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両親の思惑

「どう、して」


 何とか絞り出した声、それは情けない程に掠れていた。

 だが、そんなことさえ気にならないほど私は動揺していた。


 王都で噂が広まっている、それは両親が噂を広めてきたことを示している。

 そう頭で理解しながらも、私は信じられなかった。


 確かに、私と両親の中は険悪だ。

 ……それでも、ここまでされる程私は憎まれていたのだろうか。

 そんな私の考えを否定するように、お母様が私へと優しく微笑んだ。


「ごめんなさいね、サーシャリア。でもこれは、貴女のためを思ってのことなのよ」


「そうだ。お前みたいな気の強く、学をひけらかす女に結婚は向いていないだろう。だから、お前は家に残って事業をつづけるのだ。これは、お前を思うからこその決断だ」


 そう語る両親を、私は信じられず見返すことしかできなかった。

 私が家の事業を手伝う?

 そんな必要がないように、私は完璧に引き継いできたはずだ。

 なのに何故、そんなことを言うのか。

 頭の中を疑問に包まれながら、私は何とか言葉を絞り出す。


「……マルクと、カイザスがいれば私など必要ないはずです」


 マルクとカイザス、その二人は平民ながら私の事業の核として動いてくれた人間達だった。

 お父様に事業を引き継ぐ際、私は彼らを責任者として命じてきたのだ。

 あの二人なら、何があっても問題ないはずだ。


「ああ、あの無能共なら解雇した」


「は?」


 ……私の思考は、無造作にお父様が告げたその言葉に、固まることになった。


 そんな私の反応を気にせず、お父様は続ける。


「あの事業は、伯爵家の儲けが明らかに少なかった。それ故に改善するよう命じたのだが、全ては決まっているの一点張りだ」


「そう、あの二人はまるで私達の言うことを聞かないのよ。解雇されて当然よ。でも、その二人が何かしたのか、事業が進まなくなってしまって。だから、貴女に戻ってきて欲しいのよ」


「まあ、当然事業主は私達。お前も、命令にはしたがって貰うがな」


 呆然とそこまで聞いていた私は、ようやく二人が何をしようとしていたのか理解し、ぽつりと呟いた。


「……横領をしようとして、二人が断った。だから、私に横領をさせようとしているのですか?」


「違う! ……少し、伯爵家に流れる分を増やそうとしただけだ」


「そうよ! あれだけ大きな交易なのだから、少し多めに貰っても構わないわよ!」


 罰が悪そうに、顔を逸らしたお父様と、ヒステリックに叫ぶお母様。

 その姿に、私は自分の考えが正しかったことを理解する。


 ──即ち、両親は事業で横領をするために、私の婚約を完膚なきまでに潰そうとしているのだと。

タイトルなのですが、内容的に少し悩んでおり、変更させて頂きます。

ただまだ悩んでいるので、再度変更あるかもです。

よろしくお願いいたします。

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