新しいスキルは何にしよう…
「私達を助けてくれたのは誰ですか?」
彼女達の突然の問いに驚いたのは何も俺だけではない。マイクを向けていた記者もポカンとしている。
「誰とは?消防隊員の方々では、」
「いえ、救助頂く前に私達の怪我を治療してくださった方がいらっしゃるんです。その方は、何も言わずに私達を治療して去っていきました。」
「何か言わなかったのですか?」
「ええ、何も。」
…僕のセリフなかったことにされてる?ちょっとショックかも…。推しメンとお近づきになるきっかけだとオモッタノニ…。
意気消沈した僕は、宿題をさっさと済ませると夕食を済ませ、自分の部屋に入った。
「何だよ…忘れてるんかい!」
僕の心の声に反応したのか、頭に機械音が響いた。
「レベルアップの条件を達成しました。レベルが10上がります。ステータスを確認してください。」
僕は驚きつつも声に従い、ステータスを開いた
『ステータス』
名前:山下 大輝 種族:人間 Lv11
職業:小学生
称号:治癒士見習い
HP:500 MP:300
装備:普段着
スキル:治癒魔法、探知魔法
NEW 新しいスキルが獲得できます!
「えっ!?新しいスキル?」
魔力量も30倍になっている。ヒールよりも高位の治癒魔法を身につけられるが、ここで別の魔法を身につけることも考えるべきだ。今後、バスケを本気で目指していくなら、身体強化魔法がベストだろう。
僕が新たに身につけることスキルは、『ブースト(速度上昇)』
だ。僕は、親にランニングしてくると伝えると、ジャージに着替え、外に出た。
そして、詠唱する。
『力よ漲らせ給え 速度上昇』
僕は走り出してみた。その速さに驚いた。まるで陸上部にでもなったみたいだ。自分の走りとは思えない。ただ、体力を増やしたわけではないので、疲れるには疲れるがいつもより明らかに遠くまで走れている。
使用魔力は1。試合中に300回も使えんのかよ。
「これがあれば来週からの全国ミニバスケットボール大会の静岡大会は余裕だな。」