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追放聖女はもふもふ達と恋をする?  作者: 街のぶーらんじぇりー


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村へ救援に

 村へ向かう討伐隊は、結局ものすごく少人数になった。


 かたくなになってしまった子爵が、私兵を出すことを断固として拒否したからだ。私達の他には、周囲の住民で腕に覚えのある者が義勇兵として五人ほど、私兵のうち今回のいきさつで子爵に愛想をつかした人たちが三名ほどてんてんそして驚いたことに、ベルフォール伯爵様と護衛の方たちが加わってくれたの。


「伯爵様まで、なぜ? かなり危険を伴うのですが……」


「私が貴女に『聖女』としての出陣をお願いしたのだからね、貴女を護る義務がある。それに……後日、子爵があることないこと貴女に対する讒言をせぬとも限らない、いや必ずするだろうから、証人として立ち会う必要もあるだろう、とね」


 ああ、伯爵様はやっぱり心までイケてるおじ様だわ。子爵領の小さい村や、異端で追放される私なんかに肩入れしても銅貨一枚の得にもならないというのに。本当に、細かいところに気を遣って下さっている。これは、頑張るしかないわ。


 とはいえ、私達を入れて総勢十六名……獣たちも数に入れてだけど……妖魔の襲撃に対してはかなりこころもとないわ。加えて、純粋な戦闘行為に関して、私はてんで役立たずなのだ。姉様くらいの力があれば、妖魔なんか寄せ付けないはずだけど……ううん、そんなこと今は考えちゃいけないよね。


 村から急報を告げてきた若い男を案内に、スピード重視だから騎馬で走る。私とビアンカ、そしてカミルの三人は、ヴィクトルに乗せてもらっている。馬よりも大きいヴィクトルの背中は、最高級毛皮の触感と相まって、乗り心地最高かも。そしてクララは馬に乗ってないのに、私達と同じ速度で走っている。やっぱり狼獣人の身体能力って、すごいわよね。時折私の方をチラチラ見ては「厳しく吟味しないと……」とかつぶやいているのが、意味不明だけど。


 やがて、問題の村が見えてきた。何ケ所か、家が燃えているらしく煙が上がっている。


「女子供を集会所に避難させて、男どもが食い止めているはずですが……」


 案内の若者にも、苦戦が予想されているのだろう。声に力がない。


「ようし! まず、そこに行くわよ!」


 ここまで来たら、元気出してやるしかないでしょ。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 集会所周辺の状況は、予想以上に悪かった。


 すでに三十人近い男達がゴブリンに討ち取られ、死体となって転がっている。ゴブリンの死骸は百体をはるかに超えているけど、とにかく数の力で押してくる戦法は脅威だわ。徐々に集会所周囲の守りは薄くなってゆき、すでにいくつかの窓にはゴブリンが取りつき始めている。


「やるわ! 伯爵様と護衛の方は私を護って下さい! 他は集会所の周りの敵を排除して!」


 ヴィクトルの背中から飛び降り、私は素早く聖女の杖に精神力を注ぎ込む。らせんを描いた魔銀の象嵌に沿って練り上げられた精神力を感じた次の瞬間、私は見える範囲で最も大きなゴブリンの群れに杖を向けた。


「浄化せよ!」


 光が妖魔達を取り巻いたかと思うと、十数体のゴブリンが空間に溶けるように消滅した。おおおっという驚きと喜びの声が、集会所を守っていた村人からも、連れて来た応援の人たちからもあがる。初手は成功ね……まずは、長時間戦って疲れ切っている村人さん達の士気を、上げなきゃいけないから、ヴィジュアル的にも派手にやることが必要だし。


 だけど、正直なとこ私自身が、自分が発した「浄化」の威力にびっくりしている。クビになる前にももちろん「浄化」は使っていたけど、一発で三~四体の妖魔を片づけるのがせいぜいだったはず。やっぱり「余分な魔力」を毎日クララたちに吸い取ってもらっているのが、効いてるのね。まあ姉様の「浄化」の威力は、さらに桁が違うんだけど……


「お願い、できるだけゴブリンを一ケ所に集めて!」


 そう。威力は上がってるけど、「余分な魔力」と違って私の「精神力」はそんなに豊富じゃない。聖女の力を使い過ぎたら倒れるだけだし、出来るだけ効率的にやらないと、数の暴力には対抗できないからね。


 私の意図を素早く察したヴィクトルとカミルが、両側から挟みこむように徐々にゴブリン達を追い込んでゆく。ヴィクトルが接近戦で無敵なのはわかっていたけれど、自分の手足よりはるかに長い両刃のロングソードを軽々と振り回すカミルが、意外なほど頼もしく見えて来るのよね。集会所に向かって突っ込んでくる敵に向けて、いつの間にか屋根によじ登った身軽なビアンカがひっきりなしに矢を射かけて足止めし、こぼれた敵はいつの間にやら魔狼の姿に変化したクララが、次々と引き裂いていく。


 そして集団が二十体ばかりになったのを見すまして、私がニ発目の「浄化」を発動する。一発目ほど綺麗じゃないけど、ほぼ全部が消失した。うん、私の精神力では、このくらいが限界みたいだ。


 私達応援組が予想以上に健闘しているのに勇気づけられたみたいで、村人達も闘志を取り戻している。主力を私達が引き受けて負荷が緩んだ分、村人も固まって戦えるようになって、ゴブリンに数的優位を作らせないよう、集会所の反対側をしっかり守る事ができているみたい。


「それにしても、いったい何体いるのかしら、このゴブリンは?」


ブックマーク評価など頂けると幸いです^^

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