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追放聖女はもふもふ達と恋をする?  作者: 街のぶーらんじぇりー


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深い森

ここから第二部です。よろしくお願いします。

 北東に向かっていた間道は、分かれ道に差し掛かった。


 目指すバイエルン王国への最短ルートは、北へ向かう方の道になる。だけど、いくらも進まないうちに公使の馬車も通る立派な街道に出てしまうから、ほとんどお尋ね者状態の私たちが取れる道ではないわね。


 一方、東へ進む道は……モンフェラート帝国へ向かうことになる。だけど、そこまでの道程には高い高い……氷河を抱いた山脈がそびえているんだよね。平地ならかなり歩き慣れている私も、力がいる登り坂がとっても苦手、寒いのはもっと苦手、つまり雪山を越えるとか、絶対無理ってこと。


 だから、ここから先は北でも東でもなく、まっすぐ北東に進むしか選択肢がないわけだけど、そこには普段人間の往来する道はないの。ここまで細いとはいえ一応旅人たちに踏み固められた地面を歩いてきたけど、ここから先は……ようは獣道。それも時々途切れる、頼りない道をたどっていく羽目になっちゃうわけよね。


 クララもビアンカもカミルも、この先……サーベルタイガーの棲む森には行ったことがない。だから向かう方向を決める役目は私なの。だけどそれ以外のところでは、私は全く役立たず。力強く先頭をゆくクララと、私の背負っている二倍以上の荷物を黙々と担ぐビアンカ達にはさまれて、つまづきつまづきしながらやっとこさついていくだけね。


「ロッテ様、もう少し頑張りましょうね!」


 クララの能天気な励ましが、疲れが全身に回った私にはややうとましい。


「む~ん。このあいだまでクララは、サーベルタイガーの森に踏み込むのをさんざんイヤがっていたくせに……」


「あ、まあ……そうでしたね」


 眼を泳がせるクララ。ふふっ、ここは反撃のチャンスだわ。


「たしか、『狼の血を引く私は、ネコ科の者とは相容れないのです』とか、言ってたわよねえ」


「いや、それは、そうでしたかしら……」


 チラッとビアンカの方を見るクララ。


「あら、クララお姉さん。私もネコ科なんですけど!」


 ビアンカが可愛く口をとがらせる。


「うん、ああ……そうよね、ごめんなさいビアンカ」


 防戦一方になるクララ。ふふふ、私の思った通り……クララはビアンカ大好きなのよ。


「ふふっ。怒ってなんかいませんよクララお姉さん。ネコ科が苦手なお姉さんが、サーベルタイガーの森へ入るのに積極的になったのは、私の母さんに関する情報が得られるかも知れないから、ということなのでしょう? やっぱり、クララお姉さんは優しいです、大好き!」


 うん、さすがビアンカ。クララの気配りを、しっかり理解しているわね。本当に賢くて、良い子だわ。ビアンカの言葉で頬を紅に染めるクララも、年上だけどとっても可愛いわ。う~ん、やっぱりお嫁さんにしたい。


「そっか……やっぱり、ビアンカのお母さんは、この先の『サーベルタイガーの森』から来たっぽいのかな?」


「必ずしもそうとは言い切れないですけれど、サーベルタイガーが多く生息する場所は大陸で数ケ所しかないと聞いていますので……その可能性はかなりあるのではと」


 私の問いに、考え深げな眼をしつつ答えるクララ。ビアンカは期待と不安の織り交ざった表情で、私たちを見上げている。いじらしくて、思わず抱きしめてしまいたくなるわ……結局、抱きしめちゃったんだけど。


「ビアンカ、お母さんのこと知りたい……よね?」


「は、はい。物心ついたときの私はすでに奴隷でしたから、おそらく父も母も、この世にはいないのでしょう。それでも、私がどうやって生まれて来たのか、両親がどうやって出会ったのか、知りたいのです」


 ビアンカが相変わらずいい子っぽいことを言うの。緑の眼がうるうるして、思わず見とれてしまうわ。


「やっぱり、ビアンカは可愛いわね。クララが宗旨替えして、サーベルタイガーの森に踏み込んでもいいって言っちゃうのも、わかるわあ」


「わ、私はそんなんじゃ……ロッテ様は意地悪でいらっしゃいます! もう、先に行きますからねっ!」


 明らかに照れまくっているクララが、私達から目をそらすように、わざとらしく山刀を構えてぷいっと前を向いた。



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― 新着の感想 ―
[一言] ちなみに、王子様は長い知り合いて格好いい強い人ですけど、ロッテさんと一緒に生活できず、つまり完全に逢えないという点の故に個人的な感想として推しはしません。 もしロッテさんが祖国に戻って王子様…
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