助けてくれたのは誰ですか?
その後、ニュースで俺が見に行ったアイドルのライブ会場のビルが、爆破されたという情報と見に来ていたファンが死亡したという情報に驚愕とともに青ざめた様子で両親が帰ってきた。
僕を見るなり、涙を流して抱きしめられた。まぁ、当然かもしれないけど。兄貴に洋服を汚してしまったことを謝ったら命のほうが百倍大事だと殴られた。
そして、予想通り僕のもとに記者が大挙して押し寄せた。唯一生き残ったファンで、僕が会場を出た瞬間に発生した爆破事故。
誰が見ても俺を犯人だと思うかもしれない。でも、よく考えてほしい。小学生に爆弾なんて入手できると思うのか?そして、彼らは1つ失念していたことがある。
僕の父親は、俺は兄弟にはトコトンまで甘やかしてくるが、世間にはとんでもなく厳しいんだ。結局、僕を本人扱いするように取材してきた記者はひとり残らず、訴えたられた。父親の友人には議員やら弁護士やら検察官やらとんでもないメンツが揃っており、一人につき100万円の賠償請求と記事の取り下げ、取材行為の即時中止、テレビ中継の下で違法な取材を行ったことを自白し、謝罪することを承諾させた。
ニュースで謝罪の場面が出た翌日、僕は報道を屈服させた存在として改めて注目の的となった。今度はいい意味で。ミニバスで静岡選抜に選出されたことも取り上げてもらい、次の日に学校に行ったらバスケの強豪中学からの学校案内が届いていた。
それまで気に求めていなかった女子とも話せるようになり、
意外と良い結果となったと言えるだろう。
ルンルン気分で自宅に帰り、テレビをつけると昨日助けたアイドル達が取材を受けていた。良かった…。怪我は治したけど、
あそこからの救助は見てないから結果を知りたかったんだよね。
彼女達の第一声に僕は驚いた…
「私達を助けてくれたのは、誰ですか?」