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ソシリアの断言 (マリア視点)

 といっても、私はサーシャリア様の様子のおかしい原因がアルフォード様にあるとは思っていない。

 ……先ほどのサーシャリア様は、アルフォード様の思いを告げていた時とも、明らかに様子が違ったのだから。

 それでも愛しい人と思いが通じ合うのは、間違いなくサーシャリア様の心の支えになるはずだ。


 もちろん、それが根本的な解決にならないことを私は知っている。

 けれど、それが私の思いつける限界だった。

 そして、最前ではないだろうがその方法は決して間違っていないはずだ。

 だからこそ、なんとかしてと私は考えかけて……前を歩いていたソシリア様が心配げにこちらを見ているのに気付いたのはそのときだった。


「……マリア、大丈夫?」


「……っ!」


 瞬間、私の顔は真っ赤に染まる。

 考えてみれば、私は呼び出されたにも関わらず、呆然と別のことを考えていたわけだ。

 ……それも、ソシリア様がこんな心配そうな表情を浮かべるような状態で。

 とっさに私は、ソシリア様へと頭を下げる。


「す、すいません!」


「……ただごとじゃない様子だったけど、大丈夫なの?」


「その、サーシャリア様が気になってしまって」


 そう告げた瞬間、はっきりとサーシャリア様の顔が曇る。

 それに、ソシリア様はさすがに気付いていたかと安堵する私に、ソシリア様は告げる。


「そう、よね。明らかにサーシャリアは調子が悪そうだったわね」


「はい、私少し心配で……」


「そうよね、あんなにも体調が悪そうだと、ね」


「え?」


 ふと、私が違和感を覚えたのはそのときだった。

 確かに、サーシャリア様は体調も万全だとは言えない。

 それでも、あの表情に私が感じたのは体調の悪さではなかった。


「どうしたの、マリア?」


「えっと、私がそう見えただけなんですが……」


 少し迷った後、私は恐る恐る自身の思いを口にする。


「私には、サーシャリア様には何か悩み事があるように見えたのですが……」


 そう私が告げた瞬間、ソシリア様はきれいな目を大きく見開く。

 しかし、すぐにゆっくりとその表情を優しい笑みに変えた。


「そう……。確かに、言われてみるとそうも見えなくないわね。でも、違うわ」


 そうして、ソシリア様はそのきれいな顔に自信を滲ませ、断言した。


「サーシャリアが悩み事を抱いていることだけはあり得ないわ」

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