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真夜中の守護者 (ソシリア視点)

更新遅れてしまい申し訳ありません!

 マリアと居た部屋を後にした私は、王宮でも滅多に人の通らない場所に合る部屋へと向かっていた。

 夜であることもあり、薄暗い廊下は非常に不穏だ。

 いつもならば、こんな場所を歩いていると、私は多少の不安を覚える。

 しかし、今の私の足取りは軽やかだった。

 なぜなら、私は知っているのだ。


 ──今は、彼がそばにいると。


 待ち合わせの部屋にたどり着いた私は、迷わずにその部屋を開け放つ。

 その瞬間、真っ暗で無人の部屋が露わになり……背後から声が響いたのはその瞬間だった。


「おや、これはこれは第三王子の婚約者、ソシリア様ではありませんか」


 声に反応して後ろを向くと、そこにいたのは薄ら笑いを顔に浮かべた一人の青年だった。

 その青年は、ゆっくりと私に近づいてくる。


「誰もつけず、こんな場所に来るとは不用心なことですね。知らないのですか? お父上を無視して動く貴方は、多くの人間に反感を買われているのですよ」


 皮肉げな微笑を浮かべ、煽るような言葉を投げかけてくる青年。

 その身体は、一見細く見えつつも、鍛えられていることが分かる。

 歴戦の戦死であれば、彼がただ者でないことも、その足取りから悟れたかも知れない。


 明らかに戦い慣れした男と、暗い廊下で二人きり。

 それは、私のみに危機が襲いかかっているようにも見える光景だった。

 実際、この青年に襲いかかられれば、私には抵抗することもできない。

 それを理解しながら、私の顔に不安も緊張も存在しなかった。


 そして私は叫ばず、代わりに一言青年に告げた。


「セイン、私の騎士に戻りなさい」


 彼と決めた合い言葉を。


 セインの纏う雰囲気が変化したのは、その瞬間だった。

 薄ら笑いを浮かべていた表情は不機嫌そうな者に変わり、ぶつぶつと文句を言い始める。


「くそ。相も変わらず、突然合図を起こしやがって。せめて夜は誰かつけてこい、と何度言えば」


「あら? 貴方が居るから一人じゃないわよ」


「だから、もし俺が気づかなかったらだな……」


 不機嫌そうなセインの目を見返し、私は笑ってみせる。


「セインなら見逃さないでしょう。──好きな人からの挨拶は」


「……っ!」


 そういうと、セインは押し黙る。

 普段は皮肉げで、口が減らないのに、こういう責め方をするとセインは弱い。

 それが可愛く思えて、私は小さく笑う。

 そう、この彼こそが生徒会メンバーの一人。


 近衛かつ、影とであり──私の恋人である、セイン・クリスフォルテだった。

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