ピパロン王国警備隊 第15話 桃太郎は竜宮城へ
〇むかしむかし
昔昔、ある所にトーマ爺さんとルミ婆さんがおりました。ルミ婆さんは川へ洗濯に、トーマ爺さんは山へしばかりに・・・は行かず、婆さんの手伝いで川へ洗濯に行きました。
トーマ爺「婆さんや、川で洗濯なんて面倒くさいのう。最新の全自動洗濯機を買わないか?ドラム式がいいな〜」
ルミ婆「また〜、爺さんの悪い癖ね。洗濯機なんてものがこの世にある訳ないじゃないですか。」
トーマ爺「そうであった。でも、なんか洗濯機があったような・・・」
ルミ婆「悪い夢でも見ていたのでしょう。頑張って手で洗いますよ。」
トーマ爺「はいはい・・・こうやって川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてくるような気がする。」
ルミ婆「はあ?いいから、早く洗いましょう。」
ドンブラコ、ドンブラコ
トーマ爺「あ、あれは桃ではないか?」
ルミ婆「ええっ!本当に桃が流れてきた〜」
トーマ爺「よいしょっと。よし、取ったゾ〜」
ルミ婆「わー、大きい!美味しそう!」
トーマ爺「でかいぞ。男の子が入っているみたい!」
ルミ婆「そんな訳ないでしょ。早速、家に帰って食べましょう。」
トーマ爺「やった〜」
〇桃の中から
トーマ爺「よーし、わるぞ〜、せいのっと!」
バン・・・ドサッ☆
ルミ婆「あ、中から男の子が!まさか!」
セイジ太郎「お爺さん、お婆さん、はじめまして。僕はセイジ太郎と言います。」
トーマ爺「うひゃ、喋った!」
ルミ婆「桃から産まれたセイジ太郎・・・何か語呂が悪いわね。」
トーマ爺「いっそ、もも太郎つて名前にしたらどうだ?」
セイジ太郎「いいえ!ふざけないで下さい。僕はセイジ太郎です!」
トーマ爺「桃から産まれてくる時点でふざけてるだろ。まあ、いい。セイジ太郎は何で桃の中にいたのか?」
セイジ太郎「そういうことは追及しないで下さい。お約束なんです。」
ルミ婆「ふーん、でもこれからどうするの?ウチは貧乏なのよ。」
セイジ太郎「僕、鬼ヶ島に鬼退治に行こうと思います。」
トーマ爺「鬼ヶ島?鬼退治?やめとけやめとけ。鬼退治なんかしたって、いいことないぞ。そもそも最近の鬼は弱いので誰も困ってないぞ。」
セイジ太郎「そうですか・・・でも、行かないといけないのです。」
ルミ婆「あら、そうなのね。では、おにぎりでも作ってあげましょう。」
セイジ太郎「いえ、おにぎりではなくて、きびだんごを、作ってください。きびだんごでないと駄目なんです。」
トーマ爺「何だか図々しい奴だなー」
ルミ婆「はいはい、きびだんごですね。いいですよ。」
セイジ太郎「ありがとうございます!」
〇いざ、出陣!
セイジ太郎「ささ、爺さんも婆さんも身支度を。」
ルミ婆「どうしてですか?私達はもう足腰が、悪くて...」
トーマ爺「そうだよ、なんで鬼退治なんて行かなきゃいけないんだよ。1人で行けよ。」
セイジ太郎「鬼ヶ島には金銀財宝ザックザクらしいです。」
トーマ爺「・・・よし、行こう!」
ルミ婆「爺さん、大丈夫かい?」
トーマ爺「なーに、弱っちい鬼どもなんかひとひねりさ。早速出発だ!」
〇船はどこに?
