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追放聖女はもふもふ達と恋をする?  作者: 街のぶーらんじぇりー


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お引越し

 私達はイリアの村に向かってお引越しツアー中だ。


 リザードマン親子のリディとお父さんも一緒、それに探鉱基地で働いていた猪獣人の親子が加わってくれた。猪獣人はお鼻が利くのでキノコとか山菜なんかの採集が得意で、森の深いところで暮らしたいからと言って私達の提案に乗っかってくれたの。村の人と仲良くできるといいな。


 荷車に家財道具を積んで……質素とは言え二家族ぶんだから、相当重いんだ。それをヴィクトルが軽々と引っ張っていく。


「ごめん、ヴィクトル……荷馬扱いしちゃって」


(あはは、だって女の人や子供に引っ張らせるわけにはいかないじゃないか。まあ、クララやカミルあたりなら、楽勝で引けるだろうけどね)


「うん、ありがと」


 がんばってくれるヴィクトルへせめてものご褒美にと、私は彼の背中にくくられた魔剣グルヴェイグに触れる。そう、こないだ気が付いたのだけれど、直接彼のもふもふにさわるよりも、彼と通じ合っているらしい魔剣を介しての方が、私の魔力がスムースにヴィクトルに伝わるの。そして、そうやって触れる分には、グルヴェイグが私の身体を焼くことはない。


(う~ん、ロッテの魔力が染みてくるなあ……)


 うふふ、喜んでもらえて、よかったわ。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 子爵の勢力も一掃しちゃったし、上位種の魔獣が複数参加している私達一行には獣も寄ってこないから、イリアの村までの道のりは、まさに平和だった。


 ガタガタ道を荷物満載の荷車を引いて移動するから速度はのろのろで、途中一回野営しなければならなかったけど……これは引き手ヴィクトルの問題じゃなく、荷車がおんぼろなのが悪いのよ。


 イリアの村は、ゴブリン襲撃による死者に対するお弔い気分もようやく明けて、復興作業真っただ中だった。出迎えてくれた村長さんに、村々への根回し状況を、早速確認する。


「開拓村五つを含む八つの村が、すでに賛同してくれている。二つはまだ決定の返事までは来ていないが、参加してくれるのは確実だと思う。問題は領都アッテンシュだけだな、あそこには王都っぽい気質の住民も多くてなあ……」


 村長さんは少々困り顔だ。


「仕方ないかも知れませんわね。森に囲まれたこの村と違って、領都では妖魔の脅威を感じることも少ないでしょうし。説得が難しいなら、領都だけは代官様の他に、ベルフォール領から治安担当の兵を送って頂くしかないでしょうね。伯爵様にはご負担をお掛けするけど……その代わり領都だけサーベルタイガーからの魔石支給をせず税率軽減もしない、としておけばいいのでは?」


 まあ、子爵領の村が全部賛成してくれるとは思っていなかったので、九割方取り込めそうだというのは、かなり上出来なんじゃないかな。イリアの人たちが、よほど頑張って説得してくれたんだろう。他の村がうまく行っているのを見て、領都の人たちが後日考えを変えてくれるとよいのだけど。


「まあ、そうですな。領都だけなら治安兵も数人で済むでしょうし、残りの村々で、見切り発車としましょうかな。あとは、王都で伯爵様がうまくやって下さるか、どうかですな」


「ええ、伯爵様ならきっと大丈夫、それに姉様……首席聖女も共に闘いますから」


「なるほど、それなら安心ですな。ところで、そちらの新しいお連れ様は?」


 村長さんが、リザードマン親子と猪獣人親子に視線を向ける。


「ええ、それについても、お願いがありまして……」


◇◇◇◇◇◇◇◇


「ほほぅ、この村に定住したいと」


 リディさん達の移住について、村長さんの反応は予想以上に好意的だった。


「まあ、村の主だった者には一応説明せねばならんが、まず問題はないでしょう。この村は慢性的な人手不足ですからな、働き手の移住は大歓迎というもの。まして特技を持つということであれば……」


「全員、獣人さんですが、村の人は受け入れてくれますか?」


 村長さんは獣人を見ても驚いていないけど、一応確認してみる。


「まあ、すでにこの村には獣人が数人住んでおりますからなあ。珍しいと言えば珍しいが、初めて見るものでもない、村人たちも『なんだ、新しいのが来たのか』程度の受け止めでしょうな。きちんと働いている限り、王都のように獣人を蔑んだりはせんでしょう。こんな辺境では、皆で協力せねば生きてゆけませんからな」


 ああ、よかった。まずは、この人達の落ち着き場所が見つかった。そして……人と獣人、そして魔獣が相和して暮らす、そんな私の夢……実現の第一歩になるといいな。


「では、とりあえずその人たちには、空いてる木こり小屋を使ってもらおうか。恒久的な住まいは、追々建てるとして……」


 決断の速い村長さんが、さっそく実務の話を進めていく、うん、さすがデキる男だわ。


ご愛読ありがとうございます。

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