準備
あれから、ブーストを上手く試合に運用できるように特訓を始めた。まずは、何度も使い込むことでどのくらいで効果が持続するのか、連続発動はできるのか。速さはどのくらい変わるのか。
疑問を1つずつ解決していった。わかったこととしては、
効果の持続は1分程度。でも、バスケの試合なら逆転や大切な場面を切り抜ける糸口にできるし、十分に感じる。
連続発動は体への影響は特になく、速さは体力が尽きるまで永遠と短距離の全力疾走してる気分。間違いなく発動中は無敵になれるだろう。
そしたら次に、試合に活用するために練習の最後に必ずやるチーム内試合で使ってみることにした。最初にその場面を出くわしたメンバーは、なにか起きているのか理解できないみたいだった。
初めて使ったその日、監督に練習後の片付け時に一人呼び出された。
「大輝…。」
「なんですか?監督。」
「お前がどうしてそんな技を隠していたのかは知らないが、一つ聞きたい。」
「なんですか?」
「その技は、定期的に使えるのか?」
「ええ。使う場面が来たと思ったら合図してくださいますか?」
「あぁ。乱用しないなら、俺から言うことは特にない。それに使うことになるのは間違いなく準決勝あたりからになるだろうしな。」
「去年もそこで負けましたよね。」
「あぁ。確実に言えるのは、去年のエースよりもお前のほうが実力は間違いなく上で、相手チームは去年の方が強いってことだ。それでも総合力で言えばうちは負けてる。」
「つまり、僕次第ってことです?」
「あぁ。それと、今後は俺っていってとけ?」
「なんでですか?」
「その方が強く見えるからだ。」
「まぁ、いいですけど。取り敢えず、準決までにチーム全体の実力向上が必要ですね。」
「こっちはこっちでやる。お前は、ほぼフルで出続けることになるだろうから当分はダッシュ禁止な。ランニング程度。練習も早めに上がって体を万全に整えることを最優先にしろ。」
「わかりましたよ。じゃあ、俺は帰りますね。片付けお願いします。」
そう言って、俺は帰路についた。いつもなら母親が迎えに来るが、いつもより30分以上も早く終わったので、監督の携帯を借りて母親に連絡し、帰った。
「ただいまぁ〜」
「おかえり。監督さんの電話だったから驚いたよ。でも随分早かったのね?」
「今週末から公式戦だからね。俺これでもうちのエースだから調整をしっかりとやれっていろいろ免除してもらった。」
「ふ〜ん。もうご飯できるから、手を洗ってきなさい?」
「あ〜い。」