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閑話 童話の屋敷

 その日、アースは実家ステラ家の仕事で屋敷に不在。アイーダもアルタイルの森に出かけていて不在だった。


フェネはパシファと部屋でお留守番である。フェネは、面白い本を本棚で探していたら、屋敷シリーズのパンフレットを見つけた。これは何だろうと思ってパシファに尋ねてみた。


「パシファ、これは何?」

「お嬢様、それはアイーダ様がカードの屋敷に行かれた時に、もらってきた屋敷シリーズのパンフレットですね」


「屋敷シリーズって何? お姉様も行かれるの?」

「遊ぶための場所ですから、面白いと思います。アイーダ様は、花札の屋敷、カードの屋敷などで遊ばれていますね」


それを聞いたフェネは、パンフレットをパラパラと捲っていたが、ある屋敷の所で目を止めた。


「童話の屋敷って面白いのかしら? パシファは行ったことがある?」

「私は行ったことはありませんけど、子ども用の屋敷ですね」

「私、行ってみたいわ。ダメかな?」


「お金がかかりますよ。アース様がいらしたら、出していただけるのですけど」

「大丈夫。今月はお小遣いを全然使っていないから」

「執事さんに聞いてみます。少し待っていてください」


パシファが出ていくと、フェネはお小遣いの入った袋を取り出し、その中を見て呟いた。


「お金がこれだけあれば足りるよね」


ベガの森の中で育ったフェネは、お金のことは全く知らなかった。金貨が銀貨100枚の価値があることなど知らなかったのである。

しばらくしたら、パシファが帰ってきた。


「執事さんから許可がもらえました。ただし、護衛に屋敷警備隊隊長を連れて行くようにとの事です。1時間後に玄関で待ち合わせです」

「そう、嬉しいわ。童話の屋敷ってどんな所でしょう。ワクワクするわ」



3人は赤いバラの屋敷から転移して、童話の屋敷の門前に来た。童話の屋敷の建物の壁には、白馬に乗った王子様や着飾ったお姫様、妖精、動物などが描かれている。見ただけで楽しくなってしまう屋敷だ。門から玄関への道で、フェネはパシファと護衛のイスリに頼む。


「遊びに来たのだから、お嬢様と呼ぶのは止めて、フェネって呼んで」

「えっ、それは……」

「いいじゃない、パシファ。フェネ様と呼べばいいのよ。普通のことよ」

「でも姉さん、いやわかりました。フェネ様とお呼びします」


「あら、2人は姉妹なの?」

「はい、私はパシファの姉です。見た目が似ていないけど姉妹なんです」


そんな会話をしながら歩いていたら、玄関に着いた。玄関の扉を開けると、大きな広間になっており、その端に受付があった。


受付にはきれいに着飾ったお姫様がいて、3人が近寄るとカーテシーをしてくれた。


「いらっしゃいませ。童話の屋敷へようこそ。入場料はお一人様、小銀貨1枚です。3人様ですので、銀貨1枚と小銀貨1枚になります」


それを聞いたフェネは考えた。金は銀より価値が高いから、金貨を出せば大丈夫だろうと。そして、金貨1枚を受付のテーブルに置いた。すると、受付のお姫様とイスリ、パシファが、えっと声を出して固まってしまった。自分は間違えたのかと思ったフェネが、もう1枚金貨を出そうと、お小遣い袋に手を入れると、


「フェネ様、金貨1枚だとお釣りが小金貨1枚と銀貨48枚と小銀貨1枚になります。とても重くてフェネ様には持てませんよ。ここは私が出しておきます」


パシファが入場料を支払うと、受付のお姫様が説明を始めた。


「こちらの表からコースを選んでください」


「童話の屋敷」コース一覧

コース名    獲得賞金

No1 お姫様  小銀貨1枚

No2 王子様  小銀貨2枚

No3 妖精さん 小銀貨3枚


コースの一覧表を見ていたフェネは、キラキラした目をして、受付のお姫様に選んだコースを言った。


「私、お姫様コースがいいわ。なんか楽しそうだから」

「では、No1の部屋に入ってください。たくさん、お楽しみください。クリアできたら、おまけでケーキをプレゼントします]


受付のお姫様はニッコリ微笑んで送り出してくれた。



No1の部屋に入ると、カボチャの馬車が待っていた。その前に黒いローブを着て、三角帽子を被り、魔法使いの杖を持った老婆が立っている。老婆が、口を開いた。


「ようこそ、お姫様コースにおいでなさった。馬車の上の時計が見えるじゃろ。あの時計の12時の鐘が5回鳴り終わるまでに、カボチャの馬車に乗って、向こうに見える木を回って帰ってくるのが第1の試練じゃ。さあ、急ぐが良い。もう試練は始まっておるぞ」


