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追放聖女はもふもふ達と恋をする?  作者: 街のぶーらんじぇりー


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新たな旅立ち

「いえ、あの、どういうことなんでしょう?」


 私は絶賛大混乱中。ヴィクトルを差し出されて、ハイあげますって言われたって……。


「うむ。ロッテ嬢はこれから、バイエルンに向かって、落ち着くところが決まるまで放浪するのじゃろう? ならば、こやつを連れていくがよい」


「そうおっしゃられても……」


「ん? こやつでは不満かの? こやつは儂に比べればまだまだじゃが、何かと役に立つぞ。嬢ちゃん達の乗る馬にもなれば、荷を運ぶ牛にもなる。そして敵が現れた時は、聖女の剣にもなり盾にもなるぞよ。どうじゃな、お買い得とは思わぬか?」


「いや、そりゃ、確かにヴィクトルがいてくれたら旅は安心ですけれど、彼は次期族長なのではないんですか??」


「ふむ、まあ確かに、儂の長子ではあるのだが……儂もあと百年ほどは生きるつもりであるしのう。ヴィクトルには弟もおるし……ロッテ嬢ちゃんさえ気に入ってくれれば、そのまま持って行って構わんのだが、なあ」


「あの……ヴィクトル? 私達と一緒に行ってくれる、の?」


「うん。これは俺が望んだことなんだ。ロッテと共に行きたいってね」


「あ、あの……とっても嬉しいけど……」


 私は思わずみんなの方を見てしまう。


「素敵です! 族長の地位を捨てて愛を取るのですね!」 

 眼をキラキラさせるのはビアンカ。


「仕方ないよね、僕はまだ子供だから、ヴィクトル兄さんには勝てないし」 

 肩をすくめるカミル。


「厳しく吟味させて頂いたのですが……合格ですわね。お嬢様をお預けしましょう」 

 ふぅっと小さいため息をついてから、微笑むクララ。


 むむ? みんな、発言が意味不明なんですけど? でも、ヴィクトルを歓迎してくれてることは、確かみたいね。


 うん、そうだ。しばらくの間だったらこの森からヴィクトルを借りちゃってもいいよね。私達が定住する場所を決めたら、戻ってくればいいんだし。


 私はヴィクトルの大きな体に飛びついて、言った。


「うん、ヴィクトル、私達が落ち着くまで守ってね! そんなに長くないと思うけど、一緒に旅しよう! きっと楽しいよ!」


 ふと、族長様の表情が微妙なのに気付く。ヴィクトルの顔を見上げると、やっぱり何とも言えない表情。


「もしかしてお姉さん、族長様のおっしゃった意味に、気付いてないのかな?」

「そうですね。ロッテ様らしい残念な反応で……」

「ヴィクトル兄さんって、毎度毎度、報われない人だよね……」


 ビアンカ達が残念なものを見るような眼で私を見るの。あれ? 私、何かまた間違えた?


◇◇◇◇◇◇◇◇


 陰樹の森を吹き抜ける風はやわらかくて適度に湿りを帯びていて……私の真っ黒で長い髪をゆるやかになぶっていく。


 のんびりとサーベルタイガーの巨躯に揺られる私は、本当に今度こそバイエルンに向かって旅している途中だ。


「ね、ヴィクトル、重くないの?」


 ヴィクトルは全員の荷物を背にくくりつけて、さらに私を首の後ろに軽々とのっけてくれている。横座りしたお尻に感じるサーベルタイガー毛皮の触感は、滑らかでふわっとしてて暖かくて……ようは最高だ。


(うん、ロッテは子リスみたいに軽いから)


 いや、いくら何でもリス並ってことはないでしょ。少なくとも私、ビアンカよりは重たい自覚があるわ。


「ふふふっ。ヴィクトルさんは、ロッテ様をお乗せするのが気持ち良いのですよ」

「兄さんは、ロッテお姉さんのお尻の感触を楽しんでるだけなんじゃないの……」

「まあカミル、いつの間にそんな品の無いことを言う子になったのかしら?」


 一緒に歩いている大事な家族たちが、勝手なことを言って笑う。そう、ヴィクトルに乗せてもらってるのは私だけなの。まあ、ダントツ体力のないのが私だから、仕方ないわよね。


(いや、まあ……尻かどうかは別として、こうやって乗っていてくれると、ロッテの魔力が染みてくるんだよ、かなり気持ちいいぞ)


「ちぇっ、兄さんばっかりロッテお姉さんとくっついて、ずるいよな……」


「妬くんじゃありませんよカミル。ビアンカとカミルには、夜になったらロッテ様と添い寝できるという、すごい特権があるのですからね」


「あら、それをおっしゃるんだったら、ロッテお姉さんとキスできるのはクララお姉さんだけなのに! なんかお姉さんが一番得してるみたいで……いいなあ」


「うふふっ。これは大人の特権なのですよ。うらやましければ早く大人になりなさい、ビアンカ」


「む~ん」


(主らはいつも賑やかじゃな。妾もこういうのは嫌いではないぞ)


 最後の念話は、私がつかまっている革ベルトにくくりつけられた、グルヴェイグだ。


 そうね……本当に私達家族は、賑やかで楽しい。


 王都を追放されてからというもの、ほんとにいろんなことがあったわ。殺されかかったし、すごく怖い目にもあったし、大切な人も死にかけた……様にお願いするんだ。


 どうか、これから向かうバイエルンが、私の家族たちに幸せをもたらしてくれますように。

 


これにて第二部終了、設定確認回を一つ挟んで、第三部バイエルン編です。

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