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暴走開始 (アルフォード視点)

更新遅くなってしまい、申し訳ありません!

 二人の態度の変わりように、内心俺は衝撃を受ける。

 ……そんなに、俺の表情は情けないことになっていたかと。

 恐る恐る、といった様子でマリアが俺に告げる。


「そ、その、おつらいことを聞いてしまって……」


 その表情は蒼白で、先ほどまでの激怒していた様子はいっさい見受けられなかった。


「まさか、そんな正常に物事が読みとれないほどに……」


 一方のソシリアも、滅多に見ないくらい呆然としていて、逆に俺は怖くなる。

 それだけ態度が急変するくらい、俺は酷かったのだろうか?

 そう思いつつも、俺は何とか笑顔を浮かべて告げる。


「そう気にしなくて大丈夫だ。今はもう、そこまで気にはしていないからな」


 実際のところそれが俺の今の気持ちだった。

 もちろん、胸の傷が癒えたわけではない。

 ただ、そんなことを気にしている状況でないのは、俺も理解していた。


 ──そんなことに落ち込む暇があるなら、サーシャアリアに意識してもらえるよう動いた方が、何倍も有益だと。


 なぜなら、今はもう以前と違って、そばにサーシャリアがいるのだから。

 それも、婚約がなくなった状態で。


 だとしたら、俺がやるべきことは決まっている。


「何とかして、サーシャリアに意識してもらえるまで、押し続ける」


「あっ……」


 誰かが、何か最悪の事態を悟ったような声を上げたが、俺の耳には入らない。

 今までにないくらいのすがすがしい表情で、俺は続ける。


「悪いがソシリア、今日だけ俺外していいか? 少し、サーシャリアへのアピールを考えたい」


「え、ええ?」


 ソシリアはどこか困惑したようにも聞こえる声を上げる。

 しかし、すぐにそれを肯定の言葉だと判断した俺は、すぐに動き出す。


「助かる。やはり、今以上に押さないと。相手は鈍感なサーシャリアだからな」


 ……しかし、やる気にあふれる俺は気づかない。


 俺のやる気に比例して、ソシリアとマリアの顔から血の気が引いていることを。


「申し訳ありません、サーシャリア様。私はなんという……」


 俺が部屋から出る直前、どこか懺悔にも聞こえる声が聞こえた気がする。

 しかし、すでに意識がサーシャリアへと向いた俺の耳に、その言葉が入ることはなかった。


「よし、とりあえず一日サーシャリアの世話ができるように、仕事を片付けよう」


 ……俺が去った部屋に残されたのは、最悪の予感に震えるソシリアとマリアだった。

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