セイジ太郎「もうすぐ海です。」
ルミ婆「いっばい歩いて疲れたし、おなかすいたし・・・きびだんごは?」
トーマ爺「セイジ太郎が犬と猿とキジにきびたんごをあげて仲間にしよう、とか言って、全部、食い逃げされたじゃないか。」
セイジ太郎「うーん、普通は仲間になるのですが。」
トーマ爺「桃から出てきたおまえが「普通は」とか言ったって全然説得力ないんだよ。」
ルミ婆「もう、きびたんごは無くなりましたよ。」
トーマ爺「あー、腹減った・・・UberEATSで出前でも頼まないか?」
ルミ婆「何を言っているのかさっぱり分かりません。」
トーマ爺「だよな。で、次はどうする?」
セイジ太郎「はい、海を渡って鬼ヶ島へ行きます。」
ルミ婆「どうやって海を渡るのですか?」
セイジ太郎「はい、泳いで渡ります。」
トーマ爺「はあ?ウソだろ〜。無理無理、年寄りが泳ぐなんて自殺行為だ。」
セイジ太郎「そうですか、困りましたね。」
ルミ婆「あ、あそこに船があるわ!」
トーマ爺「おお、ちょうど良かった。これで鬼ヶ島に行こう!」
セイジ太郎「大丈夫でしょうか?沈没したりしないでしょうか?」
トーマ爺「どこにも穴はあいてないし、立派なもんじゃないか。泳いで渡るよりよっぽどマシさ。」
セイジ太郎「分かりました。この船で行きましょう。」
〇海の上
いち、に、さん、し、鬼なんか怖くない♪
いち、に、さん、し、鬼なんか怖くない♪
ルミ婆「結構、漕いだけど、まだ着かないの?」
トーマ爺「本当にこっちで合っているのか?島なんか全然ないじゃないか?」
セイジ太郎「は~、実はよく分からないのです。」
トーマ爺「なに~!じゃあ、遭難したってことか?」
セイジ太郎「方向は間違ってないと思うのですが・・・」
ルミ婆「疲れた~、ちょっと休みましょう。」
トーマ爺「あーあ、鬼退治なんかに来なきゃよかった。お腹空いたし。やっぱりUberEATSに頼まないか?」
セイジ太郎「海の上には配達してくれないと思いますよ。」
ルミ婆「そもそも行くことにしたのはトーマ爺ですよ。」
トーマ爺「そうだけれども、このまますすんでも鬼ヶ島に着く保証なんてないし。」
セイジ太郎「そんなこと言わずに頑張りましょう。きっと、もうすぐ見えてきますよ。」
○島だ!
ルミ婆「あ、あれは島じゃない?もしかして・・・」
セイジ太郎「そう、あれは鬼ヶ島です!ついにやりました!」
トーマ爺「そうとわかれば俄然、やる気が出てきたぞ。いち、に、いち、に・・・」
ボコッ☆ブクブクブク♪
ルミ婆「ああ!トーマ爺さん、勢い余ってオールで穴が空きましたよー!!」
セイジ太郎「大変だ!このままだと沈没してしまう!」
トーマ爺「なんだって!俺は泳げないんだよ~、助けてくれ~」
ルミ婆「どんどん沈んでいくわ。早く水を外にださないと。」
セイジ太郎「間に合いませんよ。僕は泳げるから大丈夫です。」
トーマ爺「ナニ~抜けがけは許さん!離さないぞ~」
ルミ婆「ああ、沈んでいく~!もうダメ~」
セイジ太郎「もう無理ですね。冥土で会いましょう。」
トーマ爺「そんな所で会いたくないよ~、うわーーーーーっ!!」
バッシャーン☆ブクブクブク・・・
〇天国?
