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思いの吐露

「疲れた……」


「お疲れさまです、サーシャリア様」


 それから十数分後、何とかアルフォードを部屋に戻らせた私は、ぐったりとベッドに横たわっていた。

 そんな私を、戻ってきたマリアが苦笑気味に見ている。


「言っておくけど、一人にされたことを私は忘れていないわよ」


「……えへへ」


 じろり、睨むとマリアは自然とそっぽを向く。

 その姿になにをいっても無駄だと理解した私は、重々しいため息をもらした。


「はぁ、最近アルフォードが暴走気味だから、一緒にいてほしいのに」


 直接食べさせようとしたことだけでなく、明らかに最近アルフォードは私に過剰に干渉するようになっていた。


「私お心配してくれているのは分かるし、ありがたいのだけど……何とか止めさせることはできないかしら」


「その、サーシャリア様」


 どこか不安げな声音、それに反応して顔を上げると、なぜかマリアは少し申し訳なさそうな表情を浮かべていた。


「……もしかして、サーシャリア様はアルフォード様のことが嫌いなのですか?」


「……え?」


 その質問を聞き、私は今更ながらふと気づく。

 そう言えば、私はマリアにはっきりとアルフォードが好きだと言ったことがなかったことを。


 これまで、マリアはまるで私の恋心を見抜いたような行動をとり続けていた。

 そのせいで言った気になっていたが、明確に口にしたことはなかった。


 そんなことに今更気づく自分に少しおかしさを覚えながら、私は首を振った。


「いいえ、逆よ。私はアルフォードが好きよ」


「……っ!」


 まっすぐな思いの告白に、マリアの顔が赤くなる。

 それを見ながら、私は不思議に思う。

 まさか、セインを除いた生徒会メンバーにも頑なに隠し続けた思いを、こうも赤裸々に告げることになるとは、と。


 といっても、マリアが私の思いを見抜くことがなければ、こうも明かすことはできなかっただろうが。

 そう考えれば、ソシリアにも隠し通した思いを見抜いたマリアは凄い。


 そんな彼女だから、私はさらに自分の思いを告げることができた。


「だから、私はアルフォードに来てほしくないの」


 あまりも浅ましく、自分が嫌いになってしまいそうな心の内。

 それを私は、懺悔するように吐露する。


「勘違いを、期待をしてしまいそうになるから。……友人の婚約者だと知っているのに」

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