時計は動き始めていて、針は11時1分を指している。フェネとパシファは急いでカボチャの馬車に乗り、イスリは御者台に座り馬車を走らせた。目標の木までは遠くない、十分に間に合うだろう、とイスリは馬車を進めた。 目標の木を回り、さあ帰り道となったと時、2人の女の子が道に立ち塞がった。


「私たちは意地悪姉妹よ。ボードの問題に正解できないと、ここを通さないわよ」


赤髪の女の子がそう言った。隣の緑髪の女の子がボードを持っている。3人は急いで馬車を降りてボードの問題を見に行った。


問題 1番から4番の中から、カボチャの仲間でない食べ物を1つ選びなさい。


1番 ピーマン 2番 ダイコン 3番 トマト 4番 イチゴ 


ヒント 食べる部分は?


それを見たフェネがすぐに言った。


「1番のピーマンかしら。私、この中でピーマンだけは嫌いだから」


それを聞いたパシファが注意する。


「フェネ様、ヒントを見てください。食べる部分ですよ」

「そうなの? え~と、え~と、ダイコンは収穫するときに、地面の中から引っこ抜くわ。他は地面の上になっているのを収穫するの。だから、2番のダイコンが答えかしら」


「私もそう思います。姉さんはどう思いますか?」

「私も同じよ。ダイコンは根を食べるけど、他は実を食べるから」


フェネは赤髪の女の子に胸を張って答えた。


「2番のダイコンが答えよ。どうかしら?」

「正解よ。残念だけど、通っていいわ」


2人の女の子は、道からいなくなった。カボチャの馬車の上の時計を見ると、あと20分しかない。12時までに帰れるか微妙な時間しか残っていない。イスリは馬を急がせた。


ボーン、出発した場所の直前でカボチャの馬車の上の時計が音を鳴らした。ボーン、2回目が鳴った。ボーン、3回目が鳴ったときカボチャの馬車が止まった。

ボーン、4回目が鳴ったとき、3人は老婆の前に来た。ボーン、5回目が鳴った。


「おめでとうじゃ。ギリギリ間に合ったのお」

「良かった~。これでケーキがもらえるのよね?」

「いいや、まだ第2の試練がありのじゃ」


えー、と大声を出して、ガッカリするフェネ。それを無視して老婆は3つの靴を取り出して並べて言った。


「ここに金の靴と銀の靴とガラスの靴があるじゃろ。この3つの靴の中の1つを選び、向こうに見える城に行くのじゃ。ただし、道の途中にいるヘビを避けるには靴を叩いて、大きな音を出す必要がある。さあ、どの靴を選ぶかえ」


「叩いて大きな音が出るのは、金の靴か銀の靴でしょうか?」


パシファが言うと、イスリも同意する。


「そうね。ガラスの靴は割れるかもしれないわ」


しかし、フェネの意見は違った。


「童話でカボチャの馬車と言えば、ガラスの靴よ。ダンスを踊っても壊れなかったガラスの靴だもの、音をだすために叩いたくらいでは壊れないはずよ」


その意見にイスリとパシファも同意したので、フェネが答える。


「ガラスの靴を選びます」

「賢い選択じゃ。城に着いたら、最初の部屋のドアを開くのじゃ。では気を付けて行くが良い」


ガラスの靴はパシファが持ち、老婆と別れて、3人は城への道を進んだ。道の途中でたくさんのヘビが道にいて、邪魔をしていた。ガラスの靴を両手に持っていたパシファが、靴を叩き合わせて大きな音を出そうとするけど、手が震えて大きな音が出ない。


「私、ヘビが苦手なんです~~~。怖いの~~~」

「しょうがない子ね、パシファは。小さい頃から怖がりなんだから。しょうがないわ。私が火魔法でヘビを追い払おうか?」


そう言ったイスリをフェネが止める。


「待って、私に言い考えがあるわ」


そして、横笛を口にあてて詠唱する。


「音楽魔法 靴が鳴る」


横笛の演奏が始まる。流れてきた曲は童謡の『靴が鳴る』だ。すると、パシファの持つ靴がカラーン、カラーンと鳴り始める。そして、ヘビはどこかへ逃げてしまった。


城に着いた。言われた通り、最初の部屋のドアを開くと、そこは受付だった。

受付のお姫様が笑顔で迎えてくれて、そして言った。


「おめでとうございます。無事にクリアされたようですね。銀貨1枚の獲得になります。おまけのプレゼントはピーマンのケーキと、カボチャのケーキ、イチゴのケーキのどれがいいですか?」


3人は声を揃えて答えた。


「「「イチゴのケーキ」」」


お読みいただきありがとうございます。

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参考

「靴が鳴る」  作曲 弘田龍太郎  作詞 清水かつら 



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