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追放聖女はもふもふ達と恋をする?  作者: 街のぶーらんじぇりー


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前を向いて

昨日投稿できませんでしたので本日は二回アップします

 悄然と背を向け、重い足取りで離れてゆくアルフォンス様と、騎士様たち。


「あの……よろしかったのでしょうか、王子殿下をあのままお帰しになって」


 クララが心配そうな表情で、私の眼をのぞきこみながら尋ねる。


「私の第六感で申し訳ないのですけれど……あの御方がロッテ様をお想いになられているお心は、いつわりなく本物です。なされた振る舞いにはいろいろ申し上げたいことがありますが……置かれたお立場と、ロッテ様へのお気持ちの間で、かなり悩まれたのではと推察いたしますが?」


「……うん。そう思うわ。アルフォンス様の気持ちが変わっていないってことがわかったから、とても……今はとても嬉しいの」


 そう、アルフォンス様の眼からも、その美しい唇から紡ぎ出される言葉からも、彼が私を求めてくれている想いが、あふれるほど伝わってきた。この人の熱誠を信じ切れなかった王宮での弱い私を、百万回叱りつけてやりたいわ。


「そう思っていらっしゃるのでしたら、せめてロッテ様のお心、本当のお心だけでも殿下にお伝えになられてはと……」


「それはダメよ。あの方はまだ本当の意味で覚悟が出来ていなかったわ。私が中途半端に手を差し伸べたら、国のため、多くの民のために彼がようやく定めた心が、また揺らいでしまう。そんなことを、私はしてはいけないの」


「ロッテ様……」


「そして、去り際のアルフォンス様の眼は、今までのアルフォンス様と違っていたわ。きっとこれからあの方は、兄君との王位継承争いに……というよりそのバックにいる腐敗貴族の排除にかな……全力を挙げられるでしょう。そしてあの方が本気になったら、必ず勝つわ。勝って、ロワール王国の民を安んじるでしょう」


「それは、ロッテ様を再び掌中にされるためなのでは?」


「そこまではどうかしら? もうあの方の志は、私の手の届かない高いところまで昇華されたように思うのだけれど。いずれにしろ、私はこの後、アルフォンス様をお助けはできないまでも、足を引っ張るわけにはいかないの。だから間違ってもロワール国内で捕まったりしちゃいけないから……まあ結局、可及的速やかにバイエルンに逃げるって結論は、変わらないわけよね」


 私は、わざと明るく、笑顔をつくる。そうだよ、あの人の気持ちが、本当の気持ちがわかっただけでも、満足しなきゃ。これ以上求めちゃ、いけないんだよ。


「ご立派ですわ。ロッテ様は、第二王子殿下のことを思い、あえてご自分を殺してあのようなお言葉を……あら? では、私とともに人生を歩んで下さるというアレも、王子殿下を惑わさないための偽りでしたのかしら?」


 クララがジト目をつくって私を見上げる。


「いやっ、あっ……そ、それは本当だから。男の人と人生共にするのとはちょっと違うかもしれないけど、クララが大好きで、もう離れないってのは、本当だからっ!」


 私はあわてて、ちょっと噛みながら必死で弁解する。何に対して言い訳しているのか、若干わけわからないんだけどね。


「ふふふっ。大丈夫です、ロッテ様のお気持ちは、わかっておりますわ。ロッテ様がすっかりアルフォンス殿下ラブモードになっちゃってましたから、ちょっと意地悪したくなったのですよ。ええ……私もロッテ様から離れませんとも、いえ放して差しあげません。そして、将来ロッテ様と共に歩みたいという殿方が現れた時には、私が厳しく吟味して差し上げます。厳しく……ね」


 ちょっと背筋に寒いものが走ったけど、クララが心底私を大事に思ってくれてることは、これでもかってくらい伝わったよ。


「うん、大好きだよ、クララ。ところで……すっかりお腹が減っちゃったよ。早くこの血まみれゴブリン達から遠ざかって、ごはんにしよう?」


◇◇◇◇◇◇◇◇


「ロッテ様、もう肉以外の食料がございません」


 クララの一言で、もうすっかり慣れてしまったクララとの楽しいキャンプ生活に、さざ波が立った。


「ジャガイモとニンジンなら、結構あったと思うのだけれど……」


「最後に食糧を分けてもらった村からもう五日も旅していますからね。あと一回食事するとなくなってしまいますわ。お肉だけは、当分不自由しませんが……」


 お肉に不自由しないのは、クララが魔狼に変化して、鹿と猪をさくっと狩ってくれたからだ。二人でひいひい言いながら獲物を捌いて、一晩かけてインスタントの燻製っぽく加工して日持ちを良くした上で、その身体に似合わないクララの怪力で、めちゃくちゃ一杯持ってきている。あまり大食いとは言えない私とクララだったら、かなりの期間、持つんじゃないかな。だけど、お肉が主食じゃなあ……クララは半分魔狼だからお肉だけでも全然平気なのかも知れないけれど、私は辛い。


「私が摘んだ野草は……」


「そうですね、ロッテ様はさすが野外活動に慣れておられるので、食べられる野草を結構採って下さっています。あれは栄養のバランスをとるには有効ですが、生きていくために必要なエネルギーにはなりませんね」


 そうだね、野草ばっかり食べていたら、牛か羊になっちゃうね。フツーの炭水化物、摂りたいよね。


「う~ん、人間の村に行ったらこないだみたいな大騒動になりかねないけど……このままってわけには、いかないか……」


「国境までまったく人里に立ち寄らないのは、難しいでしょうね」


「うん。じゃあ……こっそり様子をうかがって、魔獣とうまくやっていそうな村を狙って少量の食べ物を譲ってもらうようにお願いしようか。そういう村なら、まだ教会の手配が、回っていないということだと思うから」


「どうやって、見分けるのです?」


「まあ、見ればわかるわ……任せて」


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