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それぞれの進むべき道

「・・・私が寝てる間になんかいろいろ進んだんだね」


モモリは出されたフルーツティーに息を吹きかけた。


「復興は着実に進んでいる。幸い死者も出なかった」


オリーヴの報告にモモリはほっと胸をなでおろした。


「モモリくんの魔法制御もうまくなっていたからね。そのおかげでニュンペイの攻撃以外の被害はあの演技の時くらいだったんだ」


ソウの言葉にちょうど入ってきた女王が反応する。


「モモリ、起きたか。体に不調が無いようでよかった。それより君の魔法の威力はどういうことなんだ?使用していたのはほとんど初級魔法のようだったが」


「え、あ、その」

「モモリくんは魔力量が多いせいで振り回されてその制御ができなかったんだ。それで毎回威力が、ね」


ソウの説明になるほどと何かを納得した女王はさて本題と言わんばかりにオリーヴに向き直った。


「ところでオリヴィア、この復興が終わったら正式な戴冠式をすることになった。」


「・・・は?」


モモリの素っ頓狂な声に、あぁ、言っていなかったかと女王が事情を話し始めた。


「実は、あくまで私は代理の女王でな。正式な女王であるオリーヴはもともと教会のお告げの子だったのだが、その剣に認められない限り女王になれないといわれていたんだ。」


「私も昨日まで知らされていなくてな・・・」


「プレッシャーになって逆効果になってもいけないと思ってね。私の方で箝口令を敷いていたんだ。

それで・・・まぁ、あんなことになったとはいえ、無事認められたみたいだしいいよねって!」


「つまり教会のひとにも箝口令出してた使用人や大臣にもまだ言ってないんですね」


「あぁ!!そうだ!!!!」


モモリの呆れたような声に女王は大きな声で返事をする。


「なのでこの前も言ったが私のことはサルディアと呼べ。あくまで代理なのだからな!!」


「はぁ・・・」


モモリが何とも言えない様子で呆けていると、ばんと大きな音を立てて扉がまた開かれた。


「モモリさん!!!!!」

「おい、うるさくすんな。迷惑だろ」


リクに引きずられるようにしてヒロもやってきた。


「彼らには復興の手伝いをしてもらっていた。いいといったのだが聞かなくてな・・・」

「だって初めに騒ぎ起こしたの俺らだし!」

「こいつが起きるまで暇だからな」


リクは爽やかに笑いながら親指を立て、ヒロは面倒くさそうな様子でため息をついた。


「うる・・・二人おもおつかれ」


「今うるさいって言われた?」

「お前声でかいから仕方ねーだろ」


いつも通りとも思えるやり取りを遮るようにして、ソウが口を開いた。


「ところで、霧祓いの灯(きろばらいのほのお)についてなのだが」


ソウの言葉に室内の時が止まったように凍り付いた。

女王・・・もといサルディアはソウが言葉をつづける前に急いで使用人を部屋からだし、人払いも命じた。


「全く、大賢者殿はもう少しタイミングをだな・・・」

「すまない。ついね。ま、モモリくんも起きたから、さっさと本題にはいりたかったのだよ。」


サルディアはため息をつきながら、何もわかっていない様子のモモリに説明を始めた。


「大陸の7大宝物は知っているかい?そのうちの一つとして、エルフの国、聖・リリーウン皇国にて保護されていた霧祓いの灯(きりばらいのほのお)という魔道具なんだ。これは特定の魔力で作られた霧の中で進路を導いてくれる代物で、まあつまり歴史の中で魔力の霧といえば砂漠の向こうの海を渡ったあの国しかないので、その国に唯一行く手段っていうことになるのだが。」


「確か数年前に国の宝物庫から盗まれたと騒ぎになっていたなぁ」


まるで他人事のソウに肩をすくませ、サルディアはつづけた。


「もともと砂漠の中でも海辺に集落を構える民族が、霧向こうの国と交易をするために使用していて、その都度祭事も行われていたらしいんだ。宝物として保護されてからは祭事もなくなったようだが、それが急に行われるなんて噂が流れたのだから調査もするよね」


サルディアはそう言い、改めてモモリに向き直った。


「祭事がいつ行われるかまではつかめなかった。君たちには必要な物なのだろうから落ち着き次第すぐ向かうといいよ。もちろん物資は支援する」


「え、でもまだ復興も終わってないし、戴冠式の準備とか・・・」


「あとで魔道具で撮った写真を送るさ。ああためて礼の場も設けさせていっただくさ」


サルディアの意見を頑として譲らない様子に、モモリもヒロもあきらめたように了承した。


「そういえば、一回話したジェラルドさん?だっけさっきメイドさんから聞いたんだけど、婚約してるんだよね?結婚式とかあするの?」


リクの声がして、オリーヴは固まってしまった。


「な、な、な」


「あぁ、もともとはあの子が次の王と言われていたのだが、いかんせん気弱でな。優しすぎるもんで王には向かないし、何よりオリヴィアにはお告げがあったからな。それならここ二人を結婚させてしまえばいいのではとなったんだ。親戚とは言ったがだいぶ遠縁だし、身分も申し訳ないということで満場一致だったんだ。この子は不満なようだがな。」


「それはそうだろう!!何歳年下だと思っているんだ!ジェルドは弟のようにしか見れないんだ!」


顔を真っ赤にして反論するオリーヴのことをにやにやしながらサルディアは言葉をつづける。


「それにね気が付いてた?あなたのことリリィって呼んでるの、私を抜けば今あの子だけなのよ?なんでかわかる?」



「もしかして・・・」


こういった話が好きなモモリもハッとして口元が緩んでいる。


「ジェリーったら、工房の親方とか、城中駆け回ってリリィって呼んでる人たち全員に『リリィって呼んでいいのは僕だけだから呼ばないで』って言って回ってたのよ~」


サルディアの楽しそうな声に、オリーヴは顔を真っ赤にしてプルプルと震えていた。


「そ、それは10年以上前だろぉぉぉぉ!」


オリーヴの力強い叫び声は城の中に響き渡って消えていった。

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