ザザーッ、ザザーッ・・・
ルミ婆「・・・ここは?天国?」
トーマ爺「おお、気がついたか。ここは天国みたいな所だぞ。」
ルミ婆「やっぱりそうなんですね。トーマ爺はてっきり地獄行きかと思っていました。」
トーマ爺「何を!そうじゃい。我々は助かったのだ。」
ルミ婆「そうなんですか?でも、どうやって?」
セイジ太郎「あの亀が助けてくれたのです。」
ココア亀「セイジ太郎様が溺れているのを見て、慌ててこちらにお連れしたのです。」
ルミ婆「知り合いなの?」
セイジ太郎「はい。以前、あの亀が村の子供達にいじめられているところを助けたことがあるのです。」
ココア亀「ココア亀と申します。セイジ太郎様に恩返しができて嬉しいです。ここは竜宮城といいます。」
ルナ姫「私はこの竜宮城の主、ルナ姫と言います。何時ぞやはこのココア亀を助けて頂きありがとうございました。ささやかながら、おもてなしの準備をしております。ごゆっくりお楽しみ下さい♥」
トーマ爺「うっひょ~、大ご馳走じゃないか!」
ルミ婆「嬉しい!お腹が空いてたの~」
セイジ太郎「これは素晴らしい!頂きます!」
〇月日は流れ
トーマ爺「毎日毎日、食えや歌えやのどんちゃん騒ぎ、最高だな~」
ルミ婆「何だか心配です。毎日こうやって遊んて暮らしていていいのでしょうか。」
セイジ太郎「あれからどのくらいたったでしょうか。」
トーマ爺「な~に、難しいことは考えなくてもいいさ。ルナ姫はず~といてもいいって言ってるし。」
セイジ太郎「そうですか・・・僕はやはり鬼ヶ島へ鬼退治へ行かないと!」
ルミ婆「私もそろそろ帰りたいわ。」
トーマ爺「仕方がないな~。でもどうやって帰ればいいのかな?」
セイジ太郎「やはり、ここはルナ姫に相談しましょう。」
〇お土産
ルナ姫「皆様、お帰りになるのですね。お名残惜しいです。」
トーマ爺「こちらこそありがとう。毎日楽しかったです。何年たったのか分からないくらい・・・」
ルナ姫「それはよかったです。お土産にこの玉手箱を持って行ってください。」
ルミ婆「玉手箱?」
ルナ姫「はい、思い出の品としてお受け取り下さい。でも・・・この箱は決して開けてはいけませんよ。」
セイジ太郎「あけたらどうなるのですか?」
ルナ姫「それはひ・み・つ♥」
トーマ爺「うーん、あけたくなる~」
ルミ婆「そろそろ失礼します。」
ココア亀「帰りも、このココア亀がお送りしますわ。しっかりつかまって下さい。」
トーマ爺「長かったような、あっいう間だったような・・・」
セイジ太郎「まずは鬼ヶ島までお願いします。」
ココア亀「はい、では出発します!」
ルミ婆「さようなら、竜宮城!」
〇鬼ヶ島
ココア亀「到着しました。」
ルナ婆「ありがとう、ココア亀。」
ココア亀「皆様もお元気で。では私は竜宮城へ戻ります。」
トーマ爺「あ、行っちゃった・・・」
ルミ婆「それにしても何だか風景が変わった感じ。」
グオーッ、ダン、ダン、ダン
セイジ太郎「あ、あれは!恐竜?!」
トーマ爺「なんで恐竜?ここはいつの時代なんだよ~」
ルミ婆「早く逃げないと・・・ダメだ、年寄りなので走れない!」
トーマ爺「おい、セイジ太郎!恐竜をやっつけろ!鬼退治に来たんだろ。」
セイジ太郎「無理ですよ~、大きさが違いすぎます!」
ルミ婆「こっちに来る~、どうしよう~」
トーマ爺「ええい!こうなったら最後の手段!玉手箱を開けよう。」
セイジ太郎「ダメですよ~、それは開けてはいけないってルナ姫が言っていたじゃないですか。」
トーマ爺「ええい、うるさい!他に手段はないだろう?」
ルミ婆「でも、開けたら白い煙がでてきて、爺さん婆さんになっちゃうとか?」
トーマ爺「もう、とっくに爺さんと婆さんじゃないか!これ以上歳はとらないさ。よし!開けるぞ!」
パカッ、モクモクモク~
セイジ太郎「ああ、やっばり白い煙が〜!」
ルミ婆「きっと、歳をとってガイコツになるんだわ!」
トーマ爺「そんな・・・でも若返ってきたような・・・」
ルミ婆「トーマ爺がどんどん小さくなってる~」
トーマ爺「オギャー、オギャー・・・」
セイジ太郎「爺さんが赤ん坊になっちゃった!」
ルミ婆「オギャー、オギャー・・・」
〇勿論の夢
トーマ隊長「オギャー、オギャー・・・」
ルミ隊員「起きて下さい!トーマ隊長!」
トーマ隊長「ん〜はっ!あれ?恐竜は?ルミ婆は?セイジ太郎は?」
ルミ隊員「何言ってるんですか!もう十分寝たでしょうからさっさと仕事仕事!オギャー、オギャーとか言ってる場合ではありません!」
トーマ隊長「夢だったのか...助かった。」
ルミ隊員「全自動洗濯機もUberEATSも現実にしかないんですよ、早く仕事しましよう!」
トーマ隊長「・・・なんで知っているんだ?」
ルミ隊員「何ででしょうね♪」
トーマ隊長「あ、玉手箱だ??一体・・・」
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