ、牛は?]」

「えっ、あっ、ま、まだ全頭牛舎の中、ですっ!」

「[どれだけ襲撃が続くか分からない。雨天時と同じように対処しろ]」


 雨天時と同じように、つまり牛を外に出すなという事だ。単に牛を外に出すなというより具体的で、あまり頭が回っていない自覚のある状態でもすんなりと理解できた。

 誰相手であっても呼び捨ての、リットという青年。命令に慣れている様子だし、一体何者なんだろうか。

 まぁ、今気にするべきはそこではない。襲撃、そしてマルティヤ。それが名前であり、まるで人のような顔をしたネコ科の動物だという事は知っていた。ツミキさんの所から来た人達はあれを怪物(モンスター)と呼んでいたが、しっくりくる呼び名だ。


「あ、あの、高師さん。一体何が……」

「マルティヤ、というモンスターの、襲撃らしい。だが今ここには工一さんもリットさんもいる。彼らはとても対処に慣れているようだったから、彼らの指示に従えば、たぶん大丈夫だ」

「牛はどうすれば?」

「雨天時と同じで、牛舎の外には出さないように、との事だ。……干し草ロールの作成が終わっていて良かった」


 それは心底からの本音だった。雨漏りの修理なんて、どれだけかかるか分からない。それをツミキさんは、たったの10日ほどで終わらせて、こちらの修理に来てくれたのだ。

 工一さんも一緒だったとはいえ、その作業スピードは目を見張るものだった。いや、元々壁を塞いだり、廊下の床を直したり、そういう作業もあっという間に終わらせてしまった人だ。

 あの、雨漏りを優先させてほしい、というのも、そうかからずこちらの修理に取り掛かれるからこその優先順位だったんだろう。それをこちらの都合と不安でゴネてしまって、随分と困らせてしまった。


「ただ、人手が足りないようだ。もちろん牧場の柵を伸ばした壁もあるし、その上から投げれば良いだけの武器を投げるぐらいは働かないといけないが、落ち着いてちゃんと狙えば、壁に取りつかせる事なく撃退できるそうだから、頑張ろう」

「武器を……」

「そう言えば、危険、ってラベルの張られた箱が運び込まれてましたけど、あれ?」

「危険って何だって思ったけど、武器なら危険か……」

「って事は、襲撃があるのが分かってたって事?」

「分かってたんなら備えてるだろうし、なら大丈夫かな」


 言われた指示を伝えるだけの役目だけど、牧場を手伝ってくれている彼らは素直に聞いてくれた。本当にありがたい事だ。彼らが素直に指示を聞いてくれる事も、そして襲撃に備えていた工一さん達も。

 恐らく、彼らは経験があるのだろう。あちらの家は随分とその、堅牢、という言葉がふさわしい感じだったから。どうして、と思っていたのだが、あれは恐らく、こちらとは比べものにならない規模の、まさしく襲撃があったからだ。

 既に経験していた。それがある事を知っていた。だから備える事が出来た。その経験に我々は助けられている。ありがたい事だ。


「……、大丈夫かしら」

「銀胡?」

「いいえ……あなた、工一さん達はあの部屋なの?」

「あぁ。あ、いや、工一さんはもう外に出ていたかな。リットさんはあの場に残っているよ」

「分かったわ。ちょっと質問をしてくるわね」


 ただそれを聞いた妻は、何かに気付いたらしく、あの部屋に行ったようだが……。

 ……まさか妻の銀胡が、リットさんに戦略の基礎を習う事で指揮官として覚醒するとは、流石に全く分からなかった未来だ。


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― 新着の感想 ―
 納得しか無かった。<指揮官2号  家族と住処に牧場と社員を守るためでモチベ高いし、策謀とかが性に合うタイプだしで、まあ噛み合うね! 王子様との会話がわりと気になるなコレ